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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 593 契約更改 ➊

2019年07月24日 | 1985 年 



他人の懐具合が気になるのは人間の性みたいなものである。ましてや日本一に輝いた天下の阪神のV戦士の懐となれば・・なにしろ今年の契約更改はプロ野球史上空前の10億円更改となる筈なのだ。これが気にせずにいられまっか?名うての渋ちん球団とV戦士達との熾烈な戦い、こりゃペナントレースよりおもろいデ!(金額は全て推定)


バースは1億7千万円要求!
これまでの阪神は人気球団にもかかわらず優勝をしていない事を理由に選手の年俸を抑えてきた。選手達にとって一番痛い所を突かれて渋々降参してきた歴史が繰り返されてきた。それだけに今年は誰もが強気で、これまでの鬱憤を一気に晴らそうと手ぐすね引いて待ち構えている。目玉は何と言ってもバース選手。セ・リーグでは初となる外人選手として三冠王獲得だけでなく、勝利打点や最高出塁率のタイトルを含めると堂々の五冠王だ。「今年の働きには満足している。球団もそれにきちんと応えてくれると確信している(バース)」と一歩も引かない気でいる。ただしバースの契約内容については諸説ある。すでに昨年の更改で複数年契約を結んでいるとか代理人のミサヤンド氏がなかなかのやり手で数多くの付帯契約を要求するとか情報が乱れ飛んでいる。

バースの年俸は9千6百万円。仮に複数年契約を結んでいたら来季も同額。そうでないなら56%アップの1億5千万円が最低ラインで、プラスボーナスで総額1億7千万は譲れないと代理人のミヤサンド氏は公言する。バース本人は「俺はグラウンドで力を出し切ることだけに集中してきた。お金のことは代理人に任せてある」とミサヤンド氏に全幅の信頼を寄せている。細かな契約内容についてバースは多くを語らないが親しい日本の友人には「来年は間違いなく阪神でプレーする。でも再来年は大リーグに再挑戦したいんだ」と漏らしており、ビジネスライクに割り切るバースが阪神に対して相当なサラリーを要求してくるのは間違いない。


掛布・岡田の " 陣取り合戦 " の決意
バースの年俸が仮に1億5千万円とするとその額は他の選手の総年俸に対して15%を占める。バースひとりで人件費の1割強を持っていかれる訳だから球団としても穏やかではない。実はバースの年俸を巡って過去にひと騒動あった。掛布選手が昨年の契約更改交渉に三度も球団事務所を訪れたが、交渉の中身は自身の年俸ではなくバースの年俸に対する球団側の考えを問い質すものだった。掛布の言い分はこうである。「バースがどうのこうのではない。日本球界は外人選手に甘いのではないか、外人の言いなりになっている現状に納得がいかない。バースだって我々日本人選手と同じく優勝経験がないのにガッポリ大金を得るのはおかしい。同じチームで差があるのは虚しい」と言うのだ。

結局、昨年はフロント幹部の「外人の年俸には我々も頭を痛めているんだ。分かってくれ・・」との泣きに折れ掛布は渋々サインした。だが納得した訳ではない。つまり今年の交渉でも同様の話し合いは不可避である。仮にバースが思惑通りの契約を交わしたら掛布も今度は黙って引き下がらないだろう。掛布の年俸は6千1百万円。掛布は過去に本塁打王や打点王になっても年俸を抑えられてきた代表選手だ。そんな掛布にとって今年は千載一遇のチャンス。日頃から日本人選手の年俸は安過ぎると訴えてきただけに優勝した今年は例年以上に粘る筈だ。「今年は自分の為だけでなく、球界全体の事を考えて交渉したい。簡単にはサインしませんよ(掛布)」と早々と球団に対して宣戦布告。

バース、掛布ときたらもう一人忘れてならないのが岡田選手。岡田の年俸は2千1百30万円と意外と安い。毎年期待されながら右足の故障の影響で思うような成績を残せず年俸はここ2年間据え置き状態だった。岡田はプロ入り以来、毎年一発更改で済ませてきた。ことお金に関してはクリーンなイメージだが今年は少し様子が違うようだ。「今年は本当に楽しみにしているよ。プロに入って最高の成績を残したし強気に言える。ただ球団も湯水のようにお金を吐き出すとは思えないから、良い意味で各選手の陣取り合戦になるんじゃないですかね」と腕ぶす。岡田の目標は最低でも100%アップの4千5百万円。つい数年前までは1千万円が一流の証だったが今は5千万円。岡田の本音は5千万円突破を狙っている。

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