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#234 ベンチがアホやから … ②

2012年09月05日 | 1981 年 
江本の不満・・それが正しい・正しくないは別にして、毎年オフになるとトレード候補として取り沙汰され騒がしくなった。実際に昨年は在京パ球団と合意寸前までいったが最後に破談。その話が潰れると間髪おかず在阪パ球団と交渉するなど、「球団は俺を放出したがっている」と江本が考えるのも無理はない。だが江本本人が「野球選手にトレードは付き物。俺も南海へ移籍して良かったと思っているし、トレード云々に不満があるわけではない」と言っているようにフロントに対してではなく現場での使われ方に腹が立っているようだ。

今シーズンは池内投手と共にリリーフ役に回る事になっていたが、江本にその事が監督・コーチから伝えられたのは開幕直前の事だった。「先発とリリーフでは当然調整法も違ってくる。マラソンを走るつもりでいたら突然100㍍走に出ろと言われたようなもん。上手くいくわけがない」実際にリリーフを数度失敗した結果、早々にお役御免。シーズン途中で先発に戻ったのは周知の事実で、不満の矛先は藤江投手コーチに向けられたものと思われたが実は中西監督に対するものだった。この2人は2月のテンピキャンプで既に衝突していたのだ。

中西監督は「何もないよ」と大人の対応をとっているが江本は「ガックリくる発言を喰らった」と公言している。阪神に限らず全ての球団が首脳陣批判に対して最大の罰則を設けている事は誰だって知っている。勿論、江本もだ。そこに躊躇する事なくズカズカと踏み込んだ江本に対してある選手は「ウチの監督なら誰だって一度は江本さんみたいな心境になりますよ」と同情的だ。いずれにせよ江本は8月27日で阪神を去った。形の上では江本の意志が通っての退団のようだが、一部では江本を放出したかった球団にとって渡りに舟だったのではという声もある。任意引退→他球団からのトレード申し込み→現役復帰して移籍という筋書きが出来上がっているという情報もあり、現に他球団からは退団を惜しむ声が既に出ている。


◆巨人・藤田監督「選手の立場では言い過ぎだけど引退というのはどうかなぁ。力のある投手だから、どこかのチームが声を掛けるでしょう」

◆日ハム・大沢監督「阪神も思い切った事をするね。まだ充分使えるというのに・・」

◆近鉄・西本監督「まだまだ働ける投手だ。ヤンチャな選手だけど、この世界にはあんな男がいても良いと思うけどね」

◆村田兆治選手会会長「江本と阪神との話し合いに選手会が口を挟む事は出来ないが、江本が復帰したいと相談しに来たら力を貸したい」


これまで首脳陣と選手の対立があるたびに監督の首を切ったりスター選手を放出したりと、その場しのぎの中途半端なやり方で表向きを糊塗してきた球団運営の甘さが、またしても球史に残る珍事件を引き起こしてしまった。江本ショックが冷めやらぬ29日、今度は若菜捕手が「阪神という球団はつくづく疲れる。俺も退団したい気持ちは前々から持っていた」と発言し一連の騒動に火に油を注いだ。しかし球団はこの発言に対して若菜を事情聴取をする事なく放置したままだ。ひたすら嵐が過ぎ去るのを待つ作戦らしいが、お家騒動は当分収まりそうにない。

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