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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 834 週間リポート・クラウンライターライオンズ

2024年03月06日 | 1977 年 



もう死んでもいい
3試合きりのオールスター戦。その3試合全てに登板した永射保投手。酷暑の中、3試合で計5回 2/3 イニング・無失点だったのに勝利投手はおろか賞品のひとつも手にしない「タダ働き」に終わってしまったが本人はそうでもないようだ。 第1戦では王選手を一ゴロに退け「次はぜひとも三振を」と言っていたが、宣言通りに第2戦では王選手と張本選手のOH砲を連続三振に仕留めた。「あの2つの三振があったからもう賞品はいらない。自分にとって最高の勲章ですから」と興奮した。第3戦でも張本選手に死球を与えたが王選手を二ゴロに打ち取り、永射投手の伝家の宝刀であるカーブがセ・リーグのスーパースター達にも充分通用することが証明できた。

オールスター戦初出場でいきなり全パのエース扱いされた永射投手の評価は上昇する一方で第3戦の神宮球場では場内アナウンスで永射投手を「クラウンの若きエース」と紹介するまでになった。「嬉しかったですね。連投はシーズン中でも慣れているから苦にはならなかった。コントロールも良かったし、攻めの投球ができたのも満足だった。三度も投げさせてくれた上田監督には感謝しています」と永射投手はうっとりした表情で華やかだった3試合の初体験を振り返った。クラウンの鬼頭監督は上田監督に永射投手は故障がちなので1試合程度の登板にして欲しいと事前に申し入れしていたらしいが本人が納得しており問題はないようだ。

「セ・リーグの選手かて人間だ。お前の球ならまともに打てるわけない。パ・リーグの為にもジャンジャン投げてこい。どんな試合だって若いピッチャーは使ってもらって損をすることはない。どんどん使ってもらって自信を付けて帰って来い。短期戦のオールスター戦で投げて潰れるような投手なら長丁場の公式戦では使い物にならない。だからウチは永射を安心して送り出したんや」と胸を張ったのはクラウンの江田投手コーチ。まさにこの師匠にしてこの弟子あり、といったところである。


社交辞令
オールスター戦まで首位を維持し、快調ぶりにウハウハの周囲をよそに鬼頭監督は「いいことばかりは続かんよ。悪いことばかりが続かんようにね」と相変わらず悟りきった発言。オールスター戦休みも2日間だけであとは平和台球場でナイター練習をしたが、「これからの心配があるとしたらやはり打つ方だろうな。前期は絶好調だった基のバットも湿ってきとるし。決定打が出ている間はいいが、それも手放しで楽観できん。まぁ連敗を最小限にすることだな」と淡々としたもの。上田監督(阪急)が「クラウンが走ったら近鉄や南海より怖い」と発言したと報道陣から聞かされても慌てず騒がず「そりゃ社交辞令ですよ」と受け流した。

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