Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 378 ドラフト展望 ②

2015年06月10日 | 1983 年 



【西武ライオンズ】:スターは高校生から。将来のレオの星は藤王…「人気プラス実力」 これがドラフト1位指名の条件である。野球の能力だけではダメ、さらに人気が備わっていなければ常勝軍団の1位には相応しくないと言う訳だ。しかしどちらをも合わせ持った選手となると限られてくるのは当然で導かれる答えは藤王(享栄)となる。パンチ力は高校生レベルを遥かに越えている。「何よりもホームランを打てるのが魅力。プロはショーマンシップだから」と担当する毒島スカウトはゾッコン惚れ込んでいる。また「ポスト田淵のスターは高校生から(坂井球団代表)」と公言するフロント陣の思いとも一致しており、藤王1位指名は間違いないと思われていたがここにきて情勢が少し変わってきた。

スカウト陣内部から実力ナンバーワンの高野(東海大)を推す声が日毎に増してきていて、ドラフト会議に向けて根本管理部長は最終的判断を決断する前に今一度、全スカウト意見とフロント幹部の要望を取りまとめる必要に迫られている。ただ球団内の大勢は藤王指名で固まっており入札はほぼ確実だ。いずれにせよ野手の高齢化が進み世代交代が必至の為、2位以下も白井(駒大)・西浦(近大)・池山(市立尼崎)と野手中心で行く予定。野手に比べて余裕のある投手は青木(東芝)・加藤(国鉄名古屋)・小野(創価)・渡辺(前橋工)らが候補に挙がっている。



【阪急ブレーブス】:現場は高野ら即戦力だが水野の人気も捨て難い…人気か実力か、ハムレットの心境になっているのが今年のドラフトに賭けている阪急。観客動員数をアップさせるには高校野球界のヒーロー水野(池田)を獲得したい所だがそうもいかない台所事情を抱えている。今季の戦いぶりを見て即戦力の投手が必要不可欠なのは歴然で上田監督としては1人でも多くの先発を務められる投手獲得を熱望している。今月の1日に行なわれた2回目のスカウト会議でも上田監督は「外角に来る直球は一級品。即戦力No,1間違いなし」と改めて高野(東海大)指名を求めた。

ただ人気面を無視する事も出来ない。観客動員数100万人を目標とする球団フロントとしては水野、野中(中京)の他にも小野(創価)も1位指名の候補に挙げている。藤井編成部長は「将来的に必ず戦力になる」と水野ら高校生投手を単に人気だけの選手とは捉えていない。ただ現実問題として山沖投手以外に信頼出来る先発候補が見当たらないのも事実で即戦力投手を補強出来なければ来季の先発ローテーションを組めない。上田監督以下首脳陣の希望もこの一点で一致しており1位指名は正攻法で高野、池田(日産)、川端(東芝)らの大学・社会人投手に落ち着くものと思われる。



【日本ハムファイターズ】:狙いは左腕投手。狙いは小野か仲田幸…即戦力にしても将来性にしても左腕投手を狙っている。6日に六本木の球団事務所で5回目の編成会議が開かれた。「順位をつけるのは最後の会議。まだプロ入りの可能性のある選手をリストアップしている段階で植村新監督の希望を聞かないと(三沢編成課長)」と煙幕を張る。一昨年の球団初優勝後は西武の後塵を拝し続けているだけに来季こそ打倒・西武が至上命令となり、その為には投手の補強が最優先課題で当然1位指名は投手重視になる見込み。高校生では水野、小野、野中、渡辺、吉井(箕島)、津野(高知商)、山田(久留米商)、仲田(興南)。大学・社会人では高野、川端、池田の名前が挙がっている。

「う~ん、コレッという選手がねぇ…。今年は即戦力が少ないので各球団も頭が痛いでしょうね」と渋谷・宮本両スカウトも顔を曇らす。「野手だと藤王、池山が頭ひとつ抜けている。しかも2人とも最近の在京セを逆指名する風潮に感化されず12球団OKと言ってくれて好感が持てる。出来たら2人まとめて一緒に獲りたい」とは丸尾球団顧問。しかし「やはり台所事情から言って左腕投手になるんじゃないかな」と三沢編成課長が発言している事から1位指名は小野か仲田の2人に絞られているようだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« # 377 ドラフト展望 ① | トップ | # 379 ドラフト展望 ③ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1983 年 」カテゴリの最新記事