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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 854 週間レポート 南海ホークス

2024年07月24日 | 1977 年 



謙遜のし過ぎでしょう?
門田選手がニョッキリと首位打者の席へ躍り出て来た。阪急の島谷・加藤秀選手やロッテの有藤・リー選手に対抗して南海でただ一人の3割バッターがその面目を施すように登場したのである。阪急とのダブルヘッダーで大当たりし今季初めて首位打者の座に就いた門田選手。生来の照れ屋さんは嬉しさもあまり表に出せずモジモジ。「いやぁ、直ぐに落ちますよ。僕は首位打者なんてガラじゃないですから」としきりに謙遜して頭を掻くが、その言葉とは裏腹に左方向への打球は力強さを増しヒットの量産体制に入っていることは周知の事実だ。

「タイトルの話はまだまだ先。それよりもチームが勝ってくれる方が嬉しい」とザワつく周囲に困惑するが野村監督は門田選手にタイトルを狙わすようにしている。「チームの為にも本人の為にもタイトルを狙うぐらいの気構えでやってもらいたい。カドが打てばチームの勝利に近づくんだし他の選手もつられてプラスになる」と野村監督はチームと門田選手の将来の為にも全面支援の構えである。昭和46年に打点王を獲得して以来のチャンス到来に周囲は期待している。


スワッ野村御大が送りバント
四番打者が送りバント…天下の野村監督が阪急戦で試みた。場面は無死二塁、その前の打席ではいい当たりの左越えの適時打を放っていた。また再び得点を稼ぎたいところなのに足立投手の初球から送りバントの構えをした。走者を三塁に進めて後続の柏原・ピアース選手でダメ押し点を狙う作戦を立てたようだが、いずれにしても野村監督に犠牲バントは消極的でネット裏では疑問視する声が多かった。案の定、1球目は失敗。続く2球目は捕手への小フライとなりこの奇策は失敗に終わった。

苦笑いしながらベンチに引き揚げてきた野村監督。後続も凡退してしまい得点はならなかった。本来なら送りバントを失敗した野村監督自身は罰金ものである。だが何が幸いするか分からないもので野村監督のプレーが南海ナインを刺激したのか次の回に追加点が入り南海が勝利をものにした。試合後、野村監督はこの件について聞かれるとバツが悪そうに「いやぁ失敗しました。どうしても点が欲しい場面だったのでバントを試みたけどダメやった。申し訳ない」と頭を下げた。


森の石松
ホプキンス選手が判定を不服とし審判に暴行し退場させられペナルティで出場停止処分となった。その為、練習後の " 暇人・ホプキンス " はベンチ裏や食堂をウロウロし、試合に臨むナインを見かけると激励する。河埜選手には「コーノ、アイスコーヒーを奢るから頑張れ」と言ってコーヒーを差し出すと河埜選手は目を白黒させるもコーヒーを飲むと試合でヒットを量産した。これにはホプキンス選手も「僕の分まで打ってくれた」と大喜びし、森の石松よろしく「飲みねぇ、飲みねぇ」と他の選手にもコーヒーの " 押し売り " に走り回った。
コメント
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