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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 761 週間リポート クラウンライターライオンズ

2022年10月12日 | 1977 年 



前期絶望?冗談じゃない!
古賀正明投手の前期絶望説が論議の的となっている。ドラフト1位指名でデビューしたばかりの2年目の古賀投手。ルーキーでチーム1位の防御率とエース東尾投手(13勝)に次ぐ11勝で南海の藤田投手と新人王レースを争った。今季は4月10日の近鉄戦でヒジを痛めて5回降板の憂き目に遭い、治療に専念してきたが5月11日の対阪急7回戦に先発で復帰し5回を無失点で投げ切り2勝目をあげた。「これだけ投げられればもう大丈夫」と本人も首脳陣も安堵したのだが、困ったことにヒジの状態は良かったり悪かったりを行ったり来たりで全力投球をすると時おり痛みが出た。そこで首脳陣は協議の結果、1週間ほど先発ローテーションから外して様子を見ることにした。

こうした事態をスポーツ紙が『古賀前期絶望?』と書いたのだ。本人、首脳陣、フロントも「こんなに大袈裟な見出しで書かれたらチームの士気にかかわる」と大いに不満気だったが、「?」がついた観測記事だっただけに正式な抗議も出来ず書かれ損の泣き寝入りとなった。古賀投手は「どうして僕のことばかり悪く書かれるんでしょうかね。これまでも記者さんの癇に障るようなことはしていないのに…」と嘆いた。先発ローテーション編成の責任者である西投手コーチは「状態が良くなれば前期中の登板も当然ある。もし古賀が投げて勝ったらこんな記事を書いた記者さんはどうするんですかね」とマスコミの先走りに挑戦的になっている。さて軍配はどちらに?


3日に一度は投げてレラ
「いまにバテるだろう」「そんなに長続きするわけない」と半ば悲観的な見方をされながら投げ続けてきた左腕の永射保投手が首脳陣からもファンからもクラウンのエースという尊称を奉られるようになったのが小倉での対阪急9回戦。この試合に永射投手は12日ぶりに先発した玉井投手が4回一死までに2点を奪われ1点差に追い上げられ、なおも一・三塁のピンチの場面で救援登板し何とか無失点に抑えた。その後も2安打・1四球・5奪三振の好投で勝利に貢献した。エースである東尾投手がピリッとせず、もう一人の主軸投手の古賀投手もヒジ痛で本来の力を発揮できない状態で永射投手にかかる負担は増すばかりだ。

5月だけで21試合中、10試合に登板している。2試合に1度のハイペースだ。日数でも3日に一度という恐るべき過密ダイヤである。冒頭の「いまにバテる」という意見はあながち間違っていなさそうだが、自己最多の4勝をマークし防御率も 1.95 とパ・リーグトップに立ったのだから、もう御立派と言う他はない。しかも永射本人が「キツイの疲れるの言ったらキリがないでしょう。チームの為に誰かが頑張るしかないのだから」と泣かせる台詞を言う。身長170cm そこそこの小兵だが人間としてのスケールはデカい。さすが薩摩隼人(指宿商出身)だと評価はウナギ昇りだ。


ジャンボ、後期に向かって離陸
ジャンボ古賀がようやく復帰した。右ヒジ痛が再発して約1ヶ月も戦列を離れていたが、自身の体調には慎重で非常に気を遣う古賀投手が「もう何ともないです。大丈夫ですよ」と言い切り一軍に合流した。二軍戦に登板して痛みが残っているか試す為にヒジに負担が大きいスライダーを投げてみたが結果は良好だった。最初に右ヒジの痛みを訴えた4月中旬からちょうど2ヶ月が経っていた。慎重になり過ぎて実戦感覚を取り戻すのに時間がかかるのでは、との声に古賀投手は「ブルペンでも実戦を想定して投げ込んでいたのでブランクは感じていませんね。治療法だって注射だけが唯一の方法だとは思えないし、僕は僕なりに考えています」と意に介さない。

復帰を果たしたとはいえ前期日程は残り数試合で順位の変動に影響はないのだが「後期の為には遅くはないでしょう。もちろん残りの試合でも全力を尽くしますよ」と古賀投手は右腕をさすった。復帰後初登板となった6月12日の対日ハム13回戦ではウイリアム選手に12号ソロを打たれたが、1イニングを投げ切れた。古賀投手本来の投球とは程遠かったが「投げられるようになって嬉しい。まだブルペンでの調子を100%出し切れていなけど、場数が増えれば元に戻れると思う(古賀)」と表情は明るい。チームは既に後期に向けて体制固めに入っている。東尾投手は不振を抜けつつあり、主砲の土井選手も復調の兆しが見えてきた。古賀投手の復帰は更なる好材料だ。
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