H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

門川俊明先生のハルペリン日本語訳!

2018-06-01 | 臨床研修

かねてから翻訳されていると伺っていたハルペリンの門川先生による日本語訳が完成したとのことで献本いただきました。ありがとうございます!!

それにしても500ページを超える教科書をたった一人ですべて翻訳されたことはほんとに驚異的です。しかも1年ほどの短期間で!これがどれほどすごいことか!!もう5年以上経ちますがが,サパイラの監訳で苦しんだ長い日々を思い出すと信じられないです。

水電解質の教科書では,門川先生が訳者序文にも書かれているように「Burton Rose」の本と,この「Halperin」が代表的な2冊です。ちなみに,私はずっとRose本を使ってきたので,実はHalperinは持っていても,恥ずかしながらほとんど読んでいません。今回,日本語でサクサク読めるのでもう一度勉強させてもらおうと思います。

この大冊の教科書を日本語に置き換えるという作業は,それに必要な時間/手間を考えると(たとえあとで印税があるとは言っても)ほとんどボランティアのようなものだと思います。もともと英語で読める人にとっては訳書は必要ないわけで,本書が良い本だから幅広い対象に読んでもらいたい,広めたいという訳者の強固な意志がなければとても完遂できない作業です。その意味で今回のお仕事は最大限の称賛に値すると思います。

本日届いたばかりなので,読ませていただくのはこれからですが,ぱらぱら拾い読みしただけでも,とてもわかり易い日本語に置き換えられていることがわかります。翻訳書でよくあるのは,もとの英文がわかるような硬い文章が散見されることですが,門川先生の文章はとても自然な日本語になっています。短い時間であっても相当考えて推敲されたのだろうと思います。かねてから感じていますが,翻訳で大切なことは英語力よりむしろ国語力(日本語力)ではないか。留学経験があるからといって良い翻訳をしてもらえるとは限らない(らしい)し,逆の場合も結構ある(らしい)。一番大事なのは,どれだけ適切な日本語を選びだすか,時には生み出す力だと思います。

以前にこのブログで「翻訳と監訳」について書いたことがあります。
 (https://blog.goo.ne.jp/green-mountain-top/e/31adc4eb45235f8a64b7b221b705de25)

そのときに引用させてもらった門川先生のことばを,もう一度ここで紹介したいと思います。当時,このことばに私は深く納得し,勇気づけられてサパイラの翻訳・監訳を続けることができました。

 「翻訳は,原著者への敬意と,読者への誠実さと,自分の英語力のなさへの不安と,母国語能力へのプライドの間でたたかい続ける,とても難しい作業だ。」

本書を拝見すると,この気持ちを持ち続けて翻訳されたことがよくわかります。門川先生,あらためて出版おめでとうございます。そして出版してくださってありがとうございます。きっと多くの学生・研修医や一般臨床医の役に立ち,ひいてはそれが患者さんに還元されることと思います。
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