今年度最初の神奈川EBM実践研究会。遠方からも沢山の参加者があって盛況であった。
例年どおりの「SpPinな所見」の話だが,今回は少し趣向を変えて先日月刊レジデントに書いた内容である「SpPinな所見Top10」拡大バージョンにした。スライドにして130枚を,約1時間45分で突っ走った。思ったよりはスムーズにできたかな。
今回の新ネタの一つは,つい先日経験した尿閉の患者さんに関する所見。当初慢性腎不全と思って紹介されてきた患者さんが,実は慢性にきた尿閉であったというもので,腹部触診でも著明に拡張した膀胱が触れた。そこで思い出したのが,Sapiraにも記載されていた診察方法(第4版p.436ー437)。聴診を併用した打診で膀胱の大きさを推定するというものである。
恥骨結合の直上に聴診器をおいて,指で腹壁を打診して音の変化があった場所が膀胱の上縁であるというものである。根拠となる論文もあり,打診による音の変化の恥丘からの距離が,6.5cm以下なら,充満した膀胱(full bladder=残尿>250ml)がある可能性は,0%,6.5-7.5cmなら43%,7.5-9.5cmなら91%,9.5cm以上あれば100%という(Guarino JR. Auscultatory percussion of the urinary bladderArch Intern Med. 1985;145:1823-1825)
実際に,先日あった患者さんでは,確かに触診で分かった膀胱辺縁が聴診でも確認できた。初めて実際の患者さんでこの所見を確認することができたが,使えそうである。