「病院前救護体制における指導医等研修」という講習会のため神戸で3日間過した。これはメディカルコントロールに関する講習会である。
「メディカルコントロール」とは,救急現場から医療機関へ搬送されるまでの間において,救命救急士等に医行為の医師が委ねられる場合,医行為を医師が指示または指導・助言並びに検証してそれらの医行為の質を保証することを意味する
(平成12年 病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書)
全国から60名集まった参加者のほとんどは救命救急センターや救急部所属の先生達ばかりである。自分のような中規模病院の内科医は少なかった。参加した理由は,当院でもメディカルコントロールに協力してきたのだが,自分は恥ずかしいことにちゃんと理解できていなかった。このため一度ちゃんと理解しようと,参加は選抜制で難しいと聞いていたのだが申し込んだところ幸い許可されたのである。
講習会に参加して,全体を俯瞰することもできとても参考になったが,同時に責任が重大だなあとも痛感。
いろいろあった講義の中で目からウロコだったのは,「救急医療システムの関係法規」という,法律に関する内容の講義だった。
最初に法規の構造という説明があった。法規とは「社会規範のうち国家権力によって遵守を強制されるもので,文字でかかれたものである」 なるほど~。
これらには4種類あり上からピラミッド構造になっている。
1)憲法
2)法律・・・国会が制定して,国会でしか改正できない
3)命令(政令,省令)・・・省庁レベル
4)告示
このうちの上位3つを法源といって,裁判官が判断の基準につかうのはここまで。
例えばよく耳にする厚労省からの「通達」というのは,4番目の告示に入るそうである。通達というのは,行政庁から行政庁向けにだされるもので,あくまでもその行政庁の「見解」でしかないとのことである。(裁判所が通達をもとに判断することはない)しかし,時に通達が,法と異なる解釈がされて問題になることがあるそうである(たとえば公害認定とかAIDSに関する認定とか)。う~ん,これは知らなかった。
去年のインフル騒ぎなどで,イヤになるほど通達と称する紙が役所からFAXされてきたが,これはこのレベルの話だったわけね。知っている人には常識なのかもしれないが,自分は恥ずかしながらまったく知らなかったので,ほ~っ!という驚きであった。
しかも,ここ最近,救命救急士の業務拡大(気管内挿管,薬物投与,最近ではエピペンの使用など)が行われてきたが,これらはすべて通達レベルで,ときには「こっそりと」変えられてきたこともあるという。講義をされた先生は,やはりこのあたりでちゃんと「法」の整備が必要だとおっしゃっていたが,なるほど我々も知っておくべきだと思った。
これ以外にも,非常に多くのことを学ぶことができたが,さすがに3日間の講習は疲れた・・・
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