面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

景観論争

2007年03月24日 | よもやま
京都市が景観を守るための建物規制に乗り出した。
まだ自分が学生の頃、京都には建物の高さ規制があった。
なので京都市内の空はけっこう高く、五山の送り火も、そんなに苦労せず鴨川の“三角公園”付近からでも見えた。

それが、大学を卒業する前あたりに規制を大幅に緩和してしまった。
この規制緩和に京都の仏教会が猛反発。
京都の景観が損なわれ、風情が失われると訴えていた。
個人的には、威丈高な物言いが目立つ気がしてあまり好ましく思っていなかった団体なのだが、このときばかりは同意だった。
寺院の拝観停止などで抵抗していたと思うが、結局押し切られてしまった。
世はバブルへ駆け上がっていく最中だったのである。

規制が緩むとイッキに開発が進み、以前では考えられなかったような高層ビルやマンションが建ち始め、京都の風情が変わっていった。
古都がバブルに踊るようで、いたたまれなかった。
あの黒く無粋な京都駅が最たるものである。

そして時代が変わり、今度は一転して景観を守るために建物の高さ規制を強化するという。
建物開発では儲けが出なくなって久しく、国内外から観光客が押し寄せるようになり、観光で稼げるようになったと踏んでの行動かと勘ぐってしまう。
行政としては、税収アップを考えて、そのときに儲けの出ている業界にテコ入れしようということだったのだろうが、あまりにも目先の損得ばかりを追った対応ではないだろうか。
自分達の街、都市に対する将来を見越したビジョンも何も無かったということを露呈したと思わざるをえない。

もっとも、2、3年毎に担当者やその上司が異動していく人事制度において、長期ビジョンをしっかり立てろという方が無理だろうが。
もうイイ加減、短期で成果成果とうるさい“アメリカン・スタンダード”(一般にグローバル・スタンダードと言うが単なるアメリカの目先儲け主義である)を止めたらどうなんだ、この農耕民族の小国家は。



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