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日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

街の灯 著:北村薫

2025-05-08 18:39:44 | 読書

 こちらも初めての作家さんです。図書館員さんお勧めコーナーにありました。

読み始めは、難しそうな印象でした。舞台は昭和7年。言葉遣いも両家のお嬢様らしく、語彙も表現もいかにも華族の上流階級の人たちが使いそうな雰囲気。ちょっとお堅い印象で、初めてロシア文学に触れた時のような感覚になりましたが、心配することはありません。

少し我慢して読み進めれば、すぐに慣れます👌

主人公は華族ではなく、士族出身のお嬢様。考え方も従来のしきたりなどにこだわらない父親が、娘の新しい運転手に女性ドライバーを選んだことから、話がどんどんとテンポよく進んでいきます。まさに、生き生きと! 当時は自由に娘の一存でお出掛けしたり出来なかった時代でしょうからね。まさに水を得た魚。武術にも優れ、新聞も江戸川乱歩も読んでいる新しい運転手の別宮みつ子。彼女のことを【虚栄の街】の主人公になぞらえ、「ベッキーさん」と呼ぶ主人公の花村英子。ちょっと、とぼけた彼女の兄も面白いですけどね。

ベッキーさんがやってきたことで、英子は視野が広がっていったというか… 街へ出て、上流社会意外の市民の様子にも目を向ける機会が増えます。二人は色々な事件に遭遇し、謎解きをしていくことになるのです。

【虚栄の市】江戸川乱歩好きな大学生が不審死、同じ日、もう一人、自ら穴を掘って死亡。偶然に見える二人の死を巡る謎が描かれ、英子とベッキーさんのやり取りに注目です。

【銀座八丁】兄と友人の暗号ごっこ。ヒントは兄の友人から贈られてくるプレゼント。眼鏡、シャツ、など、何処にでもあるような品物…これらに隠された暗号を解くために、英子がベッキーさんと銀座へ出かけ、兄に代わって謎解きを楽しむ短編。

【街の灯】表題作。軽井沢で起こる、不可解な家庭教師の死。この章では、少女だった英子が成長を遂げていく。まぁ、読んでのお楽しみ。

推理小説でありながら、昭和初期の階級、庶民の貧しい暮らしなどを盛り込んだ、一風変わったというか、今まで読んだことがなかったタイプの小説でした。短編推理小説としても楽しめますし、歴史好きにもお勧め。 どうやらシリーズものの、第一作のようです。 一読の価値あり👌

 

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2 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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読みやすいという魅力に・・ (fumiel-shima)
2025-05-09 21:04:58
すずさん、こんばんは。

この「街の灯」を読んだことはもちろんありませんが、この文字で私の頭の中には二つの「街の灯」が・・・

一つはあのチャップリンのサイレント映画で台詞はありませんが伴奏と効果音が入ったサウンド版として製作されている「街の灯」です。

あの映画が製作されたころはもうサイレント映画は古いと言われる中であえてサイレントで作ったチャップリンの意図を考えるとこの映画を通じて現代の世の中にも通じる「新しいものがすべていいわけではない・・」という思いにさせられた事を思いだしました。

もう一つはテレビドラマ「時間ですよ」の挿入歌として使用された堺正章の「街の灯り」です。

さて、紹介いただいた「街の灯」ですが解説では短編小説とのこと・・・
内容はもちろん違いますが同じ人物が登場するところは「金曜日の本屋さん」のように読みやすい展開なのでしょうか。

歴史も盛り込まれているとなると興味津々・・・
昭和初期と言えば現在放送中の朝ドラ「あんぱん」も時代は昭和初期からですね。
戦前生まれの私も戦争の悲惨さは多少わかっているつもりなのでこれからの物語の進行も気になるところですが戦後80年、日本の平和を守り続けた憲法9条への想いも強くなります。
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Unknown (すず)
2025-05-10 00:30:22
>fumiel-shima さんへ
>読みやすいという魅力に・・... への返信

いいえ 勘違いさせてしまいまして
読みやすくはないです。
【本屋さんシリーズ】が中学生で文字慣れしていない人でも、さらっと読める書、だとすれば、こちらは中高年向けミステリー小説といった感じです。
冒頭に 難しいと感じる、と書いた通り、文字慣れしていないと、ロシア文学を始めて読むときのような感覚に襲われると思います。

歴史といっても、ちらっと、その頃の事件が一行ずつ文章の中に出てくる程度です。
決して歴史を忠実にたどったものではありません。

短編ミステリーですが、短編小説ではなく、1冊の中に3つの異なるミステリーが収録されています。
それがシリーズ化されているようでして…
これが、第一作目のようです。
なので、長編ですね… 

色々と勘違いさせてしまいまして…
自分の説明力の無さが… すみません~💦
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