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日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

愛の年代記 塩野七生

2021-07-25 05:35:14 | 読書

 昨日の福岡は、自分にとって体感温度が最も暑く感じた日でした。暑すぎるので自宅からお弁当は持参せず、コンビニまで片道10分、往復20分歩いた訳ですが...。休憩時間の午後12時は、お天道様が頭上に燦燦と輝き、道路にはわずかな影しかありません。そんな中を日傘もなく歩いたものだから、両腕がじりじりと、焼かれているかのような感覚でした。立派に日焼けしましたわぁ~ わずか20分で、ビーチへも行ったかのよう。日焼け止めクリームも何もしていない肌が... 迂闊でした。

 

 さて。職場の休憩室でお弁当を食べ終わった後は、『愛の年代記』の続きを読もうと、ページを開きました。塩野さん初期の頃の短編作品集です。タイトルにあるように、男女の愛に関する小話を集めたもの。舞台はほぼルネサンス時代の都市国家。小国が多いかな。この中のいくつかは、のちに書かれることとなる大作の中でも描かれており、「知ってるなぁ」と思うものもありました。

 たとえば...。『ヴェネツィア共和国、フィレンツェ共和国、ミラノ公国、ナポリ王国といった強国の次にくる中小国の筆頭、フェラーラ。エステ家(長女はマントヴァへ嫁いだ女性政治家イザべッラ。長男は公爵となったアルフォンソ)の兄弟が一人の女性を巡って争い、弟ジュリオはもう一人の弟フェランテと、二人の仲間と、兄イッポーリトの「暗殺計画」まで立てるが、事前に漏れて失敗。その後、兄弟二人は塔に閉じ込められたまま50年を過ごすことになる... ようやく外へ出てきた男の服装を見た庶民は驚いた。80歳になった老人ジュリオが着ていた衣装は、ちょうど半世紀前に流行したものだったから。自由の身も長くは満喫できず、2年後に他界...』

 こうした寒くなる話が多く収録されているのです。その中でも私が最も寒くなった話を読んだのが、丁度、ジリジリの🌞の下を歩いて戻った直後に読んだ話でした。タイミング的には良かったですね。

 20世紀に入った後も、イタリアでは古い建築物の改装工事をすると、壁の中から白骨体が見つかるらしいです。壁の中から白骨体ですよっ! それまでそこに住んでいた人達は、何も知らずに白骨体と同居していたことになるではないですかぁ~! これだけでも仰天ものです。 壁を崩したら、🐭ねずくんが死んでた、とは訳が違うのですから。

 例として、1つだけ上げるとこういうことです。当時は厳格なカトリックがイタリア半島を支配していた時代。1300年代後半のローマでは、結婚した婦人が他の男と浮気をすると、その場で夫に殺されてもおかしくない時代でした。そんな時代の二人、40歳を過ぎたフィリッポ伯(傭兵隊)と、二十歳の若い妻、イザベッタのお話です。

 

 『傭兵隊だった夫が他国へ行くことが多かったことを理由に、妻が若い男と通じてしまう... その噂は、なんと戦場にいた夫にまで届いていた。帰国した夫は、妻の寝室で何も着ずに寝ている二人を目撃。男はそのまま別室へ連れていかれ、首には縄が。隊長は男に椅子に立つように命令、言われるままに従うと、椅子が外された。

 夫の妻への復讐は、もっと凄まじかった。妻の両腕と首は壁に固定され、夫の命令を受けた部下によって、妻の口は大きく開かされた。ペンチで歯を一本。凄まじい悲鳴が木霊した。また一本...すべての歯が抜かれ、周囲に投げ捨てられた。血の海となった口の中へ、今度はパンが無理やり押し込まれる。食事はパンと水が一日に2回。そうして数日間、夫は全く妻を自由にしなかったため、排泄物は垂れ流し。遂に妻の両手と首は自由になり... 別室へ連れて行かれたが、その部屋の壁のレンガはくり抜かれてあった。

 この壁を見た妻は、自分の運命を悟ったらしい。命乞いをしたら、全く聞き入られず壁の中へパンと水と共に押し込まれた。再びレンガが積まれ、元の壁となった。

 夫は屋敷を捨て去る。 その後、全く連絡を取れなくなった妻の実家の人達が、訪れてみると、屋敷はもぬけの殻。抜かれた歯が散らばり、首吊りされた男を見た親族は、何が起こったか納得した。その後、井戸の中まで入って女性の遺体を探したらしいが、結局、見つけ出すことが出来ずに終わった...』

 

簡単にあらすじを書けば、こういうお話。真相が明らかになるのは、ずっと後の時代。改装工事で。背筋が寒くなるには充分ですね。

Comments (16)
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