青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国および日本のユリ科(狭義)植物 16 アマナAmana edulia、チシマアマナLloydia serotina

2024-05-15 07:46:57 | 雑記 報告


「困っている人を助けたのに…」パワーショベルで公道走行し運転免許取り消し 処分の撤回求めたが最高裁も訴え認めず…それでも男性は「これからも人助けをしていきたい」(MBSニュース)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース

概ね、夫々のニュースに対するヤフコメ民の反応は賛否10対1ぐらい(あるいはそれ以上の差)で、どちらかに極端に偏るのが普通です(時に半々で拮抗)。3対1ぐらいが最も正常なのではないか、と以前にも書いたように思います。この例では、それにほぼ当て嵌まります。

似たような例で、

「医療資格を持っていない人間は(いかなる状況でも)医療行為を行ってはならない」

というのもありますね。

上の例では、人の生死に関わるほどの緊急案件ではない、というところが、保守陣営が強く出る所以だと思う。



それはともかく、この問題を突き詰めれば、

ルールは、一体何のためにあるのか、ということに帰着します。

もうひとつ突っ込めば、

ルールとは、一体何なのか? 法とは、一体何なのか?

(結論を先に言っておくと、それらは責任逃れのためにある)

ルールも法も、

人間社会に於いて、絶対に必要な存在です。

それを守る、それに従うことは、絶対条件です。

しかし、

ルールや法が、全ての最上位にあるのではないはず。

あくまで、人間社会がスムーズに進行していくために存在するのです。

“それ自体”が絶対的なもの、というわけではありません。

「絶対に必要なもの」だけれど、「絶対的なもの」ではない。



・・・・・・・・



以下の話は、直接の関連はない(話の置かれた次元が異なる)のですが、

バスに乗ると、

「シートベルト必着」の文字が、座席の前をはじめとした車内のあちこちに貼り付けられています。車内放送でも「必ずシートベルトを着用してください」と何度も繰り返し放送されます。

でも、誰もしていません(僕もしない)。これまで、している人を誰一人見たことがありません。

「必着」の有無を言わせぬ強制と、それをまるっきり無視している乗客のコントラストが、笑えて来ます。そのことに対して、運転手も、乗客も、何とも思っていないのです。皆、大人です。実に平和な、穏やかな光景ではあります



そこに行くと中国のバス、これが日本とは正反対。一人でもシートベルトを着用していない乗客がいると、バスは発車しません。その結果、シートベルトを嫌がる乗客と、着用を強要する運転手の間で、応酬が始まります。時には、運転手と乗客が大声を張り上げて罵倒し合い、戦いが繰り広げられます。「平和」とか「穏やか」とかとは無縁の喧噪のなか、(運転手も乗客も気まずい思いを抱いたまま)やっと発車していくのです。まるで子供の遠足です。



日本の運転手は、中国のように民度が低くはないので、そんなことはしませんね。乗客がシートベルトをしていようがしていまいが、意に介せず、バスを発車させます。乗客と口論など、つまらんことはしないのです。どちらにとっても嫌な思いをするだけですし。

運転手がいちいち注意しなくても、座席の前をはじめあちこちに注意書きがあって、場内放送でも「必着」を繰り返している。乗客に対する責任は果たしているのです。万が一事故に有っても、責任を問われることは有りません。



どういうことか、というと、

万が一事故が起こった時、

全員がシートベルトをしている中国では、怪我人がより少なくて済む可能性がある。

一人もシートベルトをしていない日本では、より多くの怪我人が出る可能性がある。

けれど、日本の場合でも、張り紙と放送で注意を促しているので、シートベルト不着用は乗客の自己責任であり、バス会社に過失は課せられません。

本来、シートベルト着用は、乗客の安全を守るために成されるものです。

そして、中国の場合は(少々双方が嫌な思いをしようと)、『結果として』その(安全を守るという)目的が遂行されます。

日本の場合は、『結果として』遂行されるのは、1にバス会社に於ける責任の回避であって、乗客の安全は2の次なのです。



そう、日本では、「責任の回避」が、全ての事柄の最上位に位置しているのです(正負も、企業も、個人も)。



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ユリ科の話 アマナ属Amana/チシマアマナ属Lloydia(キバナノアマナ属Gagea)



なんと、アマナAmana edulisの写真が一枚もない。シュンランとかセンボンヤリとかと一緒に、どこかで写しているはずなのですが、、、。

中国杭州の町の真っただ中の雑木林にチュウゴクギフチョウが沢山飛んでいて(1980年代末)、しかし訪花(在来種)植物がほとんどないのですね。帰化植物や栽培植物に吸蜜源を頼るしかありません。あんまり健全な状況じゃない、と思っていたら、数年も経たないうちに姿を見なくなってしまいました(この地域からは絶滅したらしいです)。

遭遇した数少ない在来野生種の一つがアマナ。いや、確かにアマナではあるのだけれど、僕の知識にインプットされているアマナとは明らかに異なります。と言って、(類縁的にかなり離れた)別属のチシマアマナ属の種ではなく、明らかなアマナ(の近縁種)です。

ということで、しばし文献類をチェックしたのですが、該当する種はどこにも見当たらない。後に、ちょうど僕がその花を撮影したのと同じ年に、ほぼ同じ場所で記録された個体を基に、新種Amana kuocangshanicaが記載されていることを知りました。もちろん全くの偶然です。ちなみに華東の浙江省や安徽省では、他にも数種のアマナ属の種が記載されているようですが、詳細については把握していません。

アマナが本州・四国・九州および朝鮮半島と中国大陸の一部地域、ヒロハノアマナA.erythronioidesが本州西半と四国、それに上記の華東地方産の数種でアマナ属を構成していることになります。

この分布パターンは、興味深いですね。いわゆるソハヤキ(襲速紀)分布要素の延長であり、日本の固有植物(あるいはそれに準じる種集団)に屡々見られる特徴的な分布パターンであります。

例えば、キレンゲショウマ。それから、中国華東地域に於ける分布は、在来なのか、日本からの移入なのか、よくわからないところがあるのですが、スギもそれに当て嵌まる可能性があります。同じようなことは、ヤマアジサイについても言えるし、そのほかにも、答えの出ていない「華東地域~日本列島」共通分布種が少なからずあります。

上海を中心に、北に南京、南に杭州を従えた華東地方は、昔も今も最も繁栄の極にある、中国の一大中心地です。日本とは、距離的にも近く、歴史的にも深い繋がりがあります。日本の生物相の成り立ちを考える上に於いて、非常に重要な地域なのです(実質的には天目山系がその中心)。なのに、意外なほど実態が分かっていません。



アマナ属のヒロハアマナと対に命名されているホソバアマナLloydia trifloraは、アマナ属ではなくチシマアマナ属Lloydiaです。両属は同じユリ科ユリ亜科ユリ連に属しますが、血縁的にはさほど近くはありません。

外観は似ていますが、アマナA.edulisとチシマアマナL.serotinaは様々な視点からも対極にある存在です。そのことは、このブログでの写真紹介にも現れています。アマナの写真が無い(見つからない)のに対し、チシマアマナは何枚も紹介している。

春の中間温帯林(いわゆる里山を含む)の林床にひっそりと生えているアマナのような植物は、意外に出会うことが少ない。それに対し、高山帯を含む寒冷地の草原に生えるチシマアマナには、出会うチャンス(頻度)がずっと多いような気がします(それとは別に写真の整理・保管に至るパターンが異なる)。

もうひとつ、キバナノアマナGagea luteaという種があります。キバナノアマナ属Gageaは、以前は狭義のユリ科ではなくネギ科(目段階でも異なるアスパラガス目)に含まれていました。印象的には確かにネギの雰囲気を持っています。しかし、最新のDNA解析に基づく分類では、ユリ科ユリ亜科ユリ連に含まれている。

それはまあ良いのですが、研究者によっては、チシマアマナ属Lloydiaとキバナノアマナ属Gageaが併合されていて(ともに全北区に分布し、それぞれ日本に2/3種)、その関係がよくわからない。

ここでは、中国植物志に沿って、全てを洼瓣花(キバナノアマナ/チシマアマナ)属Lloydiaとして一括しておきます(200種以上、ユリ科の最大勢力です)。

日本産のチシマアマナとホソバアマナが白花、キバナアマナと中国西南部山岳地帯産の複数種(正確な同定が出来ないでいるので暫定的な種名です)が黄花。系統分類に於いて、花色は余り関係ないようです。








括苍山老鸦瓣 Amana kuocangshanica

浙江省杭州市西湖畔 Mar.27,1989














チシマアマナ

北海道大雪山 Jul.6-7,1986








チシマアマナ

北海道大雪山 Jul.8,1993








ホソバアマナ

北海道礼文島 Jun.7,1993






キバナノアマナ(左はカタクリ)

山形県東根市大滝 Apr.21,1985










Lloydia tibetica 西蔵洼瓣花

四川省夹金山 alt.4100m Jul.19,2010






Lloydia tibetica 西蔵洼瓣花(右はケシ科Corydalis属)

四川省夹金山 alt.4100m Jul.19,2010








Lloydia flavonutans 平滑洼瓣花 or Lloydia oxycarpa 尖果洼瓣花

雲南省白馬雪山 Jun.14,2009















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