Gentiana atuntsiensis 阿墩子竜胆 〔sect. Frigida高山竜胆組〕
写真1
雲南省白馬雪山の標高4000m付近。2008.7.29(以下同)
以下に紹介する、5地域集団は、いずれも高山竜胆群section Frigidaに所属する種と思われる。便宜上4つの種に振り分けておくが、種の特定に関しては定かではない。
白馬雪山の高山草原で撮影した写真の個体は、一応Gentiana atuntsiensis阿墩子竜胆と同定しておく。萼裂片は箆状で45度ぐらいに折れ曲がる。後で紹介する四川省四姑娘山(巴朗山)の集団(暫定的に別種「Gentiana microdonta水晶竜胆」とした)との関係については未詳。
「中国植物志」に於けるこの一群の分類は、かなり錯綜している。実質上一つの種に包括され得る何らかの異なる表現様式を持つ集団が広い範囲に重なりあって分布しているのか、実質的に多数の種が同じ地域集団の中に混在しているのか、今の僕の知識では判断が付かない。
写真2
(黄と紫の小さな花をつける)背の低いツツジの株の脇に、ぽつぽつと生えていた。
写真3
写真4
写真5
白馬雪山の峠は、標高4000m超を保ちながら、長江側の頂からメコン川側の頂まで、10㎞近く続く。初夏には黄と紫の小型ツツジ2種が、まるで手入れをされた庭園のように緩やかな斜面を覆う。何種類ものリンドウの仲間が咲き始めるのは、ツツジの花が終わってからである。2009.6.10
写真6
右が白馬雪山主峰(5640m)。2009.6.14
写真7
2010.9.13
Gentiana wilsonii 川西竜胆 〔sect. Frigida高山竜胆組〕
写真8
雲南省抽慶大雪山の標高4100m付近。2010.9.21
萼裂片は細長く、ほぼ直角に外側へ屈曲する。「中国植物志」では雲南省内からの本種の記録は無いが、萼裂片の特徴から、暫定的にこの種に同定した。後述するヤクシマリンドウ属の種の群落中に、この一株だけを見つけた。
写真9
上の写真の撮影地点付近。右奥は抽慶大雪山(標高5090m、5300mなど諸説あり)の主峰。
Gentiana trichotoma三岐竜胆 〔sect. Frigida高山竜胆組〕
写真10
四川省雅江~康定(臥龍峠)。標高4500m付近。2009.7.20(以下同)
消去法的に、Gentiana trichotoma三岐竜胆と同定したが、典型的なこの種の特徴(茎と花序の展開様式)を必ずしも示してはいない。萼裂片はやや細長く、緩く外側に膨らむ。
康定県と雅江県の省境草原上に、茎高20~40㎝ほどの多数の個体が群生(ただし密生ではなく疎ら)していた。花筒の長さは4~5㎝、花冠直径は2㎝前後。
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花冠内面の斑紋は、個体によって様々。
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雅江の町の理塘寄りの峠(標高約4700m)のすぐ下から、ミニャコンカ峰7556mを望む。雪嶺の下の左右に伸びた山波が、このリンドウを撮影した「臥龍峠」。
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臥龍峠は標高約4500m。あちこちに放牧ヤクの群れが見られる。地面の黄色はキンポウゲ科の花。
写真25
この辺りの地質は、様々な特殊岩石からなっているように思われる。ところどころに、白い石が露出している。
写真26
国道418号線は、四川省成都西方の康定からチベット自治区との省境までの間に、標高4200m~4800mの峠(と言っても平坦な草原状)を5度越える。臥龍峠は康定から数えて2つ目。