青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

朝と夜のはざまで My Sentimental Journey (第58回)

2011-07-18 08:58:23 | 野生アジサイ



幻の“ヤナギバハナアジサイHydrangea kwangsiensis”探索記/広西壮族自治区融水苗族自治県九万大山②




朝の香港国際空港

2011.7.6
結局、Hさんに1万円を用立てて貰うことになりました。日本では出来なかったインターネットが、香港や中国では可能になります。このまま空港に滞在し、日本の各所とメール交渉を重ねて資金を得る予定だったのですが、すぐに交渉が成立する見通しは暗いと考えたほうが良さそうです。

目的の野生アジサイにしろヒグラシにしろ、6月後半、せいぜい7月前半が勝負、時間を浪費している余裕は一刻もありません。ということで、この1万円で、出来る限りのチャレンジをするべく、中国本土に向かうことにしました。とりあえず、最大の目標の「幻のヤナギバハナアジサイ」の探索に向かいましょう。

AM08:30香港空港からエアポートエクスプレスで九龍、無料シャトルバスに乗り継ぎ、東〇線ホンホン駅からシンセン羅湖にAM10:30着(計1400円)。イミグレーション通過後、食事をし(困ったことに、一度日本に帰国したためか、いつも出来ていた場所からインターネットが出来なくなったしまった、この後もそのことで悩まされます)、電話をかけ、地図を購入して、シンセン13:20発の動車(新幹線)で広州へ。車内でコンセントが使えるファーストクラス1350円(エコノミークラスは1200円)に乗ろうとしたところが、、、発車直前になって、食堂にバッテリーコードを忘れてきたことに気が付きました!慌てて走って取りに戻り、次の13:28発に振り替え乗車、しかし、広州行きではなく、一つ手前の広州東(なぜかこちらの便が大半)行きだったため、広州バスターミナルに向かうのに、バスや地鉄だと時間がかかるし、タクシーに乗ると料金がバカになりません。不便(便数が少ない)を承知で、近くの広州東バスターミナルへ。

案の定、広西方面に向かうバスは一つもありません。広州で停滞しても意味が無いし、少しでも先に進もうと、広州の衛星観光都市・筆慶へ。広州東15:20発、筆慶18:00着。そこから広西壮族自治区東南端の町・州へ向かおうと思ったのですけれど、やはり直通バスが無い!中国では隣り合った州や市を跨いで結ぶ(比較的近距離の)公共バスは著しく少ないのです(たぶん日本やアメリカでも同じ)。

切符売り場で頭を抱えていたら、窓口の女の子が、ブロークンな英語で、どこそこの町まで行け、と1枚の切符を発行してくれました。後でわかったのですが、州に隣接した、広東省側の小さな町です。そこで再び乗り換えれば州に行けると。
総じて、この筆慶のバスターミナルの人々は親切で、僕の中の中国人に対する認識が少しは変わってきたように思うのです(今回の地震以来、日本人に対する対応が微妙に変わってきた様な気がします、というよりも、もともと日本人に対して持っていたポジティブな心象が、微妙な形で良い方向に表れているのではないかと、そのことについては改めて)。

筆慶18:30発、開封(広東広西省境)21:30着、すぐに別のバスに乗り換えて、梧州22:00着。日本を出てから丸2日間寝ていないので、街中の大きなホテル(1500円)泊。



筆慶の町は、華東で言えば上海に対する杭州のような位置付けかも。町全体が、いわゆる“風光明媚”なイメージに包まれています。


(写真左)売店の女の子たちもなぜかとても親切、食べるものがほしいと言ったら、用意してくれたのがこれ。屋久島の餅菓子に似ているけれど、中に豚肉などが入っていてとても美味しい!
(写真右)バスの発車直前、切符売り場の女の子が、この先の行き方を記したメモを走って持って来てくれました。たどたどしい英語だけれど意味は充分に分かります。

2011.7.7
梧州08:30発、柳州15:30着(1800円)。柳州15:50発、融水18:30着(450円)。融水は、街全体が、林立する巨大な岩山の中にあり、一種異様な雰囲気を醸し出しています。バスターミナル近くの高級ホテルに投宿(1000円)。夜、雷を伴った豪雨。


梧州~柳州間は、このような風景がずっと続きます。




途中の町で昼食タイム。桂林米粉(50円)、瓜(30円)。






柳州~融水間は2時間半、しかしバスガイド?が添乗しています。自分用のクマさんの枕を出して、僕の前の座席で終点までずっと眠りこけていたけれど(笑)。


車内での晩飯(120円)。

 
融水のバスターミナル(右2枚)。広角のレンズが無いと、街全体を包み込む林立する岩山群が写せないのは残念です


町を鉄道が通っています。成都・重慶から、桂林や広州・シンセンへ2泊3日。町はずれの鉄道の駅に行ってみました。
輪車のオバちゃん「10元(135円)」。僕「3元じゃないと乗らない」。おばちゃん「じゃあ3元でいい」。往復で、かつ駅で20分ほど待たせたものだから、かなりの追加料金を要求されるかと戦々恐々、とりあえず10元を差しだしたら、(「これじゃ足りない」と言われるだろうという予想に反して)随分喜んでくれて、何度もお礼を言われたのでした。






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朝と夜のはざまで My Sentimental Journey (第57回)

2011-07-18 08:56:46 | 野生アジサイ



幻の“ヤナギバハナアジサイ(新称)Hydrangea kwangsiensis”探索記/広西壮族自治区広西壮族自治区融水苗族自治県九万大山注洞郷①

2011.7.5
予定していたJRの成田空港行き特急が、“節電”のためとかで運休、京成のスカイライナーに振り替えて、成田空港PM5:58着。PM6:50発のDELTA便に危く乗り損ねるところだったのだけれど、滑り込みで間に会いました。カメラを質から出し、先月分の家賃を振り込んで、残り財産は8000円です。幾らなんでも、次の年金支給日の8月15日まで、事足りるわけがありません。でも1カ月有効の往復チケットの期限が今日までなので、ともかく中国に戻るチャンスは今日しかないのです。この8000円を使って香港空港で寝泊まりし(インターネットがスムーズに使えます)、日本のあちこちと交渉して、資金を調達するほかない。ところが何と!その虎の子の8000円を京成日暮里駅構内の公衆電話に置き忘れてしまった!1時間前には到着が難しい旨をDELTAのチェックインカウンターとやり取りするのに必死で、電車賃のお釣りで手に持ったままの8枚のお札を電話機の上に置いたままにしてしまったのです。

香港空港着PM10:00。むろん空港内で宿泊。でも日本のあちこちとメールでの交渉をしなくてはならないので、一睡も出来ない。出発前に、Aさん、Mさん、Kさんに幾許かの借金を申し入れ、それで質からカメラを出して(1万5000円)先月の家賃(3万5000円)を支払うことが出来たわけだけれど、あやこさんを含め、皆僕とは仕事上の繋がりは全く無い、いわば唯の知人に過ぎません。その(僕に対して何の義理もない)方たちが、僕の厚かましいお願いを聞きいれて下さり(金額の多少はともかく)助けてくれているのに、仕事関係の繋がりのある、要望に応じて写真や文章や情報を数多く提供している幾つかの企業やメディアや研究施設は、(未だ手にしていない)見返り報酬の打診をしてもウンともスンとも返事が無い。

なかには、こんな酷い例もあります。以前(その企業の一職員に対して)個人的に使用を許可してあった写真原版のうち、10数枚が営業用にネットで販売(顧客への贈呈?)されているのを見付けたので、いまさら使用料を請求するのもどうかと思い、(無断使用には目をつぶって)新たなルートが構築出来ればと、連絡を取って見ることにしました。一応大歓迎されたので、窮状を訴えるとともに、今後の写真提供に関わる交渉をメール送信したところ、次のような返事が。「大震災の被災者への援助金に回さねばならないので、資金的な余裕が無い」。それで「僕も被災者同様に日本の一市民です、かつ写真販売を生業としています、使用された写真の報酬を頂く当然の権利があると思っています、写真単価の金額には拘りませんのでそちらの判断で相当する使用料を納めて頂きたい」。と再メールを送ったところ、返事はなしのつぶて(苦笑)。

こんなことは、いつものことなのです。(それまで全く関わりのなかった)企業や大学などから、様々な情報や写真の提供を求められたり、講義講演のお願いをされたりするのですが、それに応じて相応の条件や報酬を要求すると、謝絶されてしまう。情報や写真はすでに提供しているわけですから、詐欺だとしか言いようがありません。

そしてしばしば(前にも一度記しましたが)こんなことを言われます。「もっとお金に恬淡としていると思った」「あなたが報酬を要求してはいけない」等々。どうしてこう甘く見られるのでしょうか? 出発前にジン君と食事をした際、彼に言われたのですが、今の日本では“所属”が明確でなければ、仕事としての交渉が成立しないのではないだろうか。言い換えれば、自分の“立場”を明確に相手に伝えること。僕の場合、正規の研究者でも無ければ、いわゆるマニア・愛好家でもない。
何らかの母体に所属しているわけでもない。今の日本の社会の中では甘く見られて当然なのかも知れません。ジン君が僕のことを友達に紹介するとき、「現代の南方熊楠です」と言ってくれるのは(身に余る光栄で)凄く嬉しいのです。でも実際問題、それに甘んじているわけには行きません。

そのうちに、大学とか、研究施設とかからの、理不尽な要求などを集めた、「コラム集」を披露しようかと思っています。





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