功夫電影専科

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『ミッドナイト・ランニング』

2011-10-27 22:17:38 | カンフー映画:珍作
「ミッドナイト・ランニング」
原題:反斗狂奔
英題:MIDNIGHT RUNNING
製作:2006年

▼この作品は、洪金寶(サモ・ハン)ら香港映画を代表する俳優の息子たちが一堂に会した作品です。サモハンの息子の洪天明(ティミー・ハン)、曾志偉(エリック・ツァン)の息子の曾國祥(デレク・ツァン)、そして呉耀漢(リチャード・ン)の息子の呉嘉龍(カール・ウン)が出演しており、感慨深いスリーショットが実現しています。
日本版のパッケージは『インビジブル・ターゲット』風になっていますが、本編はちょっとしたコメディ仕立てのシナリオになっていて、それほど硬派な内容ではありません。なかなか昇進できないヒラ警官の洪天明、ヘミングウェイが好きなバーテンの曾國祥、日本人でスリの真家留美子らが中心となって物語は進んでいきます。

■舞台はクリスマス・イブの香港。根はいい子だが手癖の悪い留美子は、マフィアの持っていた大事な名簿を(そうとは知らずに)盗んでしまった。マフィアのナンバー2である蔡一智は彼女の捜索を命じ、とばっちりを受けた一般人の曾國祥も協力を強いられる事となった。
マフィアの追及でピンチに陥る留美子…その姿を見かねた曾國祥は、思わず彼女を助けてしまう。とりあえず留美子の自宅に向かい、互いにヘミングウェイが好きだということでイイ感じになっていく2人。しばらくして追いかけてきた洪天明が合流し、名簿の重要性を指摘するのだが、なんと留美子が「名簿を餌にマフィアと取り引きしよう」と言い出したのだ。
 彼女の提案によって、騒動は思わぬ方向へ進展していく。次々と巻き起こるトラブル、こじれそうになる三者三様の人間関係、そして和解と復縁…。だが、洪天明のミスで名簿が紛失し、イヤミな上司の呉嘉龍から救援を断られたため、彼はたった1人でマフィアと対峙する羽目になってしまう。
一方、敵対しているマフィアの組織内でも2つの派閥が対立し、一触即発の空気になりつつあった。文字通りの四面楚歌な状況の中で、果たして3人は無事に困難を乗り切ることが出来るのだろうか?

▲前述の通り、本作はコメディ調の演出がなされていますが、完全な喜劇ではありません。主人公の洪天明が警察官なので、ジャンル的にはポリスアクション…と言いたいところですが、曾國祥と留美子が織りなすラブストーリーの方が大きく扱われています。要するに本作、どういったジャンルにしたいのか定め切れていないのです。
また、マフィアを相手にケンカを売る留美子の行動は、コメディ調の演出を差し引いても常軌を逸していると言わざるを得ません(香港ノワールだったら確実に死んでます)。クライマックスの香港映画らしい騙しあいや、縞模様のビニール袋によって発生する勘違いなど、面白い部分もあるにはあるのですが…。
 功夫アクションは極端に少なく、単なる小競り合い以外はラストバトルに集中しています。主役サイドで活躍するのは洪天明のみですが、蔡一智とのタイマンバトルや集団戦などが展開され、そこそこの盛り上がりは見せていました。
作品そのものは無難な出来ではあるものの、大物俳優のジュニア世代たちが頑張っている本作。もし可能であれば、残りの福星メンバーの息子たち(いるのかな?)も全員呼んじゃって、『新五福星』を製作して欲しいですね(笑

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