「野獣 地獄からの生還」
製作:1995年
▼Vシネ全盛期、日本では実に多くのアクションVシネ作品が作られていました。活劇映画が下火である現在では考えられない事ですが、90年代は日本産のコマンドアクションなどが全盛を誇っていたのです。
中には『極東黒社会』のようなガッカリ大作もありますが、この手の和製コマンドアクションとはバブル期を象徴するジャンルであったように思えます。本作もそんなコマンドものの1つで、当時『ヤマトタケル』で主演を飾っていた高嶋政宏が出ているのがミソ。我らが松田優も、傭兵部隊のリーダーというナイスなポジションで出演しています。
■高嶋政宏はごく普通のサラリーマンだったが、あるとき偶然にも社長(長谷川初範)が傭兵派遣に関与している事を知ってしまう。
口封じのために傭兵部隊に拉致され、手術によって洗脳された高嶋を待ち受けていたのは、地獄のような特訓の日々だった。しかし彼は洗脳に打ち勝ち、十分な実力を身に付けると傭兵収容所からの脱走に成功。なんとか東京に帰ってきたが、恋人の安原麗子は長谷川に略奪されていた。冷酷非道な彼は高嶋を捕らえるが、自ら死を選んだ安原の犠牲で九死に一生を得るのだった。
その後、昏倒(洗脳手術の後遺症)した高嶋は女医の染谷まさ美と出会い、なんだかんだで意気投合。安原の事も忘れて結ばれるのだが(おいおい)、やっぱり彼女も高嶋を守って死んでしまう。怒りに燃える彼は長谷川の本陣へと乗り込むが、そこには松田優が率いる傭兵部隊が待ち受けていた!
▲う~ん…これはまさしく『狂犬 Mad Dog』。『狂犬』は以前紹介したVシネ作品なんですが、本作はその『狂犬』と非常に内容が酷似しているのです。平凡なサラリーマンが主役でトラブル巻き込まれパターンなのも同じ、恋人と協力者の女が死ぬ展開も同じ、主人公の行く末に破滅を匂わせるラストも同じ…と、とにかく共通する点が目に付きます。
ただ、清水宏次朗と比較すると本作の高嶋政宏は若干役不足な印象を受けました。格闘技の素養が無いのにアクションシーンへ挑んだ心意気は立派だし、作中での殺陣も頑張ってはいるのですが…やはり何か物足りなさを感じてしまいます。
また、『狂犬』では石橋雅史や白竜といった色濃いキャストがいましたが、本作における松田優と長谷川初範も不完全燃焼な気がしました。松田は比較的最後まで出番が多いのですが、ラストのVS高嶋では相手に遠慮しているせいなのか、ややアクションが抑え目になっています(殺陣自体は関節狙ったりとか凝っているだけに残念)。
長谷川は「俺は帝王だ!神だ!」などと口走る典型的な悪党なので論外。非道で悲しみを背負った人物だった『狂犬』の白竜の方が、よっぽどインパクトで勝っています。…そんなわけで、全体的に見ると悪い作品ではないんですが、出来は今一歩&二番煎じ止まり。結論としては、本作を見るなら同じテイストの『狂犬』を見たほうが面白いので、皆さんは松田優の名に釣られないように。
製作:1995年
▼Vシネ全盛期、日本では実に多くのアクションVシネ作品が作られていました。活劇映画が下火である現在では考えられない事ですが、90年代は日本産のコマンドアクションなどが全盛を誇っていたのです。
中には『極東黒社会』のようなガッカリ大作もありますが、この手の和製コマンドアクションとはバブル期を象徴するジャンルであったように思えます。本作もそんなコマンドものの1つで、当時『ヤマトタケル』で主演を飾っていた高嶋政宏が出ているのがミソ。我らが松田優も、傭兵部隊のリーダーというナイスなポジションで出演しています。
■高嶋政宏はごく普通のサラリーマンだったが、あるとき偶然にも社長(長谷川初範)が傭兵派遣に関与している事を知ってしまう。
口封じのために傭兵部隊に拉致され、手術によって洗脳された高嶋を待ち受けていたのは、地獄のような特訓の日々だった。しかし彼は洗脳に打ち勝ち、十分な実力を身に付けると傭兵収容所からの脱走に成功。なんとか東京に帰ってきたが、恋人の安原麗子は長谷川に略奪されていた。冷酷非道な彼は高嶋を捕らえるが、自ら死を選んだ安原の犠牲で九死に一生を得るのだった。
その後、昏倒(洗脳手術の後遺症)した高嶋は女医の染谷まさ美と出会い、なんだかんだで意気投合。安原の事も忘れて結ばれるのだが(おいおい)、やっぱり彼女も高嶋を守って死んでしまう。怒りに燃える彼は長谷川の本陣へと乗り込むが、そこには松田優が率いる傭兵部隊が待ち受けていた!
▲う~ん…これはまさしく『狂犬 Mad Dog』。『狂犬』は以前紹介したVシネ作品なんですが、本作はその『狂犬』と非常に内容が酷似しているのです。平凡なサラリーマンが主役でトラブル巻き込まれパターンなのも同じ、恋人と協力者の女が死ぬ展開も同じ、主人公の行く末に破滅を匂わせるラストも同じ…と、とにかく共通する点が目に付きます。
ただ、清水宏次朗と比較すると本作の高嶋政宏は若干役不足な印象を受けました。格闘技の素養が無いのにアクションシーンへ挑んだ心意気は立派だし、作中での殺陣も頑張ってはいるのですが…やはり何か物足りなさを感じてしまいます。
また、『狂犬』では石橋雅史や白竜といった色濃いキャストがいましたが、本作における松田優と長谷川初範も不完全燃焼な気がしました。松田は比較的最後まで出番が多いのですが、ラストのVS高嶋では相手に遠慮しているせいなのか、ややアクションが抑え目になっています(殺陣自体は関節狙ったりとか凝っているだけに残念)。
長谷川は「俺は帝王だ!神だ!」などと口走る典型的な悪党なので論外。非道で悲しみを背負った人物だった『狂犬』の白竜の方が、よっぽどインパクトで勝っています。…そんなわけで、全体的に見ると悪い作品ではないんですが、出来は今一歩&二番煎じ止まり。結論としては、本作を見るなら同じテイストの『狂犬』を見たほうが面白いので、皆さんは松田優の名に釣られないように。
自分は本作をずいぶん前に深夜のTV放映で見て、がっかりした記憶があります(笑)当時は意識していませんでしたが、松田優が出ていたんですね。
今思えば、高嶋政宏・主演というのも当時のVシネのやる気を感じますね。まあ、高嶋自体は今ひとつ肉体派になりきれない、中途半端な位置のままですが…渡辺裕之とポジションがカブるという気もしますし。
>Vシネ全盛期、日本では実に多くのコマンドアクションが作られていた。
>和製コマンドアクションとはバブル期を象徴するジャンルであったように思える。
この辺の洞察は、龍争こ門さんの素晴らしい点だと思います。まさにその通りだと感じますし、当時の作品群を今また、見てみようという気になります。
和製コマンドアクションというジャンル、確かにありましたね!又野誠治、名高達郎、フィリピンロケなどという単語が思い出されます(笑)
思えば『クライムハンター』から始まったGUNアクション路線が、コマンドアクションになり、『狙撃 SHOOTIST』から殺し屋・ハードボイルド路線が…という流れだったような気がします。
前者は『兇悪の紋章』『マニラ極道戦争』、後者は『名のない男 破壊!』『青い豹』シリーズなどが思い出されます。
その中間(?)に位置するような作品で、『死神の使者』という作品がありますが、龍争こ門さんはご覧になったことがあるでしょうか?『ローグ・アサシン』でジェット・リーとソードバトルを繰り広げた石橋凌と『フィスト・オブ~』で(以下略)の倉田保昭がラストで対決するという、今考えると不思議な因縁のある作品です。殺陣のレベルは、当時興奮して見た記憶がありますが、再見しないと確かなことは言えないな~という気がします(汗)
龍争こ門さんが『野獣 地獄からの生還』を取り上げてくれた事で、また見てみたい気持ちになりました。もし見つけましたら、観賞後にまたコメントさせていただきます。
長文失礼いたしました。これからも積極的に多くの作品を取り上げていってください。
>自分は本作をずいぶん前に深夜のTV放映で見て、がっかりした記憶があります(笑)
昔はよくVシネ作品の深夜放送がありましたね(私もこれで『格闘王2』とか見ていました)。最近でもたまに放送されているのを見かけますが、近作ばかりで90年代の作品はあまり放送されていません。これはちょっと寂しいかも…。
>和製コマンドアクションというジャンル、確かにありましたね!
実を言うと私は後発の世代になります。現在21歳の私はVシネ全盛期を幼少時に過ごしてしまい、この手の作品を見るようになったのは高校時代以降になります。後追いなので決して全ての作品に目を通している訳ではないのですが、それでも私にとってVシネは愛すべきジャンルなのです。
>『死神の使者』
まだまだVシネには多くの作品があるんですね。こちらはちょっと興味が湧いたので、今度探して拝見してみたいと思います。長文投稿は歓迎ですので、今後も遠慮無くお越し下さい(笑顔