功夫電影専科

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『少林寺 達磨大師』

2012-07-10 22:28:49 | カンフー映画:珍作
「少林寺 達磨大師」
原題:達摩祖師/達摩祖師傅/達磨祖師
英題:Master of Zen
製作:1994年

●本作は、袁家班の一角を担った袁振洋(ブランティ・ユエン)が監督・脚本・武術指導・製作・プロデュース、そして自身のプロダクションを立ち上げてまで作り上げた入魂の作品です。
袁家班といえば『酔拳』『蛇拳』を作り出したトップレベルの武術指導集団であり、袁振洋も数々の作品に関わってきました(監督作としては『チャンピオン鷹』が有名)。しかし彼は仏の道を選び、本作を最後に映画界から去ることを決意するのです。
 本作にはそんな袁振洋の仏門に対する思いが集約されていて、禅宗の祖である達磨大師の一生が丹念に描かれています。確かに少林寺が登場したり、いくつかアクションシーンもあったりするんですが、あくまでテーマは禅。作中の至る所で様々な問答が繰り返されていきます。
こう書くと難解な宗教映画のようですが、小難しくて解りにくいような描写はあまり見当たりません。むしろ伝記映画としての完成度は高く、多少は脚色されている部分もあるようですが、禅宗を知らない人でも楽しめる内容には仕上がっていました。

 ストーリーは爾冬陞(イー・トンシン)扮するインド王族の青年が僧侶となり、禅宗の教えを広めるため中国へと渡航。謁見した武帝から突っぱねられ、少林寺で9年の座禅を経た後に、片腕を切断してまで弟子入りを請う慧可(演じるのは樊少皇(ルイス・ファン)!)を迎え入れます。
…と、こんな感じで本作は達磨大師の生涯を辿っていきます。功夫アクションもそれなりに用意されていて、序盤の暗殺団との対決を皮切りに、悪夢の中で樊少皇が剣戟ファイトを繰り広げたり、終盤では盗賊団を相手に爾冬陞が激しい立ち回りを披露していました。
 ただ、この盗賊団との戦いはかなりハチャメチャな結末を迎え、宗教映画らしい超展開に至ります(このへんのエピソードも本当らしい)。また、最終的に達磨大師はあの少林拳を生み出しますが、そこに至るまでの経緯はえらく唐突なものだったりします。まぁ、作品的に禅宗>功夫という比率だから仕方ありませんが…。
純粋な功夫映画ではないので期待は禁物ですが、ためになる話が詰まった一品。ちなみに袁振洋ですが…なんと『功夫侠』という作品で映画界へ復帰を果たしたそうです。主演は袁家班出身の陳虎で、あのキアヌ・リーブスも関わっているとか。袁振洋は武術指導を担当したようで、今後の彼の動向が気になりますね。

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