功夫電影専科

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【春のBOLO-YEUNG祭り②】『硬漢功夫本』

2013-04-08 23:32:49 | カンフー映画:佳作
硬漢功夫本
英題:Kung Fu's Hero/Tough Guy/Angry Dragon
製作:1973年

▼世界的な大ヒットを記録し、後の香港映画界にも大きな影響を与えた『燃えよドラゴン』。その劇中で処刑人ボロを演じた楊斯(ヤン・スエ)は、ビルドアップされた肉体で存在感を誇示し、観客に強烈な印象を与えました。
一夜にして悪役スターとして認知された彼の元には、次々と出演依頼が殺到。李小龍(ブルース・リー)のフォロワー作品を始めとした、多くの映画に出演していくことになります。
本作は『燃えよ~』公開の年に作られたもので、李小龍の影響下にある作品ですが、作風やアクションは『餓虎狂龍』などで知られる呉思遠作品をベースにしています。本作のキャストやスタッフは同じような作品を幾つも手掛けていて、以前紹介した『小覇王』も彼らの作品だったりします。

■秘密捜査官の張力(チャン・リー)は、対立する2つの道場がある町を訪れていた。彼の目的は、この町の支配を企んでいる人身売買組織・山怪(サン・カイ)一派の掃討である。山怪一派は邪魔な2つの道場を排除するため、両者を争わせようと画策していたのだ。
張力は敵の計画をことごとく阻み、先手を打っていく。やられっぱなしで面白くない山怪一派は、仲間の唐天希(『Gメン82』のハゲ男)を呼び寄せて一方の道場を襲撃し、館長の一人娘である許珊を連れ去った。
 だが、山怪のもとで働いていた江可欣が彼女を連れて脱走。追われているところを張力に助けられ、許珊たちの証言によって敵の目的が道場の関係者全員に知れ渡った。計画は頓挫し、これで山怪一派もお終いか…と思われたが、新たな助っ人・楊斯の出現により再び勢いを盛り返してしまう。
その頃、張力は売り飛ばされようとしていた娘たちを救い出したが、その隙を狙われてもう一方の道場を破壊されてしまった。逃げる山怪!追う張力!果たして、この追跡劇はどちらに軍配が挙がるのか!?

▲ストーリーこそ雑な感じですが、エネルギッシュなパワーに満ちた作品です。さすがに『小覇王』には及びませんが、技の応酬よりも勢いを重視したアクションの数々は、とても見応えがありました。
特に凄まじいのが終盤のマラソンバトルで、30分近くにわたって延々と戦いが繰り広げられています。楊斯を下し、唐天希を倒し、車で逃げる山怪を追う張力ですが、この追跡シーンが異様に長いのです(なんと約8分もあります)。
 全力疾走する車に対して、張力はひたすら徒歩で走り続けます!マラソンバトルとは走りながら戦うスタイルのことですが、本当にマラソンをするバトルがあるとは驚くしかありません。ヤケクソ気味に走り続ける張力が本当に辛そうで、見ていて心配になってしまいました(爆
ただ、スケジュールの関係か楊斯の出番は少なく、張力との本格的なタイマン勝負は『小覇王』までお預けとなります。アクション以外は非常に地味な作品ですが、ノンスター映画としては上々の出来だったのではないでしょうか。
 この当時、楊斯はTVドラマの『闘え!ドラゴン』『Gメン75』にも出演しており、確実に知名度を高めていました。しかし時が経つにつれて、フォロワー作品よりも悪質なタイプの映画からオファーがかかるようになってしまいます。そう、バッタもん李小龍ブームの到来です。
基本的に仕事を選ばないスタイルの彼は、いいようにバッタもん映画で使いまわされ、70年代の終わりから80年代の前半にかけて15本以上もの作品に関わっていきます。その一方で楊斯は、自分にとって未開拓であったジャンルへ挑戦するのですが…。
(次回へ続く!)

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