功夫電影専科

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『ファイヤー・ドラゴン/火雲伝奇』

2014-12-11 22:50:13 | 女ドラゴン映画
「ファイヤー・ドラゴン/火雲伝奇」
「ファイヤー・ドラゴン」
原題:火雲傳奇
英題:Fire Dragon/The Fiery Dragon Kid
製作:1994年

▼かの『スウォーズマン/女神伝説の章』で、性を超越した唯我独尊なキャラクター・東方不敗を演じた林青霞(ブリジット・リン)。そのインパクトは非常に強く、多くのプロダクションから似たような役柄のオファーが相次ぎました。
本作もそうした作品の1つであり、古装片ブームに大きく貢献した名武術指導家・袁和平(ユアン・ウーピン)が監督を務めています。しかし便乗作は便乗作…先に言ってしまいますが、本作もそれほど凄い作品ではありません(苦笑

■さすらいの剣士・莫少聰(マックス・モク)は、暴君である單立文の謀反を知った兄から密書を託され、刺客の林青霞と死闘を展開していた。その際に彼は芸人一座に命を救われるが、肝心の密書を座長の呉君如(サンドラ・ン)にくすねられてしまう。
呉君如は莫少聰に一目惚れしており、仕方なく彼は一座に住み込んで機会を待つことに…。そんな中、林青霞が祝宴の席で名君を暗殺せんと動き出すも、すんでのところで莫少聰と呉君如の兄・巫剛に阻止された。
 そこで彼女は町娘になりすまし、一座に潜入して密書を奪おうと企んだ。莫少聰はこれを怪しむが、人々との交流によって林青霞は感情を取り戻していく。しかし、彼女の妹にして單立文の刺客・葉全真が襲撃に現れ、一座の中に犠牲者が出てしまった。
やがて2人の刺客は対立しはじめ、巫剛は好いていた林青霞の正体を知る事となる。果たして剣士たちの運命は? そして戦いの行方は…?

▲本作はストーリーの大半を大味なラブコメが占めており、『スウォーズマン』を期待して見た人は必ずやズッコケるであろう内容となっています(爆
このラブコメを許容できるか否かが本作を楽しむ判断基準となるわけですが、林青霞は善悪の間で揺れる刺客を見事に演じ切っているし、作品の質に関しても問題は無かったといえるでしょう。
 一方、アクションシーンは当時の古装片にありがちな、クルクル回ってキンキン斬りあうだけのパターンで構築されています(立ち回りの大半も役者自身ではなくスタントマンが担当)。
しかし特殊効果や武器を工夫することでマンネリ化を回避していて、ラストバトルでは可燃性の油がある場所(製油所?)でダイナマイトが飛び交い、大爆発が巻き起こるコマンド映画のような光景が繰り広げられていました(笑
 ただ、1つだけ気になるのが主人公を演じた莫少聰の扱われ方です。当初は主人公らしく活躍していた莫少聰ですが、ストーリーが進むにつれて林青霞と巫剛の恋愛がメインとなり、出番が激減していきます。
これだけなら「いつもの香港映画らしい無軌道な展開」で片付けられますが、最終決戦では林青霞らと一緒に参加しているはずなのに、彼自身が画面に一切映らなくなるという異常事態へと発展するのです。
 不可解な出来事はこのあとも続き、ラストシーンでは誰も林青霞を気にする素振りを見せず(一部始終を見ていたはずの巫剛もノーリアクション)、再び莫少聰が主人公らしく格好をつけたところで終幕となります。
役者のスケジュール調整が上手くいかなかったのか、それとも撮影途中にトラブルが起きたのか…。いきなり巫剛が林青霞の正体を察する強引な展開もふくめて、非常に気になるところです。

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