功夫電影専科

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功夫電影秘宝館(3)『ホンコントライアングル/悶楽の淫媚極』

2018-03-19 22:11:23 | 女ドラゴン映画
「ホンコントライアングル/悶楽の淫媚極」
原題:情不自禁之想入非非
英題:Power of Love
製作:1993年

●前回、前々回とアクション系の三級片を紹介してきましたが、どちらの作品にも日本のAV女優が起用されています。こうしたケースは他にもあるようで、多くのジャパニーズ・ビューティーが香港への進出を果たしました。
大手ゴールデン・ハーベストが製作した『真説エロティック・ゴースト・ストーリー/艶魔大戦』の工藤ひとみ、当ブログで以前紹介した『KEDAMONO/獣』の村上麗奈など、日本で公開された作品だけでも結構な人数に上ります。
 なぜ日本人女優がここまで重宝されているのか? その答えの一端が「超・級・無・敵/香港電影王」という書籍に記されていました。その本の記事によると、彼女たちは香港ポルノ女優をフォローするために投入されたそうです。
90年代、香港では三級片ブームが巻き起こっていましたが、香港という狭い立地では親バレしてしまう確立が高く、それが原因でポルノ女優の層はあまり厚くなかったとのこと。そうした心配がない日本人女優は、製作側にとって実に便利な存在だったのでしょう。
本作や『愛殺』『艶魔大戦』に出演しているAV女優の大友梨奈も、そうした流れで香港映画界に足を踏み入れたのだと思われます。

 この作品は大富豪の遺産を巡る愛憎劇で、話の筋は『KEDAMONO』とだいたい一緒。メイドの呂莉、大富豪の息子に取り入った悪妻の大友、そして殺し屋の宣[丹ミ](スウェン・タン)が、互いに憎しみ合うというストーリーです。
彼女たちは貞操観念が薄く、浮気や寝取るのなんて朝飯前。主人公の呂莉にいたっては、人畜無害そうに見えて計3人の男性(彼氏と大富豪とその息子)と関係を持っており、いくらポルノ映画でも節操が無さすぎだろ!とツッコまざるを得ません(爆
話は、大富豪に気に入られた呂莉が遺産を相続することになり、これに激怒した大富豪の息子・徐寶麟と大友が殺し屋の宣[丹ミ]を雇います。そこから人間関係が乱れに乱れ、因果応報のバッドエンドとなる所も『KEDAMONO』と同じでした。

 ここで気になるのはアクションの有無ですが、中盤に殺し屋を紹介した仲介人による乱闘シーンがあります。この仲介人、やたらと手慣れた様子で立ち回りを見せますが、演じているのはなんと『少林皇帝拳』汪禹(ワン・ユー)なのです。
かつて劉家班の一角を担い、ジャッキーよりも早くコメディ功夫片のスターとなった汪禹ですが、80年代に所属していたショウ・ブラザーズが崩壊するとフェードアウト。本作では初の武術指導も兼務していますが、当時は低迷期の真っ只中にありました。
 さらに本作にはもう1人、ショウブラ出身の蕭玉龍(『南少林寺VS北少林寺』では南少林派の第二陣として鹿峰と対決)が出演しており、大友に手懐けられた殺し屋として登場。終盤に徐寶麟を叩きのめし、主役そっちのけで銃撃戦を演じています。
彼はショウブラ崩壊後も活動を続け、時には主役級の活躍を見せましたが、この作品が最後の映画出演作となりました。本作は取るに足らないポルノ映画ですが、活躍の場を失い、ここで戦うしかなかった功夫俳優たちの悲哀をひしひしと感じてしまいます。
…と、なんだか暗い話になってしまいましたが、次回はさらにダークかつ過激な三級片が登場! 数々の問題作を監督した某武打星による、容赦なきハードアクションに迫ります!

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