功夫電影専科

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『愛しのOYAJI 激突編』

2014-12-03 22:33:57 | 日本映画とVシネマ
「愛しのOYAJI 激突編」
製作:2008年

●京都府警の元警察官である小沢仁志は、ストリップ小屋の照明係をしながら浅草の平和を守っていた。彼は今日もイケメン歌手の恋人を狙った毒殺未遂、運送業者を隠れ蓑にした武器密輸など、様々な難事件を解決していく。
だが一連の事件には、かつて初代会長を小沢の友人である元侠客・真樹日佐夫に斬られ、煮え湯を飲まされた関東同憂会が関与していた。連中は傘下の暴力団・台東組を立ち上げ、前作で壊滅した雷組の跡地に事務所を設立する。
 関東同憂会の二代目会長は、先代の頃から仕えていた若頭・永倉大輔に真樹への復讐を指示。一方で裏カジノの支配人を脅迫し、彼の娘に肉体関係を迫ったりと無法の限りを尽くしていたが、会長には別の思惑があった。
そのころ台東組の嫌がらせに耐えかねた真樹は、組の傘下施設に襲撃を繰り返していた。これに小沢も加勢するが、今度は真樹の妻がバイクにはねられて負傷してしまう。
 この一件は台東組の仕業と思われたが、よくよく考えれば真樹の怒りを買うだけの無駄な行為でしかなく、台東組に利益はない。一方の永倉は「私は知らない」と主張し、組に殴りこんだ真樹はこれを信じて引き下がった。
上からの命令と真樹への思いに板挟みとなった永倉は、苦悩の末に自害する道を選んだ。果たしてひき逃げ未遂と事件の真相は?そして真樹の運命は…?

 本作は真樹センセイ&影丸穣也コンビによる漫画作品の実写版で、柔道使いのオヤジが戦う人情アクションの第2弾です。前作はそれなりに格闘シーンがあり、ユーモアのある描写がいい味を出していました。
今回も作風はそのままですが、小沢のアニキが長髪にジャケットを羽織ったワイルドな風貌にチェンジ。これがまた格好良く、楽しそうにボケをかます姿はなかなか笑わせてくれます。
 しかし本作は個々の描写が足りず、全体的にイビツさを感じる出来となっているのです。毒殺未遂事件が発生した経緯をセリフだけで処理、踊り子の1人が武器密輸に関わった顛末が明かされないなど、釈然としない箇所が随所に存在します。
裏カジノのエピソードにいたっては小沢がまったく絡まないため、完全に余分なパートと化していました。苦みを残す結末や永倉のキャラクターは悪くないし、原作を見ていれば納得できる展開なのかもしれませんが…。
 アクションも激減していて、前作には存在していたタイマン勝負とラストバトルが消滅。集団戦はいくつかありますが、前作からのボリュームダウンは否めません(エンドクレジットには技斗やアクション指導などの表記はなし)。
ちなみに本作は真樹センセイの出番が増え、実質的なもう1人の主役となっていました。立ち回りも何度か披露しており、晩年のゲスト出演としては登場頻度が高かったといえます。極端に酷くはないものの、痛快さでは前作に劣っている本作。格闘シーン目当てなら他のマキ印作品を見た方がいいかもしれませんね。

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