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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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糞青どもが不穏。メディアも当局も不穏。「攘夷」突入か?
シリーズ中国観察
/
2008-04-28 19:14:28
(
シリーズ:攘夷運動2008【5】
へ)
どうも中国指導部はやり過ぎてしまったようですね。
煽り過ぎた、というべきでしょうか。聖火リレーの話です。いや、「愛国主義」という名のもとに横行する排外ナショナリズム(攘夷運動2008)、という方が正確かも知れません。
私などは長野の一件でもう十分に辟易していたのに、昨日4月27日に韓国のソウルで行われた聖火リレーの凄まじかったこと。もはやプチ暴動でしょうあれは。しかも暴れているのは韓国人ではなく、大使館に動員されたとみられる現地在住の中国人留学生や華僑。人海戦術に物を言わせてアウェーも何のその。独り焼き肉パーティーや指切りげんまんをはじめ、こと「抗議運動」にかけては剽悍(笑)なことで有名な「反省しる!」の韓国人が圧倒されていました。
驚きましたねえ。……韓国人が圧倒されていることではなく、他所の国でああいうことをやって平然としていられる中国人の神経。それから、連中を束ねている中国大使館やそのまた背後の中共政権の感覚です。聖火リレーって実は反中感情を広めるためにやっているのでは?と思えてきました。
その聖火リレーもロンドン,パリ、サンフランシスコあたりまでは
「チベットに対する人権弾圧に抗議する活動家や地元市民vs動員された中国人」
という構図だったように思います。
ところがパリやサンフランシスコの後あたりから、中国当局がそれまでの「反ダライ集団」だけではなく人権弾圧に批判的な西側主要国やメディアにも鉾先を向けた宣伝工作を中国全土で展開し、むしろ「ダライ集団批判」を二の次にするような勢いで欧米と西側メディアを叩き始めました。そういうキャンペーンの受け手である中国国民も、特に30代から下は江沢民が始めた愛国主義教育を全身に浴びて育っていますから、「愛国」宣伝に燃え上がりやすくなっています。
その結果、東南アジアツアー以降は「チベット問題をめぐる衝突」というより、
「聖火リレーに抗議する者を現地在住の中国人集団が人数でねじ伏せる」
といった図式が確立されています。キャンベラや長野でもそうですし、ソウルもまた例外ではありませんでした。
――――
もはや暴民といっていい中国人集団の非道な振る舞いについて、
前回
のコメント欄にて「arcadia」さんが、
「中国共産党教に染まった原理主義者」
と見事に喝破しておられます。確かに中共史観と中共的価値観をバイブルとする「中共教」の信者ども、といった観がありますね。
興味深いのは、数字に照らして考えてみると、あれら暴民というか信者どもの多くは中国共産党員ではない確率が高いということです。「攘夷」と「愛国」と「中共」がいまや渾然一体として、それぞれを隔てる垣根が限りなく低くなりつつあるのは注目すべきではないかと思います。
もちろん原因は煽り過ぎたことと、学校教育を通じて燃え上がりやすい亡国の世代を量産している中共政権そのものにあります。ただその中共指導部にしてもそろそろ煽り過ぎたことを後悔し始めているのではないでしょうか。
出先の大使館サイドはノルマを課されたが如く動員令をかけるよう北京から指令が出ているので、とにかく命令通りに、と動いているのではないかと思います。現地在住の中国人を保護する立場から考えれば、暴民動員はどう考えても愚挙でしょうから。……あるいは自国民の保護なんざ本音ではどうでもよくて、ここで大いに働いて自分の出世につなげようという大使さんや公使さんの方が多いかも知れませんけど。
いかに愚昧な攘夷運動であれ、「愛国」の二文字をおっかぶせてしまえば錦の御旗ですから誰も文句が言えません。文句をつければ即「売国奴」扱い。要するに「愛国」モードに入ってしまうと中国からは良識が排除されることになります。
ちょっと前に中国国内で展開されたフランス製品ボイコット運動、その具体的な目標にされたフランス系スーバー・カルフールに対する不買運動に苦言を呈したジャーナリストや評論家はネット世論から猛反発の十字砲火を喰らって沈黙せざるを得ませんでした。
――――
そのカルフール、不買運動に恐れをなしたか5月1日から予定されていたバーゲンセールを急きょ中止すると発表し、北京市内などの一部店舗では店員が身につける制服に新バージョンが出現。赤地に黄色をあしらった要するに中国国旗風のデザインに加えて、帽子などにも北京五輪ロゴが入っているとか何とか……とにかく悪い言い方をすれば「媚びた」格好に一新されました。同時に北京五輪支持声明のようなものも出されています。
何をそんなにビビっているのか、と思っていたのですが、最近スランプ気味なのが心配な楊冪を振り出しに巡回する芸能人系のブログ(汗)の中で、ある若手女優?が昨日付(27日)のエントリーにて、
「いま5月1日にカルフールの不買運動をやろうって話がネットで飛び交っているよね」
と切り出し、
「やっぱここはボイコットだよね」
調で締められていました。メールなどで出回ったあの火種、まだ健在だったのかとちょっと驚いたのですが、試しに糞青ども(自称愛国者の反日信者)が集う代表的なサイトのひとつで反日サイトの総本山的な存在ともいえる「中国民間保釣連合会」をのぞいてみたところ、何と長野で聖火リレーが行われた26日、湖南省・長沙市のカルフール前で不買を呼びかける有志による抗議活動が展開されていました。
画像たくさんです。店内乱入のようなことは行われていませんが、かなり盛り上がっています。何という威力業務妨害(笑)。一応現場にいた警官とも和やかムードだったようです。他の都市でも何らかの活動が行われた形跡があります。
●長沙愛國運動高漲,毛主席與長沙青年在一起(中国民間保釣連合会 2008/04/26/22:56)
http://www.cfdd.org.cn/bbs/viewthread.php?tid=54062
●美麗湘軍飛揚青春――4.26長沙愛國活動剪影(中国民間保釣連合会 2008/04/27/22:07)
http://www.cfdd.org.cn/bbs/viewthread.php?tid=54083
――――
それから、久しぶりにあの
「なんちゃってデモ」
が北京のフランス大使館前で行われたと香港の親中紙『香港文匯報』(2008/04/27)が報じています。警官隊が居並ぶ前にタクシー数台で乗りつけた11名が、大使館の門前で平和的にお行儀よく形だけのデモを実施したとのこと。
●北京十餘民� 法使館前示威(香港文匯報 2008/04/27)
http://paper.wenweipo.com/2008/04/27/CH0804270009.htm
この記事を読んだ限りでは、「なんちゃってデモ」を実施したのは「中国民間保釣連合会」同様に、「自称民間」ながら実は政治的保護者という飼い主を持つ愛国団体のようです。取材に応じた参加者によると、
「もともと50名が参加することになっていたが、最終的には11名が時間通りに現場に集まった」
と語っていますが、要するに治安当局から人数を制限されたということなのでしょう。抗議文と五星紅旗の小旗を手にしたこの連中、横断幕を広げようとしたら警官に阻止された模様。かつて日本大使館に対し行われた「なんちゃってデモ」においては、横断幕は許されたものの日の丸を焼くのは許されたり許されなかったりと、そのときどきの日中関係に応じてデッドラインはまちまちでしたから、このあたりの機微には留意しておきたいところです。
「仕方がないなあ」
という顔で当局が渋々OKを出した、というのが今回の「なんちゃってデモ」ではないかと。本当はこれ以上騒いでほしくはないものの、封殺すれば糞青の可燃度がいよいよ高まるため仕方なくやらせた、といったところです。
ちなみにこの連中、元々の計画ではこの
フランス大使館を振り出しに、英国大使館、ドイツ大使館前でも同じことをやるつもりだった
そうです。やらなかったのは治安当局からNGが出たからでしょうけど(笑)……って笑っている場合ではありませんね。これまた事態の深刻さを感じさせるものです。ところでこの「なんちゃってデモ」、中国国内で報じられた形跡がないのも興味深いところです。
――――
この糞青どもに代表されるような当局に煽られ過ぎて燃え上がってしまっている連中にしてみると、「愛国」に名を借りた攘夷運動の目下の標的はフランスを筆頭にイギリス、ドイツということになります。米国に対しては例の「反CNNネット署名活動」が大手ポータルなどで相変わらず続けられていますし、CNN相手に「中国と中国人民を誹謗中傷した」とかいうことで訴訟を起こす中国人グループがいくつか出ています。
ただし、ネット署名とか訴訟とかいった手段はすでにファイヤーな連中にとってはヌルすぎるのでしょう。ネット上には
「CNNの主要株主企業一覧」
みたいな怪文書が出回り始めており、シティグループ、エスティ、コルゲート、ヒルトンなどの名前が挙がっています。こいつらがボイコットの標的だ、ということなのでしょう。中国当局が何もしなければ抗議行動に発展する可能性があります。
だいたいこれを告知しているのが「人民網」(『人民日報』電子版)ですからね。党中央の機関紙が騒げ騒げといわんばかりです。
●網友提供:與CNN利益攸關的公司(人民網 2008/04/26/07:06)
http://news.xinhuanet.com/politics/2008-04/26/content_8052671.htm
ところが一方ではこの「人民網」が「理性的な愛国を」と暴走を戒める記事も掲載しています。糞青どもを散々煽った中国国内メディアが、それによって見事に燃え上がった糞青どもの姿をみて逆に煽られて……といった呈の、支離滅裂状態。ちょっと変になってきています。
――――
日本に対する報道もまた然り。長野での聖火リレーについて新華社や『人民日報』は「予定通り無事終了」「五星紅旗の波に長野市民が感動」といった礼賛記事を掲げたのですが、その一方で今回最大の煽り役である『環球時報』(『人民日報』系国際紙)あたりからは、
「右翼が揉め事を引き起こして聖火リレーを妨害した」
「右翼との衝突で中国人留学生が負傷した」
「中国人留学生を負傷させるなど聖火リレーへの妨害行為に駐日大使が強く非難」
……などといった明らかに「反日」気運を高めることになる記事がどんどん出ており、大手ポータルのニュースサイトではむしろこの種の記事の方が大きく扱われています。
「奪われた国旗を取り返すために負傷した留学生」
などといった脚色たっぷりな英雄談も登場。2005年春の反日騒動当時のように「煽るメディア」と「暴走を戒めるメディア」がはっきりと分かれていればまだわかりやすいのですが、今回は同一メディアが煽ったり落ち着けと言ったりしているのでどうにも不可解。ともあれ不穏な記事が出始めていることで「反日注意報」は取り下げられないままです。
――――
メディアだけでなく、中国当局そのものも挙動不審。
一時は大きなニュースとして扱われた
「ダライ・ラマ十四世との対話」
が典型例です。中国当局がダライ・ラマの私的代表と「接触・協議する用意がある」と発表したそばから、
●チベット問題は民族問題ではない。
●ダライ集団の分裂の企ては必ず失敗する。
●チベット亡命政府はこんなにいかがわしい集団。
といった論評記事を国営の新華社通信や『人民日報』、また胡錦涛の広報紙といえる『中国青年報』(共青団中央機関紙)から大々的に連日垂れ流しています。それでは「対話する」は一体何のための、どういう狙いを持った発表だったのか。「話し合う」と言った舌の根も乾かぬうちに話し合う相手に猛烈な悪罵を浴びせ始めているのですから、これでは国際社会に対する時間稼ぎにもなっていません。ダライ・ラマはこれを受けて、
「実のある対話でなければ意味がない」
という趣旨の声明を発表。理解に苦しむ中共政権のドタバタぶりです。問題はこのメディアをも巻き込んだドタバタをどうみるか、です。
●(1)煽り過ぎて必要以上に燃え上がってしまった糞青どもを当局も持て余し、処置に苦慮している。
●(2)対外姿勢について党中央が強硬派と穏健派に割れ始めた。
……のどちらかではないか、と思うのですがしばらく様子をみないと結論を下せません。(2)だとすれば戦慄的な状況ということになるのですが、目下のところ政争の気配はなし。
(1)であるなら、胡錦涛政権が本気で火消しにかからないと5月1日を節目に糞青どもの攘夷運動が一気に火の手をあげることになりかねません。そうなったとき標的にされるのは第一にフランスと米国。さらに日英独あたりにも飛び火しそうですが、そうなれば可燃度の高い「反日」が一気に前面に出てくる可能性は高いでしょう。
――――
ともあれ、糞青どもはどうやら攘夷運動にヤル気満々。メディアと当局の足並みは乱れ、さらに両極端に割れています。煽り過ぎたためにこうなった、というところまでは確かでしょうが、乱れ具合、割れ具合が具体的にどういう状況なのかはまだわかりません。
「愛国」に名を借りた攘夷運動が盛り上がれば「反日」も必至。社会も混乱しかねませんから、予定されている胡錦涛の訪日もどうなるかわかりません。反CNNネット署名活動が街頭でも行われるようになるとか、カルフールやCNN関連企業に対する不買運動が展開されるようになれば再び国際社会を巻き込んでの騒ぎとなります。
そうなったとき、中共政権も「攘夷」を煽ってきた手前、また国民感情に照らしても対外姿勢で「弱腰」と指弾されかねない妥協的な態度は取りにくいでしょうから舵取りが実に難しくなります。
本来は北京五輪の成功と「反ダライ集団」のために国民の意思統一を図るとともに、フランスなど特定の国家に軽度のプレッシャーを与えるべく行われた「煽り」なのでしょうが、胡錦涛政権も中国国民もそういった高等政略をこなせるレベルにはなかった、ということでしょう。
その結果、つい煽り過ぎて糞青どもや聖火リレーで動員される中国人留学生が予定を上回るレベルでヒートアップしてしまい、その姿に今度はメディアそして胡錦涛政権そのものが煽られているようにみえます。
繰り返しになりますが、中国国内メディアも胡錦涛政権も明らかに足並みが乱れ、ひいては意見が割れている可能性もあるのが現状です。事態を収拾できるかどうかはここ数日間の当局の出方次第でしょう。「攘夷」は下手をすると
「倒幕」
に転化しかねないというのに、胡錦涛政権は反日騒動のときのように「煽り」を一切放棄して全力を挙げて「火消し」に動くといった気配は目下のところ、みられません。
現在の社会状況が反日騒動当時よりはるかに悪化していることは改めて指摘するまでもないでしょう。聖火リレーに目を奪われている間に、中国国内が何やら急にキナ臭くなってきた、という印象なのです。
(
シリーズ:攘夷運動2008【7】
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