日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





「上」の続き)


 先週末に全国各地で展開された「攘夷」活動が不完全燃焼であれば、不満のガスはいまだ充満状態。市民は燃料次第で再び、……いや今度は本格的に荒れまくることでしょう。問題はそれに見合う燃料があるか、どうかです。

 目下のところ「攘夷」の鉾先は第一にフランス,続いて米国(CNN)に向けられており、そこにドイツが加わりそうな様子。そして敵役としては
真打ちである日本もそろそろ、という気配が漂い始めているところです。

 しかしフランスはとりあえず「微笑み特使外交」によって華麗に身をかわすことに成功。……といいたいところですが、そうはいきません。もんのすごーい追加燃料が投下されてしまいました。



 ●ダライ・ラマは「名誉市民」=中国をさらに刺激か-パリ市議会(時事ドットコム 2008/04/22/06:44)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2008042200111

 【パリ21日時事】パリ市議会は21日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(72)を名誉市民にするとのドラノエ市長(社会党)の提案を可決した。同時に、国家政権転覆扇動罪で今月3日に実刑判決を受けた中国の著名な人権活動家、胡佳氏(34)を名誉市民とすることも承認した。

 北京五輪聖火リレーへの激しい妨害が起きたパリで、市議会がチベットと人権問題で中国批判の姿勢を鮮明にしたことにより、中国で高まっている反仏感情をさらに刺激しそうだ。




 超A級の極上燃料ではありませんか(笑)。フランス政府による迅速かつ華麗な特使派遣も実はこれが念頭にあったのかも知れませんが、この一報で台無しですね。このニュース、遅かれ早かれ中国国内でも流れるでしょうから、これからは当分、平日でもカルフールには近寄れなくなることは必至です。

 ダライ・ラマ十四世といえばそろそろ米国高官と会見するタイミングですから、もしかするとウォルマートも血祭りに?

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 「攘夷」で燃える中国人民、どうやら差し当たっての火種探しには苦労しなくて済みそうですね。でも週末には長野で聖火リレーが控えている訳ですから、一応現時点での「反日」気運についてもみておきましょう。

 何もしなくても「日本」というだけで糞青ども(自称愛国者の反日信者)をはじめ中国人民は鮮やかに反応してくれることでしょうけど(笑)、一応チェック。

 まずは
聖火リレーを「日本にやらせる」ということ自体がネット世論にとっては不満なようです(笑)。さすがは真打ち、欧米との格の違いをまざまざと感じさせます。……その「何で日本でやらせるんだ」という聖火リレーについて、出発地点に予定されていた善光寺が辞退したことにもイラっときています。

 さらに例の「青服」、いわゆる
聖火護衛隊に冷たいことにも怒っている模様です。同じ感情が一部のメディアでも共有されているらしく、

「関係各国は聖火の護衛ランナーがオリンピックの慣例であることを理解してくれるよう望む」

 という声明(関係各国=日本・豪州)を外交部報道官が出した際、この記事のタイトルを故意にいじって、

「日本が護衛ランナーの参加を拒絶、警備の全権委譲を要求」

 と日本限定で、しかも悪し様な標題に仕立てたメディアがありました。そのタイトルにネット世論が怒りのボルテージが改めて高まるという香ばしい展開がみられました。

 そしていま現在の焦点はやはりお江戸御自慢の町火消し。……ではなく消火リレーが大得意な
「国境なき記者団」

「長野でも何かやる」

 との宣言がすでに出ています。そのこと自体は日本と関係ないのですが、「青服」冷遇との絡みがあります。

「あの小賢しい倭人どものことだ。聖火を危ない目に遭わせて、中国の面子を潰そうとするに違いない」

 という「確信」が早くも成立している模様。当日に団体で長野に駆けつける漢人どもにも、たぶん似たような感情があることでしょう。

 要するに早くも身構えているといったところですが、聖火リレーでトラブル発生となれば中国国内でも燎原の火の如き状況となる可能性があります。

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 胡錦涛・国家主席の訪日を控えているために「燎原の火」となることだけは避けたい中国当局ですが、その露払いとして来日した楊潔チ・外相が高村外相、福田首相をはじめ与野党の政治家と会見するたびに
「チベット」「チベット」と言い立てられて散々な目に遭っています。

 ●「アジアで注文付けるのは日本だけ」・チベット問題で中国外相(NIKKEI NET 2008/04/18/16:03)
 ●チベット問題聞く耳なし、中国外相激しい批判に終始(YOMIURI ONLINE 2008/04/19/01:36)





 楊潔チにしてみればこんな風↑に日本をイメージしていたかも知れませんから、福田政権はもちろん、民主、社民,共産党を含め正に「飼い犬に手を咬まれた」という苦々しさとともに、何て嫌な連中だと思ったことでしょう。その感情がが何らかの作用を果たす可能性も一応,指摘しておきます(笑)。

 それから糞青レベルでは気付いていないかも知れませんが、先日ダライ・ラマ十四世が訪米途上で成田に立ち寄った際、前首相夫人である安倍昭恵さんが会見したことに中国政府はムカついていると私は思います。これまで政略の必要から持ち上げ続けてきた相手だけに「憎さ百倍」なのではないかと。

 ●空戦機動だ!安倍前首相夫人がダライ・ラマと会談へ。 (2008/04/10)

 安倍晋三・前首相自身も何やらフフン♪には到底できそうにない良い仕事をしているようですよ。



 ●独首相、米の温暖化対策に懐疑的見解…安倍前首相と会談(YOMIURI ONLINE 2008/04/21/11:06)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080421-OYT1T00342.htm

 【ハノーバー(ドイツ北部)=中谷和義】安倍前首相は20日、福田首相の特使としてドイツを訪れ、ハノーバーでメルケル独首相と会談、地球温暖化が主要テーマとなる北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)への協力を呼びかける福田首相の親書を手渡した。
(中略)

 また、メルケル首相は、胡錦濤・中国国家主席の5月の訪日に触れ、中国政府とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の対話を「日本側が提起してはどうか」と提案、日本政府の役割に期待を示した。

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 ●米温暖化策に懐疑的 安倍特使に独首相(MSN産経ニュース 2008/04/21/08:58)
 http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080421/erp0804210857006-n1.htm

 安倍晋三前首相(首相特使)は20日、ドイツ・ハノーバーを訪問し、同国のメルケル首相と会談した。メルケル首相は安倍氏に対し、ブッシュ米大統領が発表した地球温暖化対策に懐疑的な見方を表明した。
(中略)

 中国の胡錦濤国家主席による5月訪日についてメルケル首相は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と中国首脳による対話実現を日本が促すことに支持を表明した。(共同)




 チベット問題については以前からどちらも積極的な姿勢を示していましたが、特使としての会見の本旨(地球温暖化問題)から外れたこの話題、どちらが切り出したのか気になります。とりあえず、いい感じで盛り上がった様子であることが行間からうかがえますね。

 ともあれ事態は一気に緊迫、中国国内が正に予断を許さない状況になってきました。


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 いやーお見事としかいいようのない芸を見せてくれました。
フランスの特使派遣です。

 パリでの聖火リレーがチベット弾圧に対する抗議活動で荒れに荒れたのは記憶に新しいところですが、当局の張った
「結界」(報道管制、思想統制、印象操作など)にコロリと騙されてしまった中国国民……というより中国の総人口の9割以上を占める漢族は、チベット弾圧こそ正義と考えているため抗議活動には一大反発。

 欧米メディアの「偏向報道と偏見」(笑)を煽り立てる当局の宣伝もあって、とうとう中国国内各地に多数出店しているフランス系スーパー・カルフールに対するボイコットを呼びかける声が例によってネット上であがり、19日(土)、20日(日)とデモを含む抗議活動が全国で展開されました。

 2005年の反日騒動以来といえる規模と内容をもつ春の嵐です。香港の最大手紙『蘋果日報』をはじめ各紙の報道を総合すると、20日に抗議行動が行われたのは
北京、上海、青島、済南、ハルピン、大連、合肥、武漢、西安、昆明、広州、深センの12都市。市内に複数出店している街もありますし、他に武警(武装警察=内乱鎮圧用の準軍事組織)で固めた北京のフランス大使館前を抗議の車列が通ったりしたようです。

 とはいえ月曜からは社会人は仕事、学生は授業があるのでデモはまずあるまい。……と私は楽観視していたらあにはからんや。今朝(2008/04/22)の香港紙『蘋果日報』及び『東方日報』の報道によると、その月曜である昨日(21日)も全国9カ所でカルフール前での抗議行動が行われ、このうち河南省・鄭州市の店ではちょっと荒れたらしくで臨時休業に追い込まれた模様。

 ニートや失業者が主役だったのかどうか詳細は不明ですが、土日の勢いをひきずって月曜日にもデモが実施されたというのは何やら剣呑ではありませんか。という訳でこの問題に関するエントリーは
【攘夷2008】というカテゴリーに分類することにしました(笑)。

 中国ですから「義和団」でもよかったのですが、今回の動きはひょっとすると
「倒幕」の端緒となりかねない要素を含んでいるため「攘夷」にこだわった次第。また、「中共人」という「異民族」による統治に対する庶民の反発、つまり中国社会最大の対立軸といえる「官vs民」フラグが立つかも知れない、という含みもあります。

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 ともあれ中国人の目の敵となってしまったおフランスですが、植民地をたくさん持っていた時代からの蓄積があるので危機管理はお手のものなのでしょう。まずは前回報じたように、在北京のフランス大使に巧みな答弁をさせて事態が深刻化するのを防ぐ一方、すぐさま本国から特使を派遣。

 中国人にとって屈辱の記憶となったパリの聖火リレーといえば、身を挺してトーチが奪われるのを防いだとされて正義のヒロインとなった観のある車椅子の聖火ランナー・金晶がもてはやされていますが、パリからの特使は直接上海入りして中国に着くなりその金晶のもとへ直行。彼女の「勇気ある行動」(襲撃者は中国当局の工作員で要するに自作自演という説もあります)に敬意を表するとともに、サルコジ大頭領からの親書を手渡すという実に心憎いアクションをみせました。

 この親書の内容がまたお上手で、大統領は金晶が襲撃された事件に
愕然とするとともにその卑劣な行為に義憤を発したとのこと。そして金晶がその場でとった勇気ある行動に敬意を表する一方で、「あなたの行為は祖国の栄誉」と賞讃。また事件を激しく非難した上で「中国人民の怒りは理解できる」とし、襲撃者は「ごく少数」の輩によるものゆえ中仏両国人民の友好関係にはヒビが入らないと確信している、と表明しました。

 そして親書の末尾には是非フランスに招待したいというプレゼント付き。国内の混乱悪化はどうしても避けるべく
「火消しモード」に入っている中国当局はさっそくこれにとびつき、

「来るのが遅くなったお見舞いではあるが、やはり歓迎に値する」

 と国営の新華社通信が美談に仕立て上げました。さすがに欧州はしたたかなものだ、私は感嘆してしまいました。中国当局が気付いているかどうかは知りませんが、フランス大統領からのこの親書には
謝罪を示す言葉が全く登場しないのです。いやーお見事(笑)。

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 これが19世紀であれば軍艦を派遣するところでしょうが、時代は21世紀ゆえ平和的な微笑み特使外交という訳です。一方でフランスのこの迅速なリアクションからは、当ブログが再三指摘しているように
中国が国際社会において存在感を強めている=いざというとき平然と居直ることのできる条件を持ち始めた、という状況が垣間見えるように思います。

 付言するなら、
19世紀に欧米列強が行った「砲艦外交」をこの21世紀に無理矢理やってしまおう、というのが中国のスタンス。「中華民族の復興」という言葉には「やられた分だけ今度はやり返してやる」というニュアンスが含まれていることは覚えておくべきでしょう。

 中共政権によるチベットをはじめとする様々な人権弾圧、そしてそれを国際社会が非難することでドタバタになってしまった聖火リレーは、つまるところ「微笑み特使外交」と「砲艦外交」という
現状認識や価値観が全く異なる者同士の衝突といえるかと思います。時代錯誤を承知の上で横車を通そうという中国は、やはりオリンピックの開催国になるには余りに不適格というほかありません。

 その中共政権に統治される中国国民もまた、武力を背景に押しつけられ叩き込まれる時代錯誤な「中共史観」で煮詰められているため、国際社会、少なくとも先進諸国のデ・ファクト・スタンダードを受け入れるレベルには程遠い民度で据え置かれています。

「私は『香港人』であって、『香港に住んでいる中国人』ではない。大陸の連中と一緒にされては迷惑だ」

 と自己を規定する30~50代の香港人(英国植民地時代の教育を受けて成人した世代)あたりがその「やるせなさ」を最も痛切に感じていることでしょう。

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 余談に流れてしまったので軌道修正。悪者にされたフランス政府は自国のビジネスに影響が出ぬよう、いま現在で打てるだけの手を打って「反仏」の鎮静化を図ったところです。一方の中国当局は、これまで先頭に立って西側諸国や特定メディアに対し、

 ●偏向報道だ。
 ●中国への偏見だ。
 ●ダライ集団と手を結んだ敵対勢力。

 などと痛烈に悪罵を放ち続けてきました。そうすることで国民の意思統一を図ろうとしたのでしょうが、薬が効き過ぎて排外的ナショナリズム、つまり「攘夷」運動という火の手が全国各地から上がってしまい、慌てて方向転換したばかり。それがいわゆる「火消しモード」で、19日、20日、21日の3日間は国内各メディアを総動員して、

 ●愛国には激情よりも理性が必要。
 ●自らの本分を尽くすことこそ最高の愛国活動だ。

 といった論調の記事をガンガン流すことで事態収拾を試みています(←いまココ)。しかし前回紹介した通り、今回の「火消しモード」は2005年の反日騒動に比べれば明らかに不徹底でスキだらけ。

 とりあえず「ダライ集団」は引き続き断固として指弾していかなければなりません。となると「ダライ集団」を支持する国家やメディアについても手を緩める訳にはいかないため、俯瞰してみると
「火消し」の一方でいまなお「煽り」(燃料投下)が行われているという泥沼状態。いま「新華網」(新華社電子版)をのぞいてみたら、

「来るのが遅くなったお見舞いではあるが、やはり歓迎に値する」

 という例の記事が相変わらずトップニュース。これは「火消し」ですね。では『人民日報』電子版の「人民網」は?と飛んでみたところ、

「たとえ『国際問題化カード』を切っても『チベット独立の夢』を実現することはできない」

 という論評記事がトップに躍っていました。これはどうみても「煽り」でしょう。しかも、たとえ国際社会を敵に回しても断固として許すまじ、という気魄に満ちた戦闘的な標題(笑)。

 「火消しモード」を発動させても「事態鎮静化」の願いはかなえられない、てなところでしょうか。

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 そもそも「火消し」を必要とするほど荒れているか?ということから考える必要があるように思います。

 ●適当に官製デモを何度か打つ。
 ●民衆を適度に荒れさせる。
 ●国民の不満のガス抜きとなる。
 ●社会から剣呑さがなくなる。終了。

 といったような観測が日本国内でも出ていますけど、胡錦涛政権と中国社会にそんな高等戦術を使えるだけの余裕があるのか?という疑問が第一。……という以前に、土日のデモで参加者は本当に「荒れた」のか?本当は不完全燃焼ではなかったのか?といったあたりを私は疑っています。

 するとうまいことに、コメント欄に「ケイズ」さんが現場映像をタレ込んでくれました(「ケイズ」さん、ありがとうございます)。

 ●中国人によるカルフールボイコットの様子in中国・安徽省(ニコニコ動画 2008/04/20)

 YouTubeでも同じものを観ることができます↓。何とデモ隊が安徽省・合肥市のカルフール店内に乱入した模様。



 日本の新聞報道はこちら。

 ●中国:反仏デモ拡大 カルフールに1000人乱入(毎日jp 2008/04/21/00:59)
 ●1000人が一時店内に乱入 安徽省のカルフール(MSN産経ニュース 2008/04/21/01:26)

 ……で、動画をみた私の感想ですが、
「何これ?全然荒れてないじゃん」です。だって商品が強奪されていませんし、現金が入っているであろうレジが破壊されてもいません。焼き打ちの気配もなし。これでは暴れた内に入らないでしょう。

 当ブログが過去に紹介してきた数々の都市暴動、それに2005年春の反日騒動を思い出してみると、この種の騒乱には
「破壊・略奪・放火」の三種の神器はまず欠かせないところ。それなのに乱入してシュプレヒコールを叫ぶだけ、というのは中国基準に照らせば余りに平和的です(笑)。サクラを動員したヤラセ映像?という可能性すら考えてしまいます。


「下」に続く)




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