一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

春日電機

2008-12-04 | あきなひ
穏やかでない適時開示

春日電機㈱株主総会開催禁止仮処分命令申立事件の決定について(2008年12月3日)
同社のIRサイトを見ると当社代表取締役の違法行為差止仮処分命令申立事件の決定について(2008年12月3日)などというものも。


概略は、以下のとおりです。

春日電機は今年6月の株主総会で当時同社株式を創業者一族の反対にもかかわらず市場で買い集めた第2位(28.5%)の株主㈱アインテスラからの取締役選任議案の修正動議により当時の代表取締役ら創業者一族の取締役が選任されず、従来から就任していたアインテスラ側の取締役に会社の実権を握られた。
その後創業者一族はアインテスラに保有株式の譲渡を余儀なくされ、アインテスラは40%の筆頭株主になり、アインテスラの筆頭株主である篠原猛が春日電機の代表取締役に就任した。

篠原は春日電機からアインテスラに対し担保をとらずに融資したり不要な製品をアインテスラから購入するなど会社財産を毀損し、会計監査人からはコンプライアンス態勢に関する重大な懸念を表明され第二四半期の有価証券報告書が11月末までに提出できず監理銘柄となってしまった。
また篠原は春日電機の臨時株主総会を招集する一方で議案を変更するなどして開催日時を変更したものの、基準日を変更せず、臨時総会における議決権を有したままアインテラスは保有株式を全株売却している。

その臨時株主総会開催を禁止し、違法行為を差止めるために常勤監査役が起こした仮処分が認められた。


話の経過を見るとまるで「昭和の時代の乗っ取り劇」という雰囲気で、今の時代にもこういうことをする人がいる(できる状況にある)んだなぁと妙に感心してしまいました。
篠原猛という人はあまりよくない噂のある人らしい(参照)のでなおさらです。
こういう企業に限って買収防衛策を導入していなかったり株主総会での動議対応の準備をしていなかったりしたんでしょうか。

今回仮処分を申立てた常勤監査役も、ここに至るまでに止めることはできなかったのでしょうか。
確かに仮処分が通るくらいの違法行為と損害と緊急性の証拠をそろえるには最後の一滴までなりふり構わず絞り取りに来るところをつかまえるしかなかったのかもしれません。
また、監査役の権限には限界があることも確かです。
取締役が脇が甘くても監査役が買収防衛策の導入を提案するわけにもいきませんし、日常の取締役の業務執行の監督も事後的なものにとどまります。
それでも乗っ取り側に支配された取締役会に対して昔から残った監査役が孤軍奮闘したのが上の仮処分ではないかと思います(アリバイ作りのための訴訟、といううがった見方もできなくはありませんが、それなら(アーバン・コーポレーションの社外取締役だった検事総長のように)とっとと辞任してしまったほうが手っ取り早いです)。


私が知らなかっただけでけっこう有名な事件なのかもしれませんが、今後株主代表訴訟とか刑事事件にもつながりそうですし、特に中小規模のスタッフの手薄な上場企業の企業防衛への教訓も多そうなので続報に注目したいと思います。


<関連エントリ>
泥沼二件
春日電機その3
春日電機その4
春日電機その5
春日電機その6



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9 コメント

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新ホームページのご案内 (春日電機個人株主の会)
2009-06-08 13:02:55
お世話になります。

私たちは、2009年9月21日に東証2部を上場廃止になった春日電機株式会社(6650)の個人株主の資産を守るため、個人株主の会を結成致しました。 6月2日で名簿登録会員は22名。持ち株は1,213,600株です。議決権数36,198,090株の3.35%になります。これは臨時株主総会を提案できるレベルです。

 上場廃止により、個人株主は大きな損害を受けました。上場廃止に至った原因は旧経営陣のずさんな経営によるもので、その責任を明確にする必要があります。現在、春日電機の財務は悪く、金融機関から借入も出来ず、資産を切り崩しながら運営を行っています。顧客離れも起きています。時間と共に資産は劣化して行きます。今後は会社更生法適用になるか、減資や第三者割当増資による株の希薄化など、個人株主利益を毀損する方策をとることも考えられ、対抗する必要があります。

 個人株主の会では、春日電機再生が個人株主利益を最大化する方法と考え、再生に向けた提案を行って参ります。提案の効力を発揮させる為には多くの株主の協力が必要になります。個人株主が個別に提案しても議題とならず無視されます。株主の権利を主張する為には一定の株数が必要になります。個人株主の方々、現状のまま傍観していても再生の可能性は低いと思われます。

 このままでは固定費もかかり日々資産は劣化して行きます。そうならないよう早めの手当てが必要になります。残された時間はそれほど多くはないと思われます。個人株主が一丸となり、春日電機再生へ向けた良い提案を行い株主の利益を守りましょう。

 関係各位、個人株主の皆様、今後も更なる御協力、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

春日電機個人株主の会
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責任は持ちませんがご参考まで (go2c)
2009-06-08 20:13:36
「新ホームページのご案内」なるコメントに関しましては、私は一切関係ありません(当然「お世話」もしてません(笑))

当該HPを拝見したところ「会」を名乗っているものの代表者名等もないので、この団体が存在するのか、どのような活動をしているのかについても一切保証もしませんし当然責任もとりません。

よしんば、二次被害をもたらす新手の詐欺だったとしても、記録を残すという意味でコメントを公開しただけです。

もし善意の団体であったら失礼をお詫びしますが、ご利用はコメントをご覧になられた方の判断と責任においてお願いします。


返信する
今後の活動主旨 (春日電機個人株主の会)
2009-07-04 17:31:47
お世話になります。お取り上げいただき誠に有り難う御座いました。今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げます。


春日電機個人株主の会(および株主連合)の活動趣旨

 昨年以来、経営陣が行った一連の行為が原因で、今年の2月21日に東証において上場廃止となりました。また、株主総会直前にその説明責任を一切果たすことなく、会社更生法を申請しました。経営陣が自分たちの行ったつけを、株主のみに押し付ける行為が公然と行われようとしています。経営責任を不問にしたまま、再建がなされたとしても、また同じような事が起こるのは目に見えており、その時にまた関係者や株主が多大な損害を受け、被害者が増えるだけです。これでは、会社を再建する意味が全くありません。

 社会的に見ても、経営陣の経営責任の追及を曖昧に済ませようとしている会社の姿勢を、このまま株主として見過ごす訳には参りません。株主が立ち上がり、その責任の所在を明らかにし、経営責任を追及するのが、現株主の務めだと考えます。

春日電機個人株主の会(および株主連合)の今後の2大方針

●減資割合をなるべく少なくするための活動
  100%減資になれば、経営責任のほとんどを株主のみに押し付けるという事になり、このような判断は、著しく公平性を欠く事になります。現株主が今後も会社再建に参加できるように、減資割合をなるべく少なくし、経営陣を引き続き監視する必要があります。
 株主に対し、事前に何ら説明もなく、一方的にこのような行為が行われるのは、株主権を蹂躙することに繋がり、株式会社を所有するとされる株主の存在自体を否定する事になります。このようなことが許されて、果たして良いのでしょうか。
 中立公平な判断がなされるよう、管財人および裁判所に対して、各種申し入れを行います。

●旧経営陣を民事で訴え、経営責任を明確にするための活動
  現株主および元株主の中で、実際に損失を被った株主が集団で、経営陣を相手取り、民事訴訟(損害賠償請求)を提起するための活動を行います。裁判を実際に起こすとなるとその費用負担は大きなものになり、少数の個人株主だけでは、実際に訴訟を起こせず泣き寝入りすることになってしまいます。少しでもこの活動に賛同して頂く方を募り、人数・費用負担の面で訴訟を起こせる状態にし、経営責任を問い、その罪を金銭を以て償ってもらうことを目的とした活動を行います。

平成21年7月1日
春日電機個人株主の会

お問い合わせは下記ホームページから行えます。

ホームページ:http://kasugastockholders.web.fc2.com/
※「春日電機」又は「春日電機個人株主の会」で検索できます。

春日電機株主の掲示板です。
掲示板:jbbs.livedoor.jp/business/7305/
※「春日電機 掲示板」で検索できます。
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こちらもご参考 (go2c)
2009-07-04 22:49:13
上の「会」というのがサイトを見てもよくわからないのですが、一応ご参考としてコメントを公開します。

個人的には「二大方針」のうちの前者は会社更生になってしまった以上は難しいと思います。
後者は100%減資でなければ更正手続き中でも代表訴訟は可能なんでしょうか(よくわかりません)
返信する
声明 (春日電機個人株主の会)
2009-09-11 05:18:23
 因幡電機にスポンサーが決まり、春日電機の再生が進むと思います。管財人は、春日電機に資産劣化を最小限にとどめるためにスポンサーの選定を急ぎ適正な選定をされたと思います。

 しかし、既存の個人株主へ対する対応が問題です。管財人はどのように考えているのでしょう。個人株主の会は、既に更生債権の届け出を提出しています。一株当たりの価格も適正に提示しています。この価格は春日電機に確認をとったものです。

 資産劣化を懸念しスポンサー探しを優先させたというなら我々が提示した一株当たりの価値を損なうことを避けたということでしょう。既存株主に対する適正な配慮を考えてくれることを期待しています。しかし、我々の要求を無視する場合は訴訟を考えており、準備は進めています。

 日本では政権交代が行われ、既得権に胡坐をかいたシステムが崩れようとしています。国民から搾取し続けた官僚政治が終焉の方向に進みます。いままでのように企業側に都合の良いベクトルは方向転換を迫られるでしょう。本日、千葉県の7億にのぼる会計不正も明るみに出ました。現役職員からも退職者からも返還を求めるとのこと。

 不正に所得したものは取り返すのが当然です。春日電機も、経営者により不正に搾取されたお金は取り戻されるべきです。それは本来春日電機の株価に反映されるべきものです。不正な経理により毀損したもの。不正に流用された資金。インサイダーにより特定の人間に利益をもたらしたお金。それらのすべてを取り戻して、株価に反映させること、それが正しい方策です。

 管財人もそれを鑑み、個人株主が納得する再建計画を進めることを望みます。既存株主の権利を無視することは得策ではないと思います。個人株主の会は理不尽な対応に対しては徹底して対抗する強い意思を持っています。正しいと思ったことは徹底して主張します。

 不正はどこにあったのか、管財人は追及してもらいたいと思います。正しい判断がなされれば、個人株主の会もスポンサーも納得する落とし所があると思います。


平成21年9月11日 
春日電機個人株主の会

ホームページ http://kasugastockholders.web.fc2.com/
E-mail kasuga_kabunushinokai@nifty.com

返信する
ご参考 (go2c)
2009-09-11 08:05:36
コメントをいただいたので公開しますが、私個人はこの声明に対して賛同も反対もするものではありません。

ちなみに

>不正に所得したものは取り返すのが当然です。春日電機も、経営者により不正に搾取されたお金は取り戻されるべきです。それは本来春日電機の株価に反映されるべきものです。

という部分は、第一文と第二文の間に、未実現のものと倒産手続の中で現実に配分されるものの時系列を考慮すると、ちょっと論理の飛躍があるのではないかと思います。
(組織再編の際の反対株主の買い取り価格のような現にある企業価値の評価の問題とはちょっと違うような)

返信する
個人株主の権利を守ろう! (春日電機個人株主の会)
2009-10-07 06:24:10
管理人様、いつもお世話になりありがとうございます。宜しくご指導くださいませ。


平成21年10月6日 
財産評定の概要に関するお知らせ http://www.kasuga.jp/ir/pdf/20091006.pdf
事業譲渡契約締結のお知らせ  http://www.kasuga.jp/ir/pdf/20091006_2.pdf

10/6に財産評価の概要に関するお知らせと、事業譲渡契約締結のお知らせのIRが出ました。内容見ていただければ分かりますが、何でもありですね。えげつないです。さすが、平出晋一管財人。

今年1年ほどを振り返った、株主の損失額をまとめてみました。  
         
資産再評価による損失分 21億6338万2926円(やりすぎの資産評価 @58.08円)
退職給付引当金 11億6786万3886円(本来なら不要だった引当金 @31,35円)
事業撤退損失引当金 1億2026万7025円(本来なら不要だった引当金 @3.23円)
製品補償損失引当金 1億3509万円(本来なら不要だった引当金 @3.63円)
アインテスラへの貸付金  3億8000万円(返してもらっていないお金 @10.2円)
any1社への支払い金 2億3475万円(商品受け取ってないのに支払ったとされるお金 @6.3円)
元社員横領分  8400万円(さすが春日電機 @2.26円)

合計 42億8535万3837円(1株あたり115.04円の損失)

※@:1株あたりの株価に換算したときの値(総発行株数37,249,688株で割って計算)

その他、会社更生法にかかるお金や、弁護士費用等考えると、株主資本はもっと損害を受けています。

2007年(2年前)に20億も市場で資金調達し、1年前には自己資本率50%もある会社が、こうなるとは、詐欺師の集団のようです。根こそぎとり尽くし、後は株主だけに損失を押し付けて、バイバイするようです。今回のIRで、やはり最後まで株主に損失を押し付けるその態度が改まることはありませんでした。タダ同然で、しかもお土産までつけて譲渡するんですから、(見掛け上負債超過)本当にやりたい放題です。

これで心おきなく戦うことができます。
私たちは絶対に許しません。


春日電機個人株主の会
ホームページ Yahoo!検索「春日電機」「春日電機個人株主の会」
http://kasugastockholders.web.fc2.com/



4390万円横領容疑、元営業所長逮捕
名古屋地検特捜部は1日、電機部品製造販売「春日電機」(東京都三鷹市)元名古屋営業所長中西岳人容疑者(38)(神戸市)を、業務上横領容疑で逮捕した。発表などによると、中西容疑者は所長だった2007年6~12月、27回にわたり、売上金から計約4390万円を自分の口座に振り込み、横領した疑い。中西容疑者は06年3月に所長となり、売上金の管理を担当していた。 中西容疑者は容疑を認めており、特捜部は横領した金を借金の返済や株取引などに充てたとみている。同社の調査で約1億円ほどの被害が判明し、昨年6月、告訴していた。中西容疑者は昨年4月、懲戒解雇された。同社は今年7月から、東京地裁で会社更生手続き中。
( 2009年10月1日12時43分 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091001-OYT1T00534.htm

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Unknown (go2c)
2009-10-13 00:23:51
コメントは掲載していますが、私は紛争についてはどちらに組するものでもありませんので念のため。


>詐欺師の集団のようです。根こそぎとり尽くし、後は株主だけに損失を押し付けて、バイバイするようです。

このへんの気持ちはわかるのですが、会社更生は債権者のための手続なので、管財人に対して
株主が文句を言うのはちょっと筋違いかと。

このコメントはまさに会社を食い物にした(公表資料からは読めます)旧取締役にぶつけるべきものではないかと思います。


横領の記事を見ると、経営陣が混乱すると現場mのモラルも下がる、といういい例なのか、それとも昔から内部統制が行き届いていなかったのかどちらなんでしょうかね。



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Unknown (Unknown)
2010-01-01 10:31:09
現在 あすみ技研という 会社が
あるがここの代表者は 旧アインの取締役ではなかったか
現在でも 旧役員同士で関係があるのか
商品が類似しているが
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