一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

スペースシャトルと骨太な基本設計

2005-07-28 | よしなしごと
スペースシャトルが打ち上げられました。

シャトル上昇時に外部燃料タンクから破片脱落かなどというトラブルもあったようですが、大事に至らない事を祈ります。

ところでこのスペースシャトル、NASAが低予算で宇宙開発をするために再利用型の宇宙船を開発したもので、開発計画は1972年(大阪万博の2年後!)、最初の打ち上げが1981年でした。

とすると、かれこれ15年前の技術が今も使われているわけです。

昔、IBMに勤めていた叔父が「スペースシャトルの着陸時の姿勢制御は3台のコンピュータ(もちろんIBM製)の多数決でやってるんだ」と教えてくれた事があります(そのときは、コンピュータも間違うことがあるんだよ、という文脈の話でしたが)。
僕はそれはコンピュータの計算速度が遅かった時代の話で、今は違うんだろうと思って調べてみたら、基本的には同じ物を使っているようです。

NASAのHPによると、シャトルを制御するのはIBM製の"General-Purpose Computers(GPC)"というコンピュータで、5系統の多数決という構成のようです。
このGPCは、1990年代初頭にプロセッサの高速化とメモリの大容量化のアップグレードが行われましたが、基本的には当初のシステムを使っているようです。
(技術用語がいっぱいなので、あまり理解できているとはいえません)

3台じゃなくて5台に増えたのかな?とおもってもう少し調べると、宇宙開発事業団のHPに詳しい(日本語の)解説がありました。

そもそもこれは「フォールト・トレランス」("fault tolerance"=故障許容)という、システムの一部に故障が生じても全体を正常に稼動させる技術のようです。

リアルタイムで1系統の故障を感知するのには3系統での多数決が必要で、それを2系統同時の故障を感知するために4系統での多数決をするシステムのようです。それにさらにバックアップが1系統で合計5台のコンピュータを使っているということのようです。
(その意味では叔父の「3台の多数決」というのも正しかったわけです)


15年前(計画時点では25年前)の1980年の時点(その当時パソコンなんてマニアだけのものだったのでは?)で、その後15年近くの使用に耐えられるほどの骨太な基本設計がなされていたということに、(パソコンが2,3年で陳腐化するのを目の当たりにしている)素人としては驚くばかりです。


最先端というのは必ずしも最新である必要はなく、基本設計(骨太なポリシー)がしっかりしていて信頼性が高いということが大事なんだと思います。


仕事一般でもあてはまることかもしれません。
コメント (1)
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