日本共産党 群馬県議会議員 酒井ひろあき

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2016年第2回定例県議会が閉会 酒井県議が補正予算や条例案、請願の一部に反対の討論

2016年06月16日 | 群馬県議会
第2回定例県議会は16日、補正予算などを可決し、閉会しました。
以下、私の反対討論です。


日本共産党の酒井宏明です。通告してあります、議案および請願について委員長報告に反対する立場から討論します。
承2号、専決処分の承認のうち、児童福祉施設等の基準を定める条例改正についてです。
本条例改正は、乳幼児の発達を保障する観点が欠落しているだけでなく、現場の実態を全く顧みないものといわざるをえません。
保育の現場は本当に大変です。私も先日、ある保育園の1歳児のクラスにお邪魔しました。
朝親から離れたくないと泣きじゃくる子どもを保育士が抱えてあやしたり、遊び始められるようになだめたり、ということが一日続くのです。
トイレや着替え、1日に何回も着替えなくてはならない。
散歩、これも本当に目が離せません。
さらに食事から昼寝まで、一人一人の子どもの発達状態に応じてかかわっていかなければならない保育の大変さ、重要性の片鱗を知ることができました。
国の配置基準は1歳児6人に保育士1人ですが、現状はとても厳しく、せめて4人に1人、3人に1人をという保育関係者の願いは切実です。
しかし、今回の改定は、この基準は変えずに、朝夕の保育士配置などに関して、「保育士と同等以上の知識・経験を有するものの活用」などとして、なし崩し的な規制緩和をおこなうものです。
今求められているのは、専門職である保育士の配置基準を抜本的に引き上げること、保育施設の開所日数、開所時間に見合う公定価格の改善、賃金単価の抜本的な引き上げなど、その責任の重さにみあった待遇改善です。
今回のような小手先の対応ではなんの解決にもならないどころか、保育士の専門性をおとしめ、保育の質を低下させる危険すらあります。よって本議案に反対します。
 
次に請願についてです。
総務企画9号、消費税増税の中止を求める請願です。
安倍首相は、「景気がどうなろうと増税する」と言っていた消費税を、再び、今度は2年半延期せざるを得ませんでした。
もはや、消費税にたよっていたら社会保障の充実も財政再建の展望も開けないことが、はっきりしたのではないでしょうか。
消費税を増税すれば、必ず「増税不況」が繰り返されます。消費税創設以来28年間で、その税収は327兆円にものぼりますが、ほぼ同じ時期に法人3税は270兆円、所得税・住民税も261兆円も減ってしまいました。
不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたからです。消費税頼みのやり方では、この失敗を繰り返すだけです。消費税10%増税は「先送り」実施ではなく、きっぱり断念すべきです。
よって、本請願の不採択に断固反対し、採択を求めます。
同26号、朝鮮学校への補助金の中止を求める請願についてです。
文部科学大臣が今年3月、「朝鮮学校にかかる補助金交付に関する留意点」なるものを県知事に通知しました。
大臣は「減額や停止を指示する内容ではない」と弁明するものの、朝鮮総連による学校への影響力を持ち出して、補助金の適正な執行を求めるということ自体、関係する自治体を委縮させ、補助金の停止・減額へと導いていく狙いであることは明らかであり、ただちに撤回すべきものです。
現在、公立高校の授業料は就学支援金という名で実質的な無償化措置がとられています。
しかし、朝鮮学校は排除され、国からの補助もありません。
内外人平等の国際人権規約などに照らしても、日本の学習指導要領に基づいた教育が行われている朝鮮学校に適用することは当然です。
それにもかかわらず、今でさえ就学支援金の半額程度しか支給されていない朝鮮学校への県の補助金を中止せよというのは国際人権規約からみても許されないことではないでしょうか。
請願では、補助金を出さない理由に北朝鮮の核実験やミサイル発射、拉致問題再調査の中止などをあげています。
もちろん北朝鮮の無法行為は断じて許されるものではありません。
しかし、それに対する報復まがいのやりかたで、日本で生まれ育った何の罪もない子どもたちの教育を受ける権利を制限することは全くの筋違いというものです。教育と外交問題は切り離して考えるべきです。
さらに、請願には民族教育は最大限保障されるべきという観点が全く見られません。
子どもの権利条約を持ち出すまでもなく、少数者である外国人の子どもの教育には特にアイデンティティーを尊重した民族教育が保障されなければならず、実際どのような教育を行うかは各学校の裁量にまかされるべき問題です。
それをあたかも「朝鮮学校で反日的な教育が行われている」などと誹謗することは、まさに民族差別を助長するヘイトスピーチそのものではありませんか。
最近成立したヘイトスピーチ規制法の趣旨にも真っ向から反するものであります。
群馬の森の朝鮮人犠牲者追悼碑について難癖をつけて撤去させようとする動きと軌を一にしたものと言わざるを得ません。よって継続でなく、不採択を求めます。発議案第10号についても同様の趣旨から反対です。
厚生文化10号は、保育士の処遇改善等を求める請願です。先に述べた理由から、継続ではなく採択を求めます。
環境農林13号、TPP協定を国会で批准しないことを求める請願についてです。
安倍政権は通常国会でのTPP協定の批准を先送りしましたが、選挙後の臨時国会で強行をねらっています。
TPP協定では重要5項目のうち3割の品目で関税が撤廃され、残る7割でも関税率引き下げが行われます。
残った関税の撤廃に向けた協議も約束する始末です。
こんな協定に調印しておきながら、「聖域を守った」などというのは、国民をあざむくものです。
さらに許せないのは、TPPによる農業や関連産業、地域経済への深刻な打撃を、「ない」として、正反対に描きだしていることです。
GDPの押し上げ効果は14兆円と4倍に膨らみ、農林水産物へのマイナス効果は1300億~2100億円と前回試算の20分の1となりました。
TPPが発効しても農産物の生産量は減少せず、食料自給率も低下しないという、あり得ない前提にたっています。
まやかしの「試算」で、TPP協定を押し通すことは許されません。
集落営農組織づくりに奔走し、地域農業を守ろうとしてきた県農政や関係者の努力をまったく無にするものです。
よって本請願の採択を主張します。
残余の議案及び請願についてはかねてからの理由により反対です。
以上で私の反対討論を終わります。