「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

施設での 身体拘束について

2010年11月22日 21時33分10秒 | 介護帳
 
 前の記事に書いた  「身体拘束」 に対して、

 幾つかコメントをいただいたので、 少し書いてみたいと思います。

 この10年ほどで、 施設での 拘束に関する考えは 随分進んだと思います。

 20年余り前は、 都内の 非常に良いと言われる 老人ホームでも、

 入居者はつなぎ服を 着せられていました。

 オムツをはずしたり 弄便(ろうべん)をしないようにするためです。

 間もなく十三回忌を迎える 僕の母親が 脳出血で入院していたときは、

 夜間に母が 点滴の針を抜いてしまわないよう、

 針を刺した手の 反対側の手首に カバーを付けていました。

 ちょうど犬や猫が 顔に怪我をしたとき、 手足で顔を触らないよう、

 首に漏斗(ろうと)のような 円錐状のカバーを付けるのと 同じようなものです。

 母は半身麻痺だったので、 カバーをしたほうの手しか 動かせません。

 当時は 仕方ないことだと思っていましたが、

 現在ではこれも  「身体拘束」 になるのだということです。

 点滴の針を 足首にするなどの 工夫が必要だといいます。

 
 身体拘束は禁止にされていますが、

 下記の3つの条件を 全て満たしたときは、 止むを得ず許されるとされています。

・ 自傷他害の危険性がある時

・ 他に 変わる方法がない時

・ 一時的であること

 今の僕の施設で、 これをしている 利用者さんが一人います。

 この利用者さんは、 何かケアをしようとすると、

 叩く, つねる, 爪を立てる, 噛む, つばや暴言を吐くなど、

 様々な抵抗をします。

 僕もしょっちゅう 傷を作っています。

 この人に お風呂に入ってもらう時などは、 拘束をせざるを得ません。

 椅子に座った 利用者さんの後ろから、 一人のスタッフが 利用者さんの両手を握り、

 もう一人のスタッフが 体を洗うのです。

 このときは、 上記の3つの要件を 満たしています。

 最近はなるべく 後ろから手を握らず 放していますが、

 一瞬油断すると、 前にいるスタッフの 腕や髪をつかんだりします。

 湯船に入れば お湯をかけられ、 ビショビショになりますしね。  (^^;)

 小さな傷やあざを作るのは 仕方ないと思っていますが、

 このようなケースでは 拘束も仕方ないことでしょう。
 


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