「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

文化放送 「死刑執行」 (5) (感想)

2008年05月10日 11時39分21秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54143995.html からの続き)

 番組は主観を排して 最後を締めくくっています。

 今まで 闇の中だった死刑執行現場を 生々しく伝えたことは、

 非常に意義のあることでした。

 敬遠されがちな 難しい題材を取り上げた 文化放送には、敬意を評します。

 番組放送後、局には 評価する電話などが 沢山ありました。

 でも中には、被害者側の声がないという 批判もあったそうです。

 極めて貴重な 録音テープですが、録音と編集の 状態が良くないので、

 それを補うための 番組の構成が重要になります。

 「死刑執行」 という 番組のテーマからして、

 死刑執行の現実を 人々に知ってもらい、

 裁判員制度を控えて、死刑を自分のこととして 考えてもらうのが目的でしょう。

 ひいては、死刑是認に傾いている世論を、

 バランスある方向へ 促すスタンスになるのは 必然的なことだと思います。

 また、拘置所関係者が作った という性質上、

 刑務官の立場が 重視されていることも 致し方ないかもしれません。

 ただし、刑務官という 個人の心情のために、

 死刑存廃という国家的な制度を 論じるべきではないと思います。

 刑務官に過剰な負担がかかるから 死刑はやめるというのではなく、

 もしも死刑が 必要だと言うのなら、

 刑務官の負担を減らしたり、なくする方向で 考えていかなければなりません。

 絞首刑でなく 薬物にするとか、人の手で注射するのではなく

 自動的に注入できるようにするなど、他の方法を考案するべきでしょう。

 そして 番組でも指摘していたように、死刑囚を拘置する施設 (人間) と、

 執行する施設 (人間) を 別にすることも肝心です。

 しかし それよりも重要なのは、国家が人を殺すということが、

 近代的・文化的社会として あるべき姿なのかということです。

 殺人に対して 殺人で返す応報刑は、

 国家が殺人者と同じレベルに なってしまうことではないでしょうか。

 刑務官の苦悩が、死刑という形の刑の 残酷さを、

 物語っていることになると思います。

 番組は、その不合理さを 実感として伝えたものの、

 まだまだ多くの人は それを知りません。

 国の方針として、死刑の現状を もっと明らかにするべきだと思いますが、

 長い間 状況は逆行してきていました。

 官民で情報を 公開していくことが望まれます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54174871.html
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 文化放送 「死刑執行」 (... | トップ | 文化放送 「死刑執行」 (... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

死刑制度と癒し」カテゴリの最新記事