(前の記事からの続き)
ネット上では、 「しょうがい」 の表記について、
本来 「障碍(礙)」 と書かれていたが、
戦後、 当用漢字の 「害」 が 当て字として書かれた、
という記述も幾つかありました。
しかし、
《障がい者制度改革推進会議 「『障害』の表記に関する検討結果について」》
の記述のほうが 信憑性があると思います。
以下に要約します。
《 「障碍(礙)」 は元々仏教用語で、
明治に至るまで 「しょうげ」 と読まれ、
平安時代からは 「悪魔、 怨霊などが邪魔すること」 という意味で使われていた。
「障害」 は 遅くとも江戸時代には用例がある。
明治に入ると 「障碍(礙)」 を 「しょうがい」 と 読む例が現れる。
混乱を避けるためもあって、
「しょうげ=障碍(礙)」 と 「しょうがい=障害」 を 書き分けるようになり、
大正期になると 「しょうがい」 は、
「障碍(礙)」 よりも 「障害」 のほうが一般的になる。
戦後、 当用漢字に 「碍」 が含まれなかったため、
「障碍」 の表記がほとんど消え、
「しょうがいしゃ」 も 「障害者」 とされることとなった。
(人を対象とした 「障害者」 という概念が確立されたのは 戦後)
「碍」 を常用漢字にするように という意見もあるが、
「障碍」 と表記しても 根本的解決にはならない。
仏教語の語源の問題もあり、 「障碍」 は不適切という 議論が起こりうる。》
「障碍者」 と表記すべきという 意見も多いですが、
必ずしも適切ではないようです。
僕自身は、 「障碍者」 は 多くの人が読めない文字なので、 賛成していません。
不特定多数の人々に 物を伝える立場からすると、
読めなくては そもそも伝えることができませんから。
もし 「碍」 を常用漢字にするとしても、
少なくとも当面は この字は使えませんし、 将来常用漢字になったとしても、
その教育を受けていない世代の人は 読みがたいでしょう。
(次の記事に続く)