「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

恋愛の苦しみ

2008年12月31日 13時53分51秒 | 僕と「ジャン=クリストフ」
 
(前の記事からの続き)

(12/23)

「 恋愛とは 何と不条理なものだろう!?

 理性も価値観も、 何の役にも立たない。

 人格は 恋愛に関係がない。

( 人格によって 人が愛されるなら、

 この世に 愛される人間は 一人もいない。)

 なんであんなものを 好きになってしまうのだろう。

 自分と合わない、 うまくいかない条件が整っていると 分かっているくせに、

 この感情はなんだ?

 この苛立ちは何だ!?

 何故あんなもののために 僕は苦しまなければならない!?

 何故こんな弱い立場に ならなければいけないのだ!?

 好きだという感情が 強ければ強いほど、 僕は弱いものとなる。

 泣かなければならない。

 人を愛するという、 この世で最も すばらしいはずであるものが、

 どうしてこんな 苦しいものでなければならないのだろう。 」


( 「ジャン・クリストフ」 )

「 クリストフのような人物は、

 自分のためになり得る者を 愛することはめったにない。

 むしろ自分の 害になり得る者を 愛することが多い。

( 相反するものこそ 互いに引き合う。

 自然は 自己の破壊を求める。

 できるだけ長く 生きることではなくて、 最も強く生きることを 掟としてる、

 クリストフのような 人物にとっては、 それが至当である。 )

 恋愛は 互いに相いれ得ない人々を 一緒にする。

 同じ種類の人々を 互いに排斥させる。

 恋愛が破壊するものに 比べれば、

 恋愛が鼓吹するものは ごくつまらないものである。

 幸いにも恋愛は 意志を溶かす。

 不幸にも恋愛は 心を破る。

 いったい恋愛は 何のためになるのか? 

 そして、 そういうふうに 恋愛をののしっているとき、

 彼の目には 恋愛の皮肉な、 また 優しい笑顔が見えた。

 その微笑は 彼にこう言っていた。

 『 恩知らずめ!』 」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/57319763.html