中学生の那由はラーメン好きで、家には常にラーメンのストックが欠かせません。
しかし、味がわかるのかと言えばそうでもなく、要するにラーメンであればいい。
せっかく荻窪住んでいながら、いわゆる荻窪ラーメンには、地元だと案外行かないものです。旨い店は遠くに住んでいる人の方がよく知っていたりします。
それでも、「どこの店がおいしいの?」と聞かれたりしますから、それらしい店は一通り出かけてみることにしています。
で、ラーメン好きの那由を連れて昨年3月にできてから、まだ一度も行ってなかった「とんこつらぁ麺CHABUTON」へ。
この店があった場所は何度もオーナーが代わって、一時は「香月」が入っていたこともありましたが、味が落ちて来たなと思ったら閉店してしまいました。
今回も壁面の装飾を変えただけで、ほとんど居抜きのままで開店したようす。
こちらがメイン商品の「とんこつらぁ麺」。那由は味玉子付きを注文。
こちらは、「醤油らぁ麺」。荻窪で長く営業するには、醤油が一定レベル以上でなければ成り立ちません。
はたしてこれはどうでしょう。
まず、豚骨ですが、那由のを失敬して味見したところ、思いのほかさっぱりしていてしつこさがありません。然し、豚骨に期待されるコクがあまりなく、味は薄め。薄味好きの那由にはちょうど良かったようす。
麺は定番通りの細めんですがやや頼りない感じです。
全体的に「帯に短し襷に長し」で、これが本物の豚骨ラーメンなんだ、と言われればそれまでですが、ぼくにはいまいちです。
醤油は東京ラーメン独特の縮れ麺で、食感も悪くありません。
ところが、スープはまるで素人。醤油の味が生でコクがないどころかトゲがあり、まったく熟成されていません。
せっかくの麺がだいなしです。
これでは、醤油はメニューに入れない方がいいですね。
カウンター前に置かれたパウチされた宣伝には、ガゼットやミシュランに名前を連ねたことがこれ見よがしに印刷されています。
もし本当なら、ガゼットもミシュランもたいしたもんじゃありません。
「自由にお持ち帰りください」とある、A4三つ折りのパンフレットの内側には、いかに苦労を重ねてこのラーメンを誕生させたかというサクセスストーリー。
これでもかという自己宣伝がいささか鼻につきます。
ラーメンに自信があればだまってそのまま客の前に差し出すでしょうが、まあ、自信がないんでしょうね。
いかにすごいかということを、味以外の部分で一生懸命語ってみても、それで客が入るのは一度だけ。おいしくなければ裏切られたと思い、二度と来ません。
お粗末なのは中面トップにあるキャッチコピーの「誤植」。グループ代表者の名前「森住康二」の「二」が片仮名の「ニ」になっています(赤○で囲んだところ)。
修正シールも貼っていないところを見ると、これは誰も気づいていませんね。
本文の細かいところならまだしも、いきなりトップに誤植は信頼をなくします。
さて、いささか酷評になってしまいましたが、豚骨だけならけっして、悪い味ではありません。よけいな自己宣伝せずに、そのまま出せばそれなりにファンがつくのではないでしょうか。
しかしまあ、荻窪以外なら客が入るかもしれませんが、ラーメン屋がひしめく荻窪では、2、3年もてばいい方でしょう。
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