CATVで放送された、ジャン・リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』を観た。
ジャン・リュック・ゴダールはヌーヴェルヴァーグの旗手として、1960年代には非常に人気の高かった映画監督である。
『勝手にしやがれ』『アルファビル』『中国女』『男性・女性』など、多くの作品を手がけ、いずれも平均以上の評価を得た。
『気狂いピエロ』は彼の代名詞ともいわれる代表作である。主役のアンナ・カリーナとは夫婦であったがこの年に離婚。翌々年、『中国女』で主役を演じたアンヌ・ヴィアゼムスキーと結婚。1973年にはスチル・カメラマンのアンヌ=マリー・ミエヴィルと、前妻と離婚せずに同棲を始める。まさに、「勝手にしやがれ」である。
そんなことを知らずに(知るわけがないが)ヴェトナム戦争のさなかの60年代、反戦色の濃いゴダール作品が公開されるたびに観ていた。
『気狂いピエロ』は各所に反戦・反米を感じさせる台詞が現れるが、映画そのものはどちらかといえばピカレスクだ。ゴダールの映画は映像が抽象的なので、しっかり台詞を聞いて(字幕を読んで)いないと何がなんだかわからない。俗にいう「難解」な映画である。
この時代は、難解な方が受けたのである。今なら自主映画扱いされるような作品がほとんどだ。
ちなみに『気狂いピエロ』は「きちがいぴえろ」と読むのが正しい。「きちがい」が放送禁止用語なので、「きぐるい」と読むことが多くなっているが、それは間違いである。
ゴダールの映画は放送コードぎりぎりの台詞が多く、今回の放送でも字幕に訳されていない部分が多々あった。
ジャン・ポール・ベルモンド演じるフェルディナンは「ピエロ」と呼ばれ、金目当ての愛情のない結婚をしていた。ある日、元彼女のマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と出会い一夜を過ごすが、翌朝室内に見知らぬ男の死体があるのを見つけ、マリアンヌと共に逃避行を始める。
盗んだ車とともにギャングの金を水没させたため、アルジェリアのギャングに追われながらも、スリリングで充実した生活を過ごすが、やがて、マリアンヌとの間に亀裂が生じ始める。ギャングと通じフェルディナンを裏切ったマリアンヌを、フェルディナンは銃殺。
すべてに絶望した彼は顔にペンキを塗り、彼なりの虚飾にそまろうという行為だった。
そしてダイナマイトを顔に巻きつける。 しかしこれは、彼にとって一種の冗談であり、本当に死ぬ気などなかった。
ヘビースモーカーのクセで、何かが一段落するごとにタバコに火をつける。その火がダイナマイトに引火する。
アホである。
あわてて火を消そうとするが、一度導火線についた火は消すことができず、フェルディナン爆死する。
彼は最後までピエロを演じ切ったというわけである。
印象的な台詞にこんなのがある。
ヴェトナム戦争でベトコンが115人死んだというニュースを聞いたマリアンヌがいう台詞。
「何にもわからない。115人が死んだというだけ。映画は好きだったのか、妻や子はいたのか。何にもわからない」
アルジェリアのギャングに脅されたフェルディナンの台詞。
「俺達は無理矢理コカコーラを飲まされている。アリジェリアで、ヴェトナムで」
(いずれも、正確ではないと思うので、そのへんは悪しからず)
CATVではこの後、同監督の『小さな兵隊』も放送したが、こちらの方は気力が続かず、途中で止めた。
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ジャン・リュック・ゴダールはヌーヴェルヴァーグの旗手として、1960年代には非常に人気の高かった映画監督である。
『勝手にしやがれ』『アルファビル』『中国女』『男性・女性』など、多くの作品を手がけ、いずれも平均以上の評価を得た。
『気狂いピエロ』は彼の代名詞ともいわれる代表作である。主役のアンナ・カリーナとは夫婦であったがこの年に離婚。翌々年、『中国女』で主役を演じたアンヌ・ヴィアゼムスキーと結婚。1973年にはスチル・カメラマンのアンヌ=マリー・ミエヴィルと、前妻と離婚せずに同棲を始める。まさに、「勝手にしやがれ」である。
そんなことを知らずに(知るわけがないが)ヴェトナム戦争のさなかの60年代、反戦色の濃いゴダール作品が公開されるたびに観ていた。
『気狂いピエロ』は各所に反戦・反米を感じさせる台詞が現れるが、映画そのものはどちらかといえばピカレスクだ。ゴダールの映画は映像が抽象的なので、しっかり台詞を聞いて(字幕を読んで)いないと何がなんだかわからない。俗にいう「難解」な映画である。
この時代は、難解な方が受けたのである。今なら自主映画扱いされるような作品がほとんどだ。
ちなみに『気狂いピエロ』は「きちがいぴえろ」と読むのが正しい。「きちがい」が放送禁止用語なので、「きぐるい」と読むことが多くなっているが、それは間違いである。
ゴダールの映画は放送コードぎりぎりの台詞が多く、今回の放送でも字幕に訳されていない部分が多々あった。
ジャン・ポール・ベルモンド演じるフェルディナンは「ピエロ」と呼ばれ、金目当ての愛情のない結婚をしていた。ある日、元彼女のマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と出会い一夜を過ごすが、翌朝室内に見知らぬ男の死体があるのを見つけ、マリアンヌと共に逃避行を始める。
盗んだ車とともにギャングの金を水没させたため、アルジェリアのギャングに追われながらも、スリリングで充実した生活を過ごすが、やがて、マリアンヌとの間に亀裂が生じ始める。ギャングと通じフェルディナンを裏切ったマリアンヌを、フェルディナンは銃殺。
すべてに絶望した彼は顔にペンキを塗り、彼なりの虚飾にそまろうという行為だった。
そしてダイナマイトを顔に巻きつける。 しかしこれは、彼にとって一種の冗談であり、本当に死ぬ気などなかった。
ヘビースモーカーのクセで、何かが一段落するごとにタバコに火をつける。その火がダイナマイトに引火する。
アホである。
あわてて火を消そうとするが、一度導火線についた火は消すことができず、フェルディナン爆死する。
彼は最後までピエロを演じ切ったというわけである。
印象的な台詞にこんなのがある。
ヴェトナム戦争でベトコンが115人死んだというニュースを聞いたマリアンヌがいう台詞。
「何にもわからない。115人が死んだというだけ。映画は好きだったのか、妻や子はいたのか。何にもわからない」
アルジェリアのギャングに脅されたフェルディナンの台詞。
「俺達は無理矢理コカコーラを飲まされている。アリジェリアで、ヴェトナムで」
(いずれも、正確ではないと思うので、そのへんは悪しからず)
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