ひまわり博士のウンチク

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バンダジェフスキー講演会

2013年07月22日 | 科学
 20日土曜日、「バンダジェフスキー講演会」に出版社の招待で出かけた。
 
 ユーリ・I・バンダジェフスキーはベラルーシの医師・病理解剖学者でゴメリ医科大学初代学長である。チェルノブイリ原発事故の影響を調べるために、被曝した人体や動物の病理解剖を行い、体内臓器のセシウム137などの放射性同位元素を測定する研究を行っている。
 1999年、ベラルーシ政府による「放射線は人体の健康にほとんど影響しない」という方針に反対したことから、入学試験の賄賂汚職の汚名を着せられ、8年間の禁固刑に処せられた。
 
 彼の研究書のうち2冊が合同出版から発売されている。
 
Vanda1
 『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響』
 『放射性セシウムが生殖形に与える医学的社会学的影響』(合同出版)
 
 現在3冊目を翻訳準備中。
 
 講演では、放射性物質を吸引あるいは飲食によって体内に取り入れた場合の、甲状腺をはじめとした各臓器への影響を統計や動物実験の結果から詳細に解説した。
 専門的な医学用語や物理学用語が多くて難解だったが、放射性セシウムが若年層ばかりか成人へも重大な影響をおよぼすことが理解できた。
 ベラルーシでは、チェルノブイリ原発事故の1986年を境に、数年後から出生率が減少し始め、反対に死亡率が上昇し、さらに数年後には逆転した。また、小動物の奇形や不妊などが、異常に増加している。しかしこれらは、事故後20年以上に渡る統計があってはじめて証明できるもので、福島原発の場合はまだ2年であり、チェルノブイリ事故に比べて規模も小さいので影響を調査することは難しいと言う。 
 ちょうど19日の朝日新聞に、福島原発事故における甲状腺被曝者数が、公表の10倍であったことが報じられたばかりであった。
 
 この講演会場に、山本太郎が乱入してきた。マスコミにも報じられたジャリッパゲはあったが、疲れた顔も見せず、「100万票ほしい」と呼びかける。会場からは「頑張って!」のかけ声。
 声をかけようと思ったら、風のように去っていった。翌日は投票日である、1か所でも多く回りたいだろう。
 
Vanda2
 
 講演が終わって、翻訳者の久保田護さんと楽屋を訪ねる。(左バンダジェフスキー、右久保田博士)
 久保田さんは茨城大学名誉教授で工学博士。1924年生まれで89歳。耳がいささか遠いが、趣味がテニスと言う元気一杯のおじいちゃんである。
 
            ◆
 
 この日は実にいろいろなことがあって大変な日だった。
 講演会に同行するはずの出版社の編集部員が、来る途中交通事故に遭い、チケットをもったまま病院に直行。幸いなことに怪我は軽傷だったが、打撲とする傷だらけでとても会場に来られる状態にない。そこで彼の細君が乳幼児を連れて開演直前にチケットを届けてくれた。
 帰りは帰りで、上野から日立に帰るという久保田さんを、新宿駅から山手線に乗せようと思ったら、線路に人が立ち入ったとかで運転見合わせ。ホームは階段まで人で溢れていた。やむを得ず乗り換えが増えるが、中央線快速で神田に出てもらい、そこから京浜東北で上野に出る方法を教え、気の毒とは思ったが込み合った中央線快速に押し込んで帰った。
 
 ところがこれだけでは終らない。家に帰るとすぐに長野の妹から電話があった。
 「明日スイカ送るから。月曜日は出かけないよね」
 「出かけないと思う。いつも悪いね、M(息子)が楽しみにしてる」
 名産の特大のスイカを毎年送ってくれているのだ。
 「そうそう、F子(妹の娘)結婚したのよ」
 「なに! なんで知らせない」
 「忙しいと思ってさ。わざわざ知らせることもないと思って」
 「普通知らせるでしょう。結婚式はどうしたの」
 「近所の身内だけでこじんまりやった」
 「言ってくれれば行ったのに」
 「そうか。でね、もうすぐ子どもが生まれるの」
 「なんだよ、できちゃった婚か」
 「ずっと付き合っててね、子ども作るつもりなかったんだけど、できちゃったから結婚するしかないってことになって」
 なるほど、それでこっそり結婚した訳だ、とわかった。それにしても変な家族である。うちも似たり寄ったりだが。
 「なんか抜け殻みたいでね、家の中が」
 「家族が一人いなくなるとそうだよね」
 「女の子って持ち物が多いから、着るものとか化粧品とか、風呂場のシャンプーとかみんなもっていっちゃって」
 抜け殻って、そっちかよ!
 「だって、物が減るって寂しいじゃない」
 やっぱり変な家族である。
 
 とにかく、騒がしい一日であった。