ネットのニュースを見てショック!(写真は信山社代表の故柴田信さん)
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(有)信山社(法人番号:8010002031530、千代田区神田神保町2-3、設立平成12年8月、資本金300万円、故柴田信代表)は11月25日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には和田一雄弁護士(山近・矢作法律事務所、千代田区有楽町1-13-1、電話03-3215-5410)が選任された。
負債総額は約1億2700万円。
東京・神田神保町で(株)岩波書店(TSR企業コード:290016118、法人番号:6010001010826、千代田区)発行の書籍販売を中心とした「岩波ブックセンター」を経営していた(岩波書店との資本関係は無い)。人文・社会科学系の専門書、新書、文庫をはじめ岩波書店が刊行する書籍の大部分を取り扱っていることで広く知られ、多くの書店が集中する神保町界隈でもランドマーク的な存在として知名度を有していた。
しかし、28年10月に代表の柴田取締役会長が急逝。事業継続が困難となり11月23日より店舗営業を休業し、動向が注目されていた。(exciteニュース)
信山社(岩波ブックセンター)の梅原龍三郎の包装紙は、子どものころからの憧れで、父親が信山社で買って来た本にかかっていたカバーをもらっては、自分の本に自慢げにかけていた。何か特別な本に思えていたからだ。
その信山社も過去に一度倒産していて、柴田さんの手で復活した。
柴田さんは、書店経営のプロ中のプロなのだ。
先日岩波ブックセンターを訪れて本を購入したついでに、そうだ柴田さんに会っていこうと思い立ち、店員に「今日柴田さん来てる?」と聞いたところ、「亡くなりました」という。何かの間違いだろうと思って、どういうことかと聞きかえすと、亡くなる前日まで出社していて、先月(10月)突然亡くなったという。ぼくが信山社を訪れる半月ほど前のことになる。
柴田さんとは、彼が池袋の芳林堂書店で仕入部にいた頃に知り合い、それからずっと、あれやこれやお付き合いをさせてもらっていた。
ぼくがスーパーのダイエーの販売促進部に嘱託で入って広告の仕事を始めると、「君は広告なんて似合わない。ウチ(岩波書店)に来て本を作れ」と誘われたことがある。芳林堂で親しかった友人のK君は、柴田さんが岩波に行ったときに、一緒についていった。僕はというと、当時は派手なことに憧れていたものだから、固い本を作っている岩波書店に行くことは気が進まず、断ってしまった。しかし、もし岩波に入っていたら違った人生があったかもしれない。
それにしても、信山社が破産するとは想像もしていなかった。今後再建できるかどうか、この出版不況では難しいかもしれないが、なんとかがんばって欲しいものだ。このままでは、柴田さんにしてみれば死んでも死にきれない。
何年か前、出版不況が始まった頃に柴田さんがこんなことを言ってぼやいていた。
「何十年も本を売って来たけれど、こんなに本が売れないのは初めてだ……」
柴田さんは向こうの世界でも本を売っているのだろうか。あちらには出版不況などないかもしれないから。