ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

映画『夕凪の街 桜の国』

2010年05月31日 | 映画
Yunaginomachi1
 
 昨年、9月にこのブログで紹介した、こうの史代原作による漫画の映画化である。(2007年公開)
 6月にかけて日本映画専門チャンネルで放映している。
 
 この映画は、原爆を俯瞰的視線で見渡すのでなく、被爆した人々とその家族の、固有名詞を重視した等高線的視線で描く。
 原作もそうだが、これは原爆の話ではなく、被爆した人とその家族の物語である。
 
 映画は、漫画以上にソフトな雰囲気になっていて、麻生久美子が主演する前半「夕凪の街」は、悲恋のラブストーリーだ。
 しかし、それはそれでいいと思う。
 上映の最後に麻生久美子のインタビューがあって、軽部アナのこの仕事を受けたときどう思ったかという質問にこう答えている。
 「原爆とか戦争とか、そういうことがとっても恐くて、見なかったというか避けていたんです。でも、もうそろそろちゃんと考える時期が来たのかなと」
 
 戦争体験者の話とか、原爆の記録映画などを見ること、沖縄の戦跡を見学することなどについて、抵抗のある人は想像以上に多い。それはやはり、好意的に考えれば、麻生久美子がいうように直視することが恐ろしいのだろう。
 しかし戦争とは、蒲団をかぶって寝ていれば、勝手に通りすぎて行くほど甘いものではないのだが。
 
 そうした人々でも、さりげなく目にしてしまう、通りすがりの風景のような映画である。
 それでいて、いくつか忘れることの出来ない台詞があった。
 
 「ひどいなあ てっきりわたしは 死なずにすんだ人かと思ったのに」
 
 「十年経ったけど 原爆落とした人は私を見て「やった! またひとり殺せた」とちゃんと思うてくれとる?」

 「原爆は落ちたんじゃない 落とされたんだ」
 
 主演の麻生久美子はなかなかの好演である。彼女の演技が暗いテーマを明るく抵抗の少ないものにしてくれている。
 悲惨な映画に免疫のない人も、さほど恐ろしさを感じることなく見られるだろう。
 
Yunaginomachi2
 
 田中麗奈主演の後半は、それから50年後、現代である。
 堺正章演ずる祖父が、何も言わずに出かけていくあとをこっそりつけて行く。
 祖父は、夜行バスで広島まで行き、思い出の人々を訪ね歩き、原爆の犠牲になった家族の墓に手を合わせていた。
 
 実は孫が後をつけているのに気付いていた祖父は、思い出の写真を孫に見せる。
 そこには、若く美しい皆実の姿があった。
 
 祖父の足跡を追いながら、映画はカットバックで回想シーンのように50年前の出来事を振り返る。
 一度落とされた原爆は、その時だけにとどまらず、その後何世代にも渡って、様々に姿を変えながら被害を及ぼし続けることを、実にうまく表現している。
 
 6月の上映は、「日本映画専門チャンネル」で、
 5日12:00/12日20:00/17日20:00/23日20:00
 
 関連記事→「この世界の片隅に・夕凪の街 桜の国」
 
Yunaginomachi3
 
 原作:こうの史代
 発行:双葉社
 
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ビジョンのないピジョン

2010年05月29日 | ニュース
 やっぱり元に戻った。
 最低でも県外という約束を反古にしたばかりか、その上公約を貫こうとした社民党の福島氏を罷免してしまった。
 
 頑だの非現実的だのと福島氏を悪者にしたマスコミにも罪がある。とくにフジテレビの報道はひどかった。社民党内でも孤立を深めているだの、福島氏を非難する街の声まで「積極的に」取り上げた。
 
 福島氏は正しい。かつての社会党が衰退したのは、村山連立内閣が自民党に迎合して自衛隊を合憲だと言ったのが直接の原因だ。したがって、社民党がここで民主党に同調して、普天間基地の辺野古移転を容認するような閣議声明に署名してしまったら、それこそ社民党の存在意義はなくなる。
 
 度々いうように、民主党は結局自民党の亜流である。アメリカに対して毅然とした態度をとることなど出来はしない。
 「学ぶほどに抑止力としての海兵隊の必要性を感じた」などとバカなことを言っている。あの、石原都知事でさえ、海兵隊に抑止力がないことを認めている。
 
 鳩山首相は「早急に危険を取り除くために」普天間の移転を急がなければならないと言う。辺野古が問題なのは環境に配慮しなければならないからども言う。
 確かにそうだ。しかし、それらは基地問題のほんの一部でしかない。
 基地が危険なのは普天間だけではないし、環境に影響を及ぼすのは辺野古だけでもない。沖縄の人々が最も望んでいるのは、沖縄からすべての基地がなくなることだ。
 
 沖縄と本土の温度差以上に、鳩山内閣と沖縄の温度差は大きい。
 
 本土の人間の多くは、どうして沖縄に基地が集中しているのかさえ知らない。極端な場合、基地があると儲かるから沖縄住民が積極的に米軍基地を誘致したからだと思っている人間さえいる。
 沖縄が戦後長くアメリカに占領されていたことすら知らない人間がいると言う。
 
 驚きだ。
 
 
 
 
 冷戦時代、ソ連と中国ののど元に刃を突きつけるのに、日本は基地として最適の場所だった。アメリカが長く沖縄を返還しなかったのも、それが理由だったからだ。
 名目上は新憲法で軍隊を持たない日本を、外国からの侵略から守ることだった。それが日米安全保障条約(安保)である。
 だが、それは違う。
 ソ連が崩壊してその理由がなくなったにもかかわらず、安保はそのままで、基地もそのままだ。いや安保は日米軍事同盟に変わった。
 居座る理由は明解である。ただで基地を提供し、しかも思いやり予算なるお小遣いまでもらえる国は、世界中で日本しかない。
 
 海兵隊に抑止力があるなど大間違いだ。湾岸戦争でアメリカがサウジアラビアに派遣した海兵隊の数は20万以上。しかし、沖縄の海兵隊は1万8000人。そのうち戦闘員は半分以下だ。それでいったい何ができるというのか。
 ようするに、抑止力としてはクソの役にも立たないのが、沖縄駐留米軍なのである。
 沖縄に基地を置いておく理由はただ一つ、「収入」が得られるからだ。
 
 鳩山総理の無知には恐れ入る。どこのどいつに吹き込まれたのか知らないが、海兵隊が抑止力だなど、頓珍漢も甚だしい。
 
 つまり、(必要を認めるわけではないが)自衛隊の方がよほど頼りがいがあるというものだ。その自衛隊は、「兵力を保持しない」はずなのにもかかわらず、世界有数の軍隊に成長している。
 
 
 
 さて、日本政府は沖縄を守らないことがわかった。いや、日本の国民の多くを守ることもないだろう。かつて日本軍が、沖縄の住民を守らなかったように。
 結局、国民は自分の身の安全は自分で守らなければならない、ということだ。日米共同声明が堂あろうと、閣議決定が何だろうが、志を同じくする人々が、日本のどこにも絶対に新たな基地を造らせないようにしなければならない。
 
 鳩山内閣打倒!
 
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肥後守

2010年05月26日 | 日記・エッセイ・コラム
 かつて、小学生の男の子は誰もが持っていた。ベーゴマとビー玉と肥後守(ひごのかみ)。いたずら小僧の三種の神器だ。
 
Higonokami
 
 たしか、一本20円ほどで手に入ったと思う。肥後守とは折りたたみ式の軽便ナイフのことで、戦前からあった。
 肥後といえば今の熊本県だが、なぜだか産地は兵庫県三木市で、当時は同じようなナイフを製造する工場が何軒もあったそうだ。
 肥後守とは商品名であったのだが、最も人気があり出回ってもいたので、それがいつか普通名詞になったという。
 サインペンやセロテープと同じだ。
 
 今では好事家以外使うこともなくなり、肥後守は兵庫県三木市にある永尾駒製作所製造の登録商標となった。
 むろん現在、20円で手に入る肥後守はない。
 高級品は1万円以上もして、桐の箱に入っていたりする。
 たかが軽便ナイフだろうに。
 
 Higonokami1
 
 子どもの頃から持っていた、類似品の肥後守は長男に譲った。
 それは刃渡り5、6センチ程度の小さなものだが、数年前に金物市で見つけて買った写真の肥後守は1,000円くらいだったと思う。
 刃渡り10センチくらいある大型だが、このナイフの特徴で、刃が固定できないために、このままでは凶器にはならない。
 刃の尻の部分の「チキリ」と呼ばれる、刃を鞘から起したり、使う時に親指で刃を抑えておく部分がある。それを針金で縛って固定し、さらに鞘に滑り止めでも巻けば立派な凶器になるが、凶器にすることを目的に肥後守を買う人間はいないだろう。
 また、カッターのように細かな細工にはむかないし、剃刀のように鋭い切れ味も持ち合わせていない。
 つまり、鉛筆を削ったり竹とんぼを作る以外にはあまり役に立たない代物ではある。
 
 かつて子供たちは、木や竹を肥後守で削って竹とんぼやゴム鉄砲を作った。それで、怪我もしたしさせたこともあった。しかし、大事になったという話はほとんど聞いたことがなかった。
 風の便りに腹を突いたの指を切断したのと聞いたことがなくはないが、交通事故に比べたら極めて稀でしかない。
 
 近年「刃物を持たない運動」なるものが広まっているようだ。
 子供たちを危険から遠ざけることが目的だという。しかし、子供たちの手からこんな小さな刃物まで奪うというのはあまり賛成できない。
 そのために、鉛筆さえ削ることの出来ない大人が増えた。ごぼうのささがきを作るのに、「鉛筆を削るように」という形容が通じないらしい。
 学校の授業でいきなり彫刻刀を持たされたりすると、「刃物は切れる」ということが体感としてわからないからかえって危険だ。
 
 野球や相撲で怪我をしても大騒ぎする親が多いと聞く。
 運動会の練習で転んで、膝小僧をすりむいても、教員に噛み付く親がいると聞く。
 これはまったく本末転倒である。
 怪我をして血が出て初めて人の痛みがわかる。
 指を切りながら、刃物の使い方を覚えるのだ。

 箱入り娘、箱入り息子は、健全には育たないということを、近頃の親は知るべきだ。
 
 スポーツも、痛い思いをしながら上達する。
 プロ野球ロッテマリンズの西岡選手だったか、こどもの日、子供たちに向けたメッセージを伝えていた。
 「いっぱい遊んで、いっぱい怪我して、元気な子供になってください」
 
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ライティング・出版講座

2010年05月23日 | おしらせ
 ライティング・出版講座を本格的にスタートさせた。
 講習会形式と個人レッスン形式で行なっていて、文章表現や編集出版の基礎から上級まで指導する。
 講習会は今のところ不定期。個人レッスンは今月から2名が、当オフィスを訪れて受講している。
 
 週末講習なので、土日のどちらかがつぶれることになるが、もともとあまり曜日にとらわれない仕事なので、さほど影響はない。
 
 
 業界外の人と話をするといつも感じることだが、会話に業界用語が混じってしまったり、われわれが常識と思っている事柄が、一般的にはなじみのない言葉であることに気付かないでいて、会話がしらけることがある。
 
 たとえば、カバーとか表紙とか帯とか、出版にたずさわっている人間ならどれがどれかを知らない者はいないのだが、たいていの人は、カバーが表紙だと思っている。
 で、それを指摘すると目を丸くする。
 
 書籍のページ数が基本的に16の倍数で出来ていること、16ページごとに1枚の紙の裏表に印刷し、それを折り畳んで製本することを説明すると、天地がひっくり返ったかのように驚く人もいる。
 
 つまり、そういうレベルの人を、一人前のライターや編集者に育てるのが、この個人講座だ。
 6ヵ月とか1年とかのコースなので、それだけですぐにプロとして通用することはないのだが、プロになるために最低限身につけておかなければならない知識や技術は伝達できる。
 
 まずは、1冊の本を書くためには、どんなことから始めればいいのか、どうすれば効率よく執筆できるか。
 どうやって、出版を現実のものにするには何が必要か、などを学んでいく。
 
 ライターや編集者の仕事は、知識や技術以上に個人の感性に頼る部分が大きい。
 こればかりは、何年もの時間をかけて身につけていく他はないのだ。
 だから、コースが終了して、ハイさようなら、ということにはしたくない。
 希望に応じてコンサルティングを行なうことにしている。
 
 今回受講をはじめた2名は、とりあえず、それぞれ一冊の本を書き上げることを目標にしている。いずれも書く意欲は十分で、基本的な知識と段取りを教えたら、あとは執筆途中で添削していけばいい。
 そんなに大冊は望んでいないので、半年あればなんとかなるだろう。
 
 今月から始めたばかりだが、やってみると、そう何人も引き受けられないことがわかった。5人も面倒を見たらパンクするかもしれない。
 
 さて、業界専門用語。以下は書籍のある部分の名称だ。どんな意味かわかるかな?
 まあ、一般的には知ったからといってどうということはないが、業界人になるのなら覚えておかないと会話が成り立たない。
 
 「小口 のど ノンブル ハシラ 見返し スピン はなぎれ 遊び紙 腰巻き 表紙 背 扉」
 
 つぎは、作業中に使われる用語。
 
 「割り付け 組版 赤が入る 入稿 脱稿 重版 改版 装丁 上製 並製 丁合 落丁 乱丁 四六判 菊判 ツカ(ツカ見本)」

 まだまだたくさんあるけど、とりあえず。受講すれば通常に会話に自然に出てくるようになる。
 
 受講の申し込みと詳細は、以下。


=個人向けコンサルティング・メニュー=
1. ブラッシュアップ・コース 月2回(1回60分)
  1ヵ月 ¥20,000.-
 文章力をアップしたい。出版についての初歩的な知識が欲しい。

2. アドバンス・コース 月2回(1回90分)
  1ヵ月 ¥30,000.-
  6ヵ月 ¥175,000.-
  1年  ¥315,000.-
 実際に出版を目的とした原稿を書きたい。
 そのための専門的な知識 を得たい。

 *講習料は全額前払い。主催者側都合で講習が中止されたとき以外は返 金いたしません。

 講習日 土曜・日曜(原則) 予約制 
    時間帯 11:00~ 22:00のうち60~90分

 事前に15~20分インタビューを行い、講習内容を決める。
 事前連絡で、講習日の変更は可能。
 場所:GALLAPオフィス(東京都杉並区 最寄り駅「荻窪」)
    スカイプ利用での講習も可能。

3. 原稿試読及び講評 1件 ¥50,000.-
 すでに原稿がある人のために、出版に向けてのアドバイスと評価。
 
4. グループ、企業、団体向け1日講座
講座時間(一例)10:00~6:00(昼休憩1時間含む)
  講師料:時間・人数に応じ、50,000~100,000円(資料代含む・交通費別途)
 
■お問合せ galapyio@sepia.ocn.ne.jp
 または、「コズミックダンスカンパニー」でも受け付けています。
 受講料の分割払い可能。
 

 


意見広告「基地撤去、海兵隊撤退」

2010年05月16日 | インポート
Iken_kokoku
 
 5月16日付、『朝日新聞』掲載の意見広告。
 
 5月15日は沖縄の本土復帰38年だった。しかし、沖縄に祝賀ムードはないという。
 「日本に復帰して幸せだったのか」元沖縄教職員組合議長で祖国復帰協議会幹事を務めた石川元平さんはこう語る。
 「米国の占領から日米両国の植民地に変わっただけではないか」
 
 1972年に復帰したあとも、米軍基地のほとんどが残り、38年経った今もそれは変わらない。
 今沖縄では、独立への意識が萌芽しつつある。
 
 「軍がいたから戦争に巻き込まれた。これだけの基地を押し付けて、ぬくぬくと生きているヤマトの人間にその思いを知って欲しい」 

Ishikawa
(石川元平氏 1997年7月1日杉並)
 
普天間基地は撤去、米海兵隊は撤退を。
 
 基地のない沖縄、そして日本を。
 「沖縄に基地があること。 
 沖縄の中に基地があること。
 仕方がないとあきらめていないか」
 4月25日日米普天間飛行場の県内移設に反対する県民大会に参加した17歳の高校生の言葉です。
 私たちは半世紀以上もの間、沖縄県民に想像を超える苦痛と犠牲を強いて来ました。
 アメリカの海兵隊は、本当に必要なのでしょうか。
 暮らしと安全を守るのに、米軍基地や軍隊が必要なのでしょうか。
 軍事基地は、海にも陸にもいらない!
 平和な沖縄を!

 この切実な願いに、いまこそこたえなければなりません。
 それは、日本に生きる、私たちみんなの問題です。
 
 安保改定50年

 平和に生きるため、

 見直すときです。

 米海兵隊の普天間基地の即時閉鎖・
 返還を求め、「県内移設」に反対します。

 
 普天間米軍基地は、米政府自らも認める世界一危険な基地です。米軍は戦後65年もの間、村の役場、田畑や学校のあった暮らしと命を育む土地を強奪し、飛行場をつくり、使い続け、爆音被害と死の恐怖を与え続けてきました。
 鳩山政権は「移設先探し」ではなく、何よりもまず、無条件にアメリカに普天間基地のすみやかな閉鎖と返還をさせるべく、米政府と真剣に交渉すべきです。そこから、沖縄とともに苦しみも希望も共にする本当の平和への扉を開く一歩が始まります。いまこそ、そのチャンスです。
 
 「辺野古新基地建設(くい打ち桟橋方式)」・
 徳之島への移設案の断念を求めます。

 
 政府案(「辺野古キャンプシュワブ沿岸にくい打ち方式による新基地建設を基軸に一部機能の徳之島移設」案)は、普天間基地の危険を移し、沖縄と琉球弧の美しい自然を破壊し、住民の命と暮らしを破壊するものです。沖縄、徳之島、日本のどこにも海兵隊の基地を受け入れる意思がない以上、米海兵隊は日本から全面的に撤退する以外にありません。鳩山政権はすでに破綻している移設案を白紙に戻し、新しい代替基地の建設断念、海兵隊の撤退をこそ、米政府と真剣に交渉すべきです。日米両政府は、沖縄の、日本の民意を尊重すべきです。

 日米安保条約をやめ、
 軍事力によらない平和を構想しましょう。

 
 半世紀も前に結ばれた日米安保条約による日米関係は、対米追従と構造的な沖縄差別の上に成立しています。これは、憲法前文と九条で定められた「平和国家」、「平和的に生存する権利」の原理と相反するものです。私たちは、日米同盟を「深化」させようとする政策に反対します。核や軍隊の「抑止力」に頼る冷戦時代の考え方に終止符をうち、世界と束アジアの平和と連帯を求めていく時ではないでしょうか。
 地位協定をはじめ、日米軍事同盟の根本的な見直しと全ての基地の縮小・撤去、そして軍事力にたよらない平和の実現を?。日米安保条約をやめて、平和友好条約を結ぶための対話と交渉を、いますぐ始めることを求めます。
 
 
 沖縄・緊急意見広告の報告集会
 ??ここから始めよう/次ヘー?(仮)
 
 関東集会 6月3日(木)午後6時~
■会場:東京・中野ゼロホール
■発言:沖縄・徳之島からの報告
    安次富浩・高里鈴代・山内徳信・上原成信
    他呼びかけ人。
■問合せ先:東京事務所
      東京都中野区中野2-23-1
      ニューグリーンビル309
      協働センターアソシエ内
      tel:03-6382-6537 fax:03-6382-6538

 関西集会6月5貝土)午後6時~
■会場:協同会館アソシエ3Fホール
■対談と討論集会:
    山内徳信・武建一他呼びかけ人。
■問合せ先:関西事務所
      大阪市東淀川区淡路3-6-31
      協働会館アソシエ内
      tel:06-6328-5677 fax:06-6328-5777
ホームページ: 沖縄・緊急意見広告運動
 
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赤、黄、青、緑、紫 ???

2010年05月15日 | ニュース
Hatoyama
(『朝日新聞』5月14日夕刊)
 
 「こりゃだめだ!」と見た瞬間思った。
 『朝日新聞』(14日付)夕刊に、「首相シャツ 米で酷評」という見出しで、鳩山首相のファッションがあまりにひどいと欧米のメディアが酷評している記事が掲載された。
 「目を疑う色彩感覚」「時代遅れの1980年代風」とぼろくそである。
 4月4日に首相官邸で行われた「リアル鳩カフェ」で着ていたシャツのことである。(写真)
 たしかにこれは、欧米メディアでなくても変だと思うだろう。
 
 ただし、シャツそのものが悪いわけではない、とぼくは思う。
 80年代だろうが時代遅れだろうが別にかまわないが、自分に似合うかどうか、どう着こなすかである。
 そもそも、鳩山由紀夫にこのシャツは似合わない。こういうキャラではない。
 誰が選んだのか、ミユキ夫人か。スタイリストか。
 
 この手のシャツは、ボタンをぴっちりかけてズボンにインしてはいけないだろう。
 下にタートルネックのシャツを着ているのだから、ボタンは全部はずして、ジャケット風にざっくり着れば、それなりに様になる。
 ズボンもベルトも間違っている。ボトムはジーンズだろう。
 
 まあ、髪型がこれではいずれにしろカジュアルな服装は似合わない。それなのにとんでもなく着こなしの難しいシャツを選んでしまった。
 誰もアドバイスしなかったのだろうか。
 
 沖縄訪問時の黄色い「かりゆし」もそうだが、この人、自分にどんな服が似合うのかわかっていない。ということは、結局「自分がわかっていない」ということだ。
 自分が見えていないから、他人も見えない。
 つまり、沖縄に行っても徳之島に行っても、住民がどんな気持でいるのかわからないのだ。
 
 自分が「どう見えているか」ではなく「どう見られているか」ばかり気にする。
 八方美人とはそういうものだ。
 
 
 
 欧米では、首長のファッションにはことさら気を使うと言う。着こなし一つで政治能力を判断されかねないからである。
 アメリカ大統領には必ずスタイリストがついて、一歩人前に出るにもチェックが入ると聞く。
 
 もっとも、ちゃんと政策を全うしていれば、ファッションでとやかく言われることもなかろうと思うのだが。
 
 
 今日(5月15日)沖縄、本土復帰38年。
 沖縄の米軍基地問題は、何も解決していない。
 
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ラジオ・ドラマ

2010年05月14日 | アート・文化
 かつて、ラジオ・ドラマというのがあった。
 最後のラジオ・ドラマがいつどんな作品だったのかは知らないが、テレビが普及する以前は、まさに国民的な娯楽だった。
 
 菊田一夫原作の『君の名は』は、日本中の女性を虜にし、放送時間帯には銭湯の女湯がガラガラになった、と言われている。
 子どもの頃のぼくが最も古く記憶しているのは、『鐘の鳴る丘』だろうが、さすがにこの頃は幼過ぎて、断片的にしか覚えていない。
 
 その後放送された「新諸国物語」シリーズの、『白鳥の騎士』『笛吹き童子』『紅孔雀』『オテナの塔』などは、古い真空管ラジオの今にも消え入りそうな音を、家族で耳をそばだてて聞き入っていた。
 とくに『笛吹き童子』『紅孔雀』は人気が高かった。福田蘭堂作曲の主題歌は、子供たちの誰もが口ずさんでいた。
 「♪ヒャリ~コ、ヒャラレ~ロ♪」
 
 そのころの人気ラジオドラマは、ほとんどが映画化されて、佐田啓二と岸恵子の『君の名は』は母親が近所の奥さん連中と連れ立って観に行っていた。「新諸国物語」はすべて東映が製作していて、時代劇のスター、中村錦之助(後の萬屋錦之助)、東千代乃介の活躍に胸をときめかせていた。
 
Dorama1
 『ラジオ・ドラマ??音と沈黙の幻想』は録音が残っているラジオドラマの中から9作品を選んで7枚のLPに収めたものである。
 1973年の発売で、12,600円もする。今の値段に換算すれば、3~4万というところだろう。よくぞまあ買ったものだ。
 
 収録作品は以下の通り。
 「激流」
  作・真船豊 出演・巌金四郎 他
 「東の国にて」
  作・木下順二 出演・山本安英 久米明 他
 「棒になった男」
  作・安部公房 出演・宇野重吉 芥川比呂志 他
 「耳」
  作・安部公房 出演・桑山正一 他
 「捨吉」
  作・三好十郎 出演・芥川比呂志 他
 「常陸坊海尊」
  作・秋元松代 出演・山本安英 加藤治子 久米明 他
 「都会の二つの顔」
  作・福田善之 出演・宮本信子 他
 「ツキアイきれない」作・井上ひさし 出演・小林恭二 三谷昇 他
 「狼少年」
  作・寺山修司 出演・奈良岡朋子 鈴木光枝 他
 
Dorama2
 『棒になった男』のスタジオ写真。
 右端が芥川比呂志、後の背が高いのが園井啓介、少年の後が信欣三、少年の左が北林谷枝。あとはよくわからない。
 前面に散らばったがらくたは、効果音用の道具だろう。
 当時は効果音もすべて手作りだった。波の音は篭に小豆を入れて振る。雨の音はトタン板のうえに豆を撒く。ドアのきしむ音は木材をこすり合わせる、などなど。
 ほとんどが生放送だったので、トチりは許されない。
 したがって、これら録音が残されているラジオドラマは大変貴重だ。
 今聞いても、音だけでこれほどまでもイメージが膨らむものかと感心する。
 
 テレビも3Dになり、ラジオの世界は音楽番組中心になってしまったが、現代の音響技術を使って、新しいラジオドラマの世界を作ってみてはどうだろうか。
 ちょっとやってみたい気がする。
 
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安部公房のこと

2010年05月11日 | アート・文化
 書庫を整理していて思い立ち、安部公房のことを書いてみる。
 
Kobo_abe
 
 安部公房は、大江健三郎と並んで僕が最も傾倒した作家である。
 斬新で独特の安倍ワールドに、まるで麻薬にかかったようにのめり込んでいった時期があった。
 
Suna_no_onna
 映画『砂の女』より。
 
 最初の出会いは小説ではない、勅使河原宏監督の映画『砂の女』である。
 公開は1964年、東京オリンピックの年だ。当時ぼくは高校生だったので、公開にあわせて観に行ったわけではないだろう。
 したがって何歳のときだったか忘れたが、映画を見たその足で書店に向かい、原作を読んだ。
 
 蟻地獄のようなすり鉢型の穴の底に家があり、女が一人で住んでいる。砂漠に新種のハンミョウを採集しにやって来た昆虫採集家の男は、その蟻地獄に見事にはまってしまう。
 穴から出るには梯子をつたっていかなければならない。
 ある日、はしごはいつの間にかはずされていた。それが女の仕業か村人の仕業なのかは分からない。
 そこから、シュールで艶かしい二人暮らしが始まる。妖艶な砂の女、岸田今日子にかなり惹かれた。
 
 思えば、原作の安部公房、監督の勅使河原宏、主演の岡田英次と岸田今日子、いずれも物故している。
 
Tomodachi
 青年座の舞台『友達』の冒頭。音楽に乗って家族が登場する。
 
 『友達』という戯曲がある。これが劇団青年座によって1967年に上演された当時、僕は演劇の世界にいた。すでに安部公房の大ファンになっていて、『他人の顔』や『燃えつきた地図』など、出版される作品を片端から読んでいたし、仲代達矢や勝新太郎主演の映画もすべて観ていた。
 まさに安部ワールド全開のこの『友達』も、すっかりぼくを虜にしてしまった。
 
 一人暮らしの青年の家に、軽快なリズムに乗って大家族が侵入してくる。如何にも親切そうな父親や、わがまま放題の息子など、どこにでもありそうな普通の家族なのだが、それが、じわりじわりと青年の暮しを破壊していく侵略者なのだ。
 安部公房ははたして、どのような実際の「侵略」と結びつけていたのだろうか。少なくとも、過去に日本がアジア各国で行った侵略行為とは異なる気がした。
 如何にも平和外交での交流を図っているように見えて、実は虎視眈々と占領の機会を狙っている国家とはどこだろうか。
 当時、中国も韓国も発展途上国だった。だからそれらではない。
 
 舞台の冒頭、家族が巨大なシルエットで現れる演出は、安部公房自身のアイデアである。
 
 実は安部公房の作品は、われわれの芝居仲間の間では、あまり評判が良くなかった。小説も戯曲も意味不明で何が言いたいのか分からない、というのだ。
 当時、リアリズム演劇に対し、実験演劇とか前衛演劇というのが流行っていて、ベケットやピンター、グロトフスキーなどが代表的な作家や演出家であった。
 日本では天井桟敷の寺山修司、早稲田小劇場の鈴木忠、転形劇場の太田省吾などが知られている。
 今までになかった演劇手法に挑戦し、観客の反応を見ようというのが目的であった。
 詳述するとこれだけで1冊本が書けてしまうのでやめておくが、要するに安部公房の演劇も、古い体質の新劇の劇団員たちにとっては邪道と見られていたのだ。
 
 新劇とは「新劇運動」という、反体制運動であった。スタニスラフスキーや小山内薫の築地小劇場から綿々と続く演劇手法、リアリズム演劇が本道であって、その根底にはマルクス・レーニン主義を基礎とする、唯物弁証法があった。
 実験演劇は、彼らにとっては形而上学的に感じられて、とうてい受け入れられるものではなかったようだ。
 
 安部公房もどちらかというと、それらのグループと一括りにされていた感がある。
 
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 河出書房発行の『友達/榎本武揚』(1967年)。
 
 安部公房が注目されたのは、1951年、『壁 - S・カルマ氏の犯罪』で芥川賞を受賞してからである。
 その後、1958年 、戯曲『幽霊はここにいる』で岸田演劇賞受賞、1963年、『砂の女』で読売文学賞をはじめ、主要な文学賞を次々に受賞し、世界的にも注目を浴びるようになる。
 戯曲『友達』も、1967年に谷崎潤一郎賞を受賞している。
 
 安部公房はとくに晩年、演劇に力を入れていた。
 1973年には演劇集団「安部公房スタジオ」を立ち上げ、本格的に演劇活動をはじめた。
 発足時のメンバーがすごい。新克利、井川比佐志、伊東辰夫、伊藤裕平、大西加代子、粂文子、佐藤正文、田中邦衛、仲代達矢、丸山善司、宮沢譲治、山口果林の十二名である。
 安部公房スタジオは堤清二(辻井喬)のバックアップにより、主に渋谷西武劇場で発表の機会が得られ、海外公演も積極的に行っていた。1979年のアメリカ公演では斬新な演劇手法が反響を呼び、以後各国の演劇界に影響を与えたが、日本では思うような評価が得られず、1980年代に活動を休止してしまった。
 ぼく自身は、3、4作を見た限りだが、たしかにいい役者が揃っているわりには、青年座の『友達』以上の感動は得られなかった。
 
 1992年12月25日、安部公房は執筆中の深夜、脳内出血で倒れ、療養を続けたものの、年が明けた1月20日に症状が悪化、1月22日早朝に68歳で死去した。直接の死因は急性心不全だった。
 作家としてはまだまだ書きたいことがあったであろう(事実、『飛ぶ男』などの未完の遺作が、ワープロのフロッピーディスクから発見されている)。
 
Kohboh_genkoh
 安部公房の手書き原稿。お世辞にも達筆とは言いがたい。
 
 余談だが、安部公房はかなりの悪筆である。読みにくいというわけではないが、いわゆる「金釘流」の手本のような文字だった。
 自分の文字にコンプレックスがあったのだろう、まだ出始めたばかりのワープロをいち早く使い始め、早々と原稿用紙に別れを告げた作家の一人である。
 
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『ひまわりの種は誰が食べた?』
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掘り出し物

2010年05月08日 | 日記・エッセイ・コラム
 古書店の店頭ワゴンからは、思いもよらぬ埋蔵品が発掘されることがある。
 それは客寄せのために分かっていて値下げしたものもあれば、店員が気付かずにほおり込んでしまったものもある。
 そういうものは見つけたときに買っておかないと、一生後悔することになる。
 それはけっして大げさではなく、事実だ。
 今度にしようと思っても、二度と出会わなかったり、見つけてもとんでもない高値がつけられていることがあるからだ。
 以下は、最近入手した「掘り出し物」である。
 
Kinshihen
 
 フレイザーの『金枝篇』全5冊(岩波文庫)はささま書店の105円コーナーで見つけた。紐で縛られて525円で売っていた。程度はけっして美本とは言えないが、現在版元品切れ(岩波は絶版にはしない)で、今のところ再版の見込みはない。
 『金枝篇』は、大江健三郎の新作『水死』で、主人公の父親が残したトランクの中から、これの原書が出てきた話がある。
 原始信仰と宗教に関する総合的な研究書で、原本は十数巻に及ぶ膨大なものである。
 岩波文庫に訳出された定本は、著者のフレイザー自身による簡略版であるが、研究部分はほとんど残され、ただ例証を削除したものなので、資料としては十分である。
 長く品切れ状態が続いているので、新訳が予定されているのかもしれないが、現段階では最良であり、5冊で525円なら買っておいて損はない、どころか、大変な掘り出し物だ。
 
Todo_shinden
 
 安藤昌益『統道真伝』上下巻(岩波書店)も品切れになって久しい。江戸時代中期の思想家安藤昌益は徳川封建制度を批判したことで、レーニンをもうならせたと言われる。主著である『自然真営道』は関東大震災で大半が失われ、完全なかたちで現存するのは本書のみである。
 この本も、ささま書店の105円コーナーで、2冊210円で購入した。他店でもう少し程度の良い本を見かけることがあるが、えらく高い。
 安藤昌益については、岩波新書からE.H.ノーマンによる『忘れられた思想家??安藤昌益のこと』(上下巻)が良い。
 
Chohsho
 
 ル・クレジオの『調書』(新潮社)は神保町の古書店のワゴンから100円で救出した。ル・クレジオが2008年にノーベル文学賞を受賞したとき、彼の処女作である『調書』をずいぶん若い頃に読んだ覚えがあることを思い出した。さほど分厚い本ではないので再読しようと書棚を漁ったが見当たらず。たぶん処分してしまったのだろう。
 しばらくして新潮社が新装版を復刻したが、2,100円出そうとは思わなかった。
 
 
 こうした古書店の掘り出し物は、ストライクゾーンを決めてかかると見つけられないことが多い。たいていなんの目的もなくザッと見渡したときに目にとまるものである。
 
 古書店が特価本としてワゴンに入れるのにはいくつかの理由がある。
 一番は、スーパーで言う「目玉商品」で、客の足を止める目的で特価品を店頭に並べる。
 次は、在庫整理である。新刊と違って古書は返品できない。買い取ってしまったら売るしかないのである。廃品回収してもらうには費用がかかるので各所にある市場に流す方法もあるが、他の古書店が買い取ってくれるとは限らない。
 定価で買いたくはないが、100円なら買っておこうという客を狙って、少しでも換金しようという目的で置く。
 書店によっては、1冊100円のところもあれば、3冊まで300円とか、いくつかワゴンを用意して、100円、300円、500円などと均一価格を分けている店もある。
 そして、特価本目当てで毎日通わせようという意図で格安コーナーを品揃えする店もある。ささま書店がいい例だが、書店側が意図しているかどうかはべつにして、つい通いたくなってしまう。この値段では普通売らないだろうと思われる本が、さりげなく105円コーナーに紛れ込んでいる。
 
 
 困ったことに、いくら100円といっても、あれもこれもと買い込んでしまっては無駄遣いになるし、場所ふさぎにもなってしまう。本当の掘り出し物というのは、そう頻繁にあるものではないのだが、「掘り出し物に見えてしまう」ことがあるのだ。
 いくら本好きといえどもプロではないので、見誤ることは多々ある。嬉々として持ち帰った本が、amazonの中古で1円でズラリと並んでいたりする。
 長く品切れで高値がつき、買い控えていた本を特価で見つけて喜んでいたら、何のことはない復刊されていたりもする。
 したがって、掘り出し物を漁るには、ある程度本の知識が必要なことは言うまでもない。
 
 ところで、毎年神保町で開催される「掘り出し市」は、店頭ワゴンのように本来高価な品物が格安で手に入るという可能性はあまりない。集まってくる客も海千山千で、もしそんな本があれば、並べてすぐに売れてしまう。それよりも、書店の奥に埋もれていて、気付かなかった珍品が手に入るということがあるので、「へえ、こんな本出ていたのか」という楽しみはある。
 
 それにしても、古書店の前を素通りできないクセは治りそうもないし、また、治そうとも思わない。
 
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「どうしたいのか」ということについて

2010年05月05日 | 日記・エッセイ・コラム
 4日 鳩山首相が沖縄を訪問し、5月末の決着を迫られている普天間基地問題の打開をめぐって県知事や名護市長らと会談した。
 しかし、具体案は何も示さず、ただ、日米同盟が(外部からの攻撃に対する)抑止力として重要だから協力して欲しいとだけ言う。
 そんなお願いの仕方がどこにあるのか。
 報道されている辺野古沖の桟橋案と、徳之島訓練基地のことは、「地域を指定した話は一切していない。メディアが推測して流している」などとごまかす。ならば何故沖縄を訪問し、これから徳之島にも出向こうとするのか。口のまわりにあんこをつけて「まんじゅうは食べてない」という、まるで小学生レベルの言い訳である。
 
 鳩山首相にとって何がトッププライオリティなのか、わかる人は日本中誰もいないのではないか。
 1. 沖縄から米軍基地を撤廃すること。
 2. 沖縄住民の負担を軽減すること。
 3. そのために、移設するなら県外とすること。
 4. または、日本国外とすること。
 5. アメリカにも日本国民にも沖縄住民にも嫌われないこと。
 6. やっぱり、アメリカには嫌われたくないこと。
 7. 今度の選挙で負けたくないこと。
 8. 自分は無能だと宣言して総理を辞めたいこと。
 
 少なくとも1~4であるとは思えない。本心は5~8の中にあるだろう。
 つまり、今回の沖縄訪問は、「自分はがんばってるよ」というポーズでしかない。なぜなら、なんの具体策もなくて土産もなしで訪問して、話し合いが進展するわけがないことなど誰でもわかる。
 つまり、首相本人は、この訪問が決着の糸口になるなど思っていなかった。このあと強引にアメリカと交渉して、まとまったら、沖縄がなんといおうと「ほら決着したぞ」とニコニコ手を振るつもりなのか。だとしたら、もう一つ9番目が必要だ。
 
 9. なんとしても総理の座にしがみつく。
 
 「どうしたいのか」が明確でなければ物事の解決が出来ないことは常識中の常識である。
 民主党が公約したことは、「沖縄の負担を軽減する」「沖縄に新しい基地は造らせない」「出来れば国外、最低でも県外」であった。
 だとすれば、「それを実現するためにはどうすれば良いのか、どんな方法があるか」を考えるべきで、都合良く結論を変えるなど、本末転倒も甚だしい。
 ここに来て、着地点が変わったということは、最初からか後からかわからないが、公約はトッププライオリティでなかった、ということだ。
 鳩山首相から見えてくるトッププライオリティは、「どこにもいい顔をする」ことであり、「自分は悪者になりたくない」ということにほかならない。自らを捨てる気があれば、公約を守り抜く方法はいくらでもある。しかしそれにはリスクがあり、そのリスクを鳩山首相は冒したくないと思っている。だから着地点がふらふらする。そのうち底なし沼に落ちて抜け出せなくなるだろう。
 まあ本人は、自覚はしていないだろうが。
 
 「必ずしも海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。学ぶにつけ、沖縄の米軍全体が連携して抑止力が維持できているという思いに至った」
 
 いったい何を学んだのか。「沖縄から米軍が退いたら、日本は北朝鮮の脅威から丸腰状態になるぞ」とでも脅されたのだろうか。学び方が中途半端である。せっかく沖縄に行ったのなら、直接の交渉相手だけでなく、大田昌秀さんら、県政の長老からも学んできたらどうだったのか。
 しかしこの首相、明らかに「叱られる」とわかっているところには出向かないだろう。仲井真知事や稲嶺市長なら露骨に攻撃はして来ないと思ったか。
 
 一国の総理なのだから、もう少しシャンとしろ! と言いたい。
 
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新選組血風録

2010年05月04日 | テレビ番組
Keppuroku
 
 3日から、「時代劇専門チャンネル」で『新選組血風録』が放送されている。
 第一回『虎徹という名の剣』を昨日見た。
 
 懐かしかった。
 
 このドラマは、TV白黒時代の傑作で、テレビ朝日の前身NET(日本教育テレビジョン)の制作で、脚本も映像も素晴しい作品である。
 このドラマが放送されていたのは1965年~1966年で、40年以上も前のことだが、毎回欠かさず家族で見ていたのを記憶している。とくに父親が大ファンだった。
 
 原作は司馬遼太郎の同名の短編集であるが、ドラマ化するにあたってかなり改編が行われ、また原作にはないエピソードを挿入するなど、大胆な脚色が行われている。
 司馬はテレビドラマ以前に製作された東映映画を気に入らなかったために、ドラマ化するのあたって難色を示したという。
 その説得のために、プロデューサーが主役の栗塚旭(くりづか・あさひ)に土方歳三の扮装をさせて司馬を訪ねたと言うエピソードが残っている。それが、司馬の描く土方像とぴったりだったために、ドラマ化に応じたという。
 
Hijikata_toshizo
 
 第一話で近藤勇に偽の長曽祢虎徹(刀剣の銘=ながそね・こてつ)を売りつけにくる貧乏浪人の娘を、居合わせた土方歳三(栗塚旭)が一目で見抜き、睨みつける目力がすごい。
 貧弱なイケメン俳優が幅をきかす現代では、このタイプの迫力ある役者はいない。
 わが家では、土方が一番人気だった。
 
Okita_soshi
 
 沖田総司の島田順司(しまだ・じゅんし)は当時では二枚目だった。剣の達人でありながら病弱で労咳を患い、自分の命が短いことを知りながら必死に活躍する姿は痛々しくもあった。そうした難しい役を見事に演じていて、土方役の栗塚と人気を二分していた。
 島田はごく最近、『はぐれ刑事純情派』で風采の上がらない課長役でいい味を出していたのを見かけた。知らなければ同一人物とは思えないだろう。40年の月日は恐ろしい。
 
Saito_hajime
 
 主役は以上の二人に近藤勇(船橋元 ふなばし・げん)だが、準主役である斉藤一(左右田一平 そうだ・いっぺい)は忘れられない。演技者としては最高峰だと思う。けっして出過ぎることなく、それでいて存在感があり、斉藤一という役柄を実に的確に表現していた。そこここで、さすがと思わせる演技があり、登場シーンは特に注目していたものだ。
 
 
 モノクロ時代の傑作と書いたが、今見ても技術的に大変優れている。第一回の池田やのシーンでは、セットではなく実際の古い家屋を使用したと言う。通常の撮影では殺陣に支障のないよう、ある程度広さのあるセットを組むのだが、このシーンでは実際の建物なので狭い。それが実にリアルなのだ。
 また、鬘と地肌の境目が目立たない。時代劇ではほとんど鬘との境目を隠すことが出来ない場合が多いが、これは見事だ。床山さんの技術が優れているのだろう。
 使われている刀も、本物に近い。クローズアップした時に、波形や樋が本物らしいのは、レプリカだろうけれど、小道具を超えている。
 まだ黎明期のテレビ局が、持てる力をすべて出し切って製作されたことがうかがわれる。
 

 
 さて、原作の司馬遼太郎は今、『坂の上の雲』問題で渦中にある。この頃は司馬が反動であるなどという批判はされていなかったし、反革命的な新選組(「新撰組」が正しい)を肯定的に描いていることについても批判はなかった、と記憶している。
 いま思えば、たしかに新撰組を肯定的に描くなど、普通は思いつかない。当時からどちらかというと、反転した思考回路を持っていたか、あるいは歴史を描きながらも、現代への影響をあまり考えないタイプだったのかもしれない。
 悪く言えば、面白ければいい、という考えなのではなかろうか。
 
 しかし、なんといわれようと『新選組血風録』は面白い。
 
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憲法記念日「9条改定67%が反対!」

2010年05月03日 | 日記・エッセイ・コラム
 ●憲法9条を護る流れ
 憲法記念日の今日、『朝日新聞』朝刊に憲法9条の改定に67%が反対だという記事が掲載されていた。2007年の時点では49%で過半数にも満たなかったのだから、国民のあいだで変化が起きていることがいえる。
 憲法の改定に最も積極的だったのは安倍政権で、今月18日に施行される「国民投票法案」もそのときに出来た。
 当時の世相は「憲法を改定すれば暮しが良くなる」と考えていた人が多かったが、自民党が自滅し、政権が交代してからは、国民の間に憲法を変えることが暮しと直結しないという考えが広まって来たようだ。
 それが、改憲論が下火になった理由だろう。
 
 しかし、鳩山由紀夫首相をはじめ、「みんなの党」や「たちあがれ日本」のメンバーは改憲勢力である。呉越同舟の民主党で今、改憲論が表面化しないのは、憲法改訂に全面的に反対している社民党が政権内にいることと、鳩山首相の評価がここに来て急落していることによる。
 
 ●憲法前文は「国際平和主義」「民主主義」「主権在民主義」
 さて、憲法改訂といえば、9条ばかりがクローズアップされがちだが、その他の条文や、「前文」も改憲の対象になっていることを知っておこう。
 憲法の前文には、日本国憲法の柱である三つのことが明記されている。
 「国際平和主義」「民主主義」「主権在民主義」である。
 「前文」を変えるということは、この三つの柱がゆらぐことになる。
 「国際平和主義」は、9条の「戦争の放棄」に代表される。これを変えるということは、日本が正規の軍隊を持ち、戦争のできる国になる、ということだ。
 「主権在民主義」とは、「前文」で「主権が国民に存ずることを宣言」しているように、国の主人公は国民である、ということだ。「戦前の『大日本帝国憲法』では、国の主人は元首である天皇であって、「天皇は神聖にして犯すべからず」と記されていた。鳩山総理をはじめ、天皇をもとの元首に戻そうとする考えの国会議員も少なくない。
 過去の悲惨な戦争は、天皇が元首とされていたために、「上官(上司)の命令は天皇の命令である」ということになって、一切拒否することが出来ず、徴兵も召集令状も拒否出来ないような状態から起きたのだ。
 つまり、現在の憲法の中心である「民主主義」は「国際平和主義」と「主権在民主義」によって現実化されているといっていい。
 
 ●25条「健康で文化的な生活の保障」
 そして、現在の社会情況のなかで最も注目されるべき条文が、「第25条」である。
 憲法25条とは次のような条文だ。
 
 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 
 この条文は、現在ほとんどないがしろにされているといっていい。社会保険庁の年金問題や、派遣切りなどは明らかな憲法違反ということになるのだが、それに声を上げる人は少ない。
 大企業や公官庁の利益が、国民の生活に優先されている現在の日本で、憲法25条は空文に等しい。さらに、声が上がらないのは、この条文を社会主義的だと考える人が少なくないためである。つまり、資源の再配分や国民皆保険制度の充実は、社会主義であって自由主義(資本主義)ではないというのだ。
 日本の国民は、本当のところを良く知らないまま、社会主義や共産主義の経済制度(あるいはその名称)にアレルギーを起す人が多い。資本主義大国アメリカから発信された大不況に喘ぐ今、それらの欠点を見直し、利点を取り入れる研究がもっと真剣になされるべきだと思うのだが。
 社会主義や共産主義の利点を最大限に活用し、「国民幸福度世界一」になった国がデンマークだ。
 
 ●何のために変えたいのか
 「日本国憲法」は日本だけでなく、世界的な模範となる優れた憲法であって、事実「日本国憲法」を手本にして憲法を造った後進国はいくつもある。
 とくに、憲法9条は爆笑問題太田の言ではないが、ノーベル平和賞ものだと思う。
 ところが、自民党ばかりか現政権のなかにも「憲法9条が邪魔だ」という為政者がたくさんいる。日本とは、まったく不思議な国である。
 ある中学校で先生が憲法についての授業をしたところ、PTAから「偏向教育だ」とクレームが入って、教諭は校長から注意を受けたという話を聞いたことがある。真偽はともかく、さもありなんと思う。実際、近現代史と並んで憲法の授業はしにくいという。
 義務教育で自国の憲法の授業がしにくくなるとは、いったいどういう国なのか。
 
 何のために憲法を変えたいのかを一言でいってしまえば、国益である。だが、国益とは何なのかと考えると、本音と立前で微妙なずれが生じる。
 9条を例にしよう。
 9条があると、「国際貢献が制限される」「他国の脅威からの防衛が不十分だ」などというのが表向きである。
 だが、「国際貢献」とは何か分かりやすくいえば、「戦争の手伝い」である。イラクやアフガニスタンに自衛隊が行って、米軍と一緒にドンパチやることが、現在の憲法下では出来ない。それが出来るようにしないと、国際社会で生き残れない、などと安倍政権時代はマスコミもこぞって宣伝していた。
 ところがそれは立前、あるいはスケープゴートで、経団連などの本心は、現在の憲法で禁止されている武器の輸出入を出来るようにしたい考えだ。自衛隊の若者が何人死のうが関係ない、武器をたくさん造って輸出して大儲けしたいのだ。
 現在でも、自衛隊は高額の兵器を大量にアメリカから購入して、仲介する商社は莫大な利益を上げているのだが、それでは足りないようだ。
 しかしアメリカは、そのやり方で自国の兵器産業を太らせた分、国民に大変な負担をかけて格差と貧困を招き、経済を破綻させた。
 
 「他国の脅威」とは当面北朝鮮ということになっている。ソ連が崩壊して冷戦状態が解消してから、アメリカは当面の敵を失った。アメリカという国は、戦争をやり続けることで国家が維持されているので、常に何処かと戦争を続けていなければならない。
 イラク戦争などは明らかにしなくてもいい戦争なのに、在庫処理のごとく雨霰とミサイルや爆弾を消費して、その費用の一部を日本に請求してきた。その金は、アメリカの軍需産業に支払われる。
 北朝鮮も例外ではない。外交で解決するべきことを軍事力で脅そうとする。そのために、北朝鮮がいかに危険な国かという宣伝を、日本国民にしておく必要がある。そのために、政府は大手マスコミを利用する。
 
 北朝鮮が驚異に値しないことは、アメリカは重々承知している。その証拠が、クソの役にも立たない沖縄駐留の米軍の貧弱さだ。アメリカは北朝鮮を脅威とも何とも思っていないのだ。すべてはプロパガンダなのである。
 
 つまり、「国益」とは、大企業の経営者と、一部の政治家の利益のためだと言っておく。一般国民にはなんの利益もないどころか、増税で経済的に貧困を強いられ、戦争で身の危険にさらされると思っていい。
 
 結論を言えば、現在の日本国憲法は、大変優れた理想的な憲法である。それを変えるということは、「誰かにとって都合のいい」ように変えるということになる。したがって、本当に国民のことを考えていない政治家や大企業の経営者が蔓延している今の時代に、けっして憲法を変えてはいけないのである。
 一度変えてしまった憲法は、後になって「ああ、あれは失敗だった。元に戻そう」と思っても、簡単にできることではない。
 憲法記念日の今日、あらためて「日本国憲法」の素晴しさを感じてみよう。
 
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頭を輪切り!?

2010年05月02日 | 健康・病気
 頭を輪切りにしてもらった。
 といっても、本当に切ったわけではない。生まれてはじめて、CTスキャンで映像を撮ったのだ。
 
 こんな機械だ。
 
Ct2
 
 仰向けになってただじっとしていれば、寝台部分が前後に動いて、頭を後方の輪の中を通過させる。
 
 「眼鏡をはずすだけでいいですよ」
 「はい」
 「台の上に寝てください」
 「はい」
 「頭は出来るだけ動かさないでください」
 「はい」
 「台が勝手に動きますから。頭だけなのですぐ終わります。あ、返事はしなくていいです」
 「……」
 「頷かなくてもいいです。眼はつぶってていいですよ」
 
 本当に数分で終わった。
 
 じつは、ここ一ヵ月ほど、頭が圧迫されるような感じが続いていて、偏頭痛というほどではないが、後頭部にかすかな痛みを感じていた。目まいもするし肩こりもひどい。
 巨人軍の木村拓也コーチの例もあるし、年齢的にも脳梗塞を疑っておかしくない。
 先月医者に相談したところ、眼精疲労だろうといわれていたが、いっこうに改善しないので、思い過ごしならそれはそれでいいと、精密検査をしてもらうことにした。
 
 土曜日、いつも自分の医院で診察している行きつけのN先生が、近所の総合病院に出張しているので、予約を取って出かけていったのだ。
 
 「データ、送っときます」
 と、レントゲン技師にいわれて、N先生の診察室に移動して待つことしばし。
 呼ばれて診察室に入ると、大型画面に「輪切り」が映し出されていた。
 不気味だ。
 
 Ct1

 この写真は自分のではないが、ほぼこんな具合である。見たい画像をクリックすると、拡大されて映し出される。
 「脳梗塞の所見はないわねえ。念のためにこのデータを専門の先生に見てもらうけど、たぶんだいじょぶだと思う」
 
 画像を見ていた先生が、突然「アレッ?」。
 「な、なんですか」
 すると、脳と頭蓋骨の間を指差して「ここ、50歳ぐらいにならないとこういう隙間は出来ないのよ」。
 
 N先生は、ぼくのことを何歳だと思っているのだろうか。いつだったか「今治療しておかないと、これから30年、40年後に面倒なことになるわよ」なんていってたこともある。
 「30年、40年後って、オレいくつヨ」といったら、センセイ、カルテを見て慌ててた。
 50歳ぐらいだったら、脳が若いってことじゃん、といおうと思ったけど、また恥をかかせると悪いのでやめた。
 
 たしかに、若い脳と比較すると、脳が萎縮しているのがわかる。それがいわゆる老化現象、物忘れの原因であることが眼で見てわかるから恐ろしい。
 
 物忘れなら若い人でもあるだろうが、おかしな物の忘れ方をすることがある。
 先日、中学時代の友人の名前を思い出せなくて、名簿を調べようと書庫に入った。そこで、以前探して見つからなかった本を見つけ、ページを繰り、必要個所を確認して付箋を貼り、それを小脇に抱えた。その間十数分。
 
 で、何をしに書庫に入って来たのか忘れた。何を忘れたのか忘れたのだ。
 
 一旦書庫を出て、古い写真が机の上においてあるのを見て、「あ、こいつの名前を調べようとしていたんじゃないか」と思い出し、書庫に戻ろうとしたとたん、そいつの名前を思い出した。
 
 思い出すのだから、認知症ではないだろう。
 
 しかし、仕事上で困ることもある。原稿を書いていて、次はこのことについて書こうと思っていても、それを何処かにメモしておかないと忘れる。
 食事中、突然閃いたアイデアを食事が終わったとたん忘れるので、そこにもメモが必要だ。
 『博士の愛した数式』の、先生のスーツにたくさん貼付けられたメモ用紙を笑えない。
 
 そういえば、カミさんの物忘れもすごい。
 ぼくは若い頃から元々忘れっぽくて、出掛けにポストに入れようと思っていた郵便物を、何日も持ったままだったりするし、いくつも買い物があると、たいてい一つ二つ忘れていたが、カミさんの若い頃は絶対に忘れなかった。
 ぼくが忘れるからと言うと、「忘れないから預かっとく」といって投函する郵便物を間違いなくポストに放り込んでくれていた。
 今はそれどころではない。
 
 買い物に行くからと、ついでに頼んだ物を、三回に一回は忘れる。おでん材料を買って芥子を忘れる。刺身を買ってわさびを忘れる。だから、出かけてから頃合いを見計らって電話することにしている。
 
 ドラマを見ていて居眠りをするのはいいが、自分が居眠りをしていたという自覚がない。だから、筋がわからなくなる。
 「この人、さっき殺されてたよね」
 「これは、懐古シーン」
 ………
 「この人誰だろう」
 「○○署の刑事だよ。さっき現場に来て挨拶したでしょう」
 「そうだっけ……」
 ………
 「あ、この人が犯人だったんだ」
 「サスペンスだから、最初から犯人はわかってるよ」
 「ふーん。なんか、よくわかんない」
 そりゃそうだ。
 
 カミさんも、一度頭を輪切りにしてもらった方がいいかもしれない。
 
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