ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

川上弘美『七夜物語』

2012年05月31日 | 本と雑誌
Nanayomonogatari
 
 このところタイトな仕事が続いて、ブログの更新がすっかりご無沙汰になってしまった。そのくせ、こんな大長編を読んでいた。

 『七夜物語』は2009年9月から2011年5月まで『朝日新聞』に連載された新聞小説である。川上弘美の作品は好きなので、連載当初から読み始めていたのだが、何か理由があって飛ばしてしまい、「ま、いずれ単行本化されるだろうから、それで一気に読もう」と思って途中から読むのをやめてしまった。
 ところが、待てど暮らせど単行本にならない。朝日新聞出版は、加藤周一の『夕陽妄語 終章』もそうだが、出す出すと言いながらいつまでたっても出版されたいことが多々ある。まるで「菜っ葉の肥やし」(かけ声=掛肥ばかり)である。
 それがまる1年経ってようやく発行された。それも荻窪に新しくできた書店の店頭に、いささかフライング気味で陳列されていたのを発見したのだ。
 巻末に「大幅に加筆修正」とあり、やっぱり待ってよかったと思った。
 
 さてこの作品、川上弘美としてはおどろくべき大作である。上下巻あわせて950ページ超あるが、読みやすい文体でざっくりと組まれているので、ページ数のわりにはサクサク進む。ただ、分厚くなるのを敬遠してか、用紙が薄いのでページを繰りにくいのが難点だ。
 キャッチコピーに「著者初の本格長編ファンタジー」とある。しかし彼女は、もともと内田百閒の影響を受けたシュールな作品が多いので、おどろくほどのことではない。
 
 この作品、児童文学を意識しながら大人の読者の鑑賞に堪えられる内容が含まれている、……ように思える。
 時代設定は現代ではない。恐らく作者が小学生であった頃、1970年代(昭和40年代後半)であろう。主人公の鳴海さよと仄田鷹彦(ほのだ たかひこ)は小学4年生で、学校の給食には先割れスプーンが使われ、カレーシチューとコッペパンが人気だった。文房具には懐かしいボンナイフも登場する。
 
 さよは図書館で、『七夜物語』という古びた本を見つける。ところがその本はとても面白いのに読み終って図書館を出ると内容をまったく思い出せなくなる。何度繰り返しても同じだった。
 その本の愛読者はもう一人いた。それが仄田くんである。
 仄田君は科学オタクで無口、これまで二人は教室で話すことはほとんどなかったが、やがて共通の夢を見ことが多くなり、その不思議について語り合うようになる。
 そんなある日、同時刻に二人は『七夜物語』の「夜の世界」に引き込まれ、さまざまな冒険を体験する。その世界では、生命のないはずの家具や文房具などものが命をもち、自己主張をする。自分たちが人間にどれだけ虐げられていたかを、ものたちは二人に訴えた。
 ものたちはウバという不思議な存在によって、次々に夜の世界に引き込まれ、生命をもつようになっていたのだ。夜の世界に入り込んでしまった二人は、そこでグリクレルという巨大なネズミに会い、昼間の世界の常識とは異なるさまざまなことを教わる。
 夜の世界では、恋人時代の若い両親に出会ったり、今まで味わったことのないおいしい食べ物に舌鼓を打ったりもする。
 やがて二人は、夜の世界とは昼の世界の別の顔であり、昼の世界の乱れが夜の世界を作っていることに気づく。
 二人は、昼の世界によって壊れかけた夜の世界を元に戻すべく、グリクレルたちの指示に従って旅を続けるのだが……。
 
 内容は間違いなくファンタジーで、映像化したら面白いと思うのだが、非常に映像化が難しそうな作品である。しかも、わかりやすそうで難解。川上弘美はこの作品を通じて何が言いたかったのか、これは読者によってどうとでもとれる。
 ものを大切にしようという道徳的なことや、環境問題など、いろいろ考えられるが、どうもはっきりしない。最後まで読み終わって、何かの隠喩があるはずだと思いつつ少し戻ってみるが、やっぱり明確なことはわからない。
 川上弘美という人は、理解を読者にゆだねるクセがあるようで、他の作品も「はっきりしない」傾向がある。ま、そこが面白いのだが。
 それでも、わくわくドキドキの冒険物語は、読み始めると途中でやめることができなくなるのだ。難しいことは考えず、ファンタジーの世界にしっぽりと浸かりながら、子供心に戻って彼等と空想の世界を旅するのも悪くない。
 もう1つ不満を加えておけば、終章で大人になった彼等について少しだけ触れているが、彼等がなぜそのような大人に成長し、夜の世界がどう影響したのかもう少し詳しく言及してほしかった。

【リンク】
川上弘美『機嫌のいい犬』
川上弘美『真鶴』
へんな本 内田百閒・稲垣足穂
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


【訃報】新藤兼人さん

2012年05月30日 | ニュース
Kaneto_shindoh
 
 29日午前9時24分、映画監督の新藤兼人さんが、老衰のため亡くなった。100歳だった。
 99歳の昨年、本人最後の作品と称していた『一枚のはがき』が公開され、最後まで現役を貫いた人だった。
 最後の言葉は「ありがとう」だったそうである。
 
 代表作はなんと言っても、一切の台詞を排した『裸の島』、そして、夫人の乙羽 信子さんが病を押して出演した『午後の遺言状』。
 しかし、ぼくにとって印象的なのは、1950年代~60年代に公開された、『原爆の子』『第五福竜丸』『どぶ』や、『人間』『鬼婆』『本能』などである。いずれもモノクロ作品だ。
 ATG映画全盛期の中心的な監督の一人でもある。
 脚本家としても評価が高く、川島雄三監督『しとやかな獣』、鈴木清順監督『けんかえれじい』、神山征二郎監督『ハチ公物語』などがある。

 もう少し作品を見たかった気もするが、しかし、見事な大往生、お疲れさまと言いたい。ご冥福を祈る。
 
 新藤監督の作品は、ほとんどコレクションしているのだが、大半がVHSで、現在我が家のVHSデッキは死にかけている。恐らく生き返ることはあるまい。市場から完全消滅しないうちに、1台購入しておきたい。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


金環日食

2012年05月21日 | 科学
みんなが同じ方向を見ていた。
 
Nisshoku1
 7時34分。
 
Nisshoku2
 7時36分。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503



プレ天体ショウ、サークルレインボー

2012年05月20日 | 日記・エッセイ・コラム
Circle_rainbow_plane
 
 明日の金環食は天候がいまいちで見られるかどうかわからないが、今日、サークルレインボーが現れた。
 昨年5月31日に現れたときにはちょっとしたさわぎになったけれど、2度目となるとあまり騒ぎにはならないようだ。金環食の前座かともみえるが、めったにないサークルレインボーが今年も現れたということには、何か自然現象的な意味があるのだろうか。昨年は大震災から81日後だった。
 
 昨年の記事はこちら→http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20110531
 
 サークルレインボウの中をちょうど飛行機が通過した。(写真クリックで拡大)
 飛行機の中からはどう見えているのだろう。
 
 明日の金環食は東京がもっともきれいに見えるはず。(天候次第だが)
 金環食は午前7時31分57秒からは始まって、34分29秒がピーク、37分1秒に終る。わずか5分ほどである。その間曇っていたらアウト。
 ほぼま東の地平線から高さ35度ほどのところに見える。したがって、その方向にビルや高い木立があると見えない。
 我が家の二階ベランダからは、電線や住宅がかなり障害になっているが、近くの十字路まで出ていけばたぶん見ることができる。
 
 一応観測眼鏡を用意し、カメラには変更フィルターを装着して準備万端なのだが、あとはその時間、太陽が雲間からのぞくのを祈るのみ。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


3年ぶりの辺野古

2012年05月16日 | 日記・エッセイ・コラム
Henoko1
 3年ぶりに辺野古を訪れた。
 海岸のキャンプシュワブとの境界が、有刺鉄線からフェンスに変わっていた。リボンで魚などの形に彩られて、まさに平和のアートだ。しかし、この直後にリボンはすべて米軍によって撤去されてしまったという。
 「またすぐにつけるけどね」と安次富浩さん。
 
Henoko2
 この日は「復帰40周年」の平和行進に参加する人々が辺野古を訪れ、さらにマスコミの取材もあって安次富さんは大忙しで、あまり相手をしてもらえなかった。
 「ひさしぶりー!」
 「やあ」
 「ワシントンはどうでした?」
 「アメリカ人は日本人よりわかりやすくていいよ」
 「あいまいなところがなくてはっきりしてるからねえ」
 「日本の政治家はダメだね」
 「じゃまたあとで」
 と言いつつそれっきり。
 
Henoko3
 たくさんの人でざわざわしているのに、愛犬ポチはのんびりとひなたぼっこ。平和そうに昼寝をしてしまった。 
 
 Henoko4
 海岸では子どもたちが真っ黒になって遊んでいた。この子たちが大人になるときには基地のない沖縄であってほしい。
 
Henoko5
 小さな貝殻がたくさん落ちていると思ったら、突然動き出す。みんなヤドカリだった。こんな自然豊かなリーフを、米軍の水陸両用車が踏みつぶしていく。
 
Henoko6
 夕食は、牧志公設市場の2階で夜行貝の刺身とブダイの刺身で一杯やった。写真を撮り忘れ、殻だけになってしまったが、実にうまかった。アワビのような食感で、同行した7人全員を満足させた。
 夜光貝の殻は、沖縄では螺鈿細工に使われる。磨くと美しい光を放つのだ。真っ先につばを付けて持って帰った。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


「ガマフヤー」具志堅隆松さん

2012年05月15日 | 昭和史
Gushiken1

 12日から14日まで沖縄に出かけた。平和行進に便乗しての、取材と打ち合わせが目的。
 「ガマフヤー」の具志堅隆松さんと某出版社の仕事の関係で会う。話を聞きながら遺骨収集現場を案内してもらった。
 
 「ガマフヤー」とは沖縄の方言で「ガマを掘る人」転じて遺骨を収集する人のことを言う。具志堅隆松さんはあるとき、宅地造成でユンボに削り取られた斜面から、遺骨や遺品が見つかったことから、「このままにしておけない」と、国に遺骨の発掘を優先することを申しいれた。
 ところが、国が行う遺骨収集は、入札で土木業者に委託するというものだった。つまり、土木業者の金儲けの手段になっているのである。これを知った具志堅さんは怒り心頭に発し、業者に手を付けさせず、国の制度を利用して、ホームレスや失業者のために事業として、またボランティアの協力者をつのり発掘をはじめたという。
 
 沖縄本島は道路建設や宅地造成で急速に開発が進み、激戦地など、いまだに遺骨が回収されないままの山や丘が切り崩されている。具志堅さんは工事中に遺骨が発見されたら、遺骨の回収を優先するように工事業者に申し入れている。
 今回案内されたのは三か所で、冒頭の写真は激戦で名高い前田高地の一角。近くには基地交付金で建設された「立派」な前田トンネルが走る。
 宅地造成工事のさなかに、日本軍の構築による広大な壕が発見された。この壕の趾から大量の遺骨と遺品が発見され、現在工事は止められている。
 
Gushiken2
  ビンや飯盒、砲弾の破片、注射器など。
 
Gushiken3
 これは銃剣(ゴボウ剣)。
 
           ◇
 
 具志堅さんが「アジト」と呼ぶ小屋がある場所から、すぐに下りになる西原の斜面に案内された。
 「さ、行きましょう」と言いながら、具志堅さんは靴を履き替えている。
 「え、靴履き替えるんですか?」
 「ちょっときついところへ入るんでね」
 そう言われても、こっちは履き替える靴などもってきていないからスニーカーのままだ。
 斜面を下ると、そこはもうミニジャングルだった。
 「両手、空けといてね」
 おいおい、こっちは何の準備もしてないんだからお手柔らかに頼みますよ。
 カメラとバックを斜めに掛けなおして、薮の中を進む。折れて先の尖った竹、足に絡み付くツタや大きな倒木が行く手を阻む。
 「どっちに行こうかな」
 具志堅さん自身も試行錯誤しながら薮をかき分けながら進んでいく。こっちはついていくだけで大変だ。折れた枝に引っ掻かれるし、蚊にも刺される。
 「ハブが出そうですね」
 「いるでしょうね」
 「え?」
 「小屋からそんなに離れてないから(かまれても)大丈夫」
 できればかまれたくない。
 
Gushiken4
 
 具志堅さんは途中途中の木の枝に目印の赤いテープを貼って行く。迷子にならないためかと思ったが、そうではなく、通り道の痕跡を残すためだ。富士の裾野の青木ヶ原じゃあるまいし、方向まで見失うことはない。
 「地面に赤いテープがあったら、遺骨ですから踏まないでね」
 突然そう言われて足下を見ると、大腿骨とおぼしき大きな骨が転がっている。
 「頭蓋骨があります」
 指差す方を見ると、原形をとどめた頭蓋骨があった。
 
Gushiken5
 
 丘の上で戦死した遺体が雨風にさらされながら、年月の経過とともに白骨化し、ばらばらになって斜面を滑り落ちてきたのだろうと言う。
 
 発見した遺骨で引き取り手のないものは摩文仁の共同墓地に納められるが、見つけてすぐには移動しないそうだ。現在ではDNA鑑定できる可能性が高く、遺族を見つけられる可能性が高まっているといわれる。したがって、遺族が見つかれば現場に来て引き取ってもらうようにしているそうだ。しかし、そばに名前の入った遺品でも残っていない限り、特定することは不可能で、これまで遺族がわかった遺体は5体ほどだという。
 
      ◇
 
Gushiken6
 
 ここは、NHKでも紹介された真嘉比小学校の下の造成地。ゆいレール「おもろまち」駅のすぐ近くで、沖縄戦では米軍の首里への侵攻を食い止めようと激しい戦闘が繰り広げられ、日本軍は全滅、米軍も2000人ほどが戦死した激戦地だった。
 この地で道路建設が始まったとき、掘り下げられた土の中から膨大な量の遺骨と遺品が掘り出された。中断した道路工事は遺骨の収集が終ってから継続され、現在一部が開通している。
 
 かつて、高台の小学校近くに1本の立ち木があり、戦争中その木の陰に隠れていて戦死した日本兵がいたのだろうか、「兵隊さんを見た」という情報が多数寄せられたそうである。その木は気味悪がられて切られてしまったが、ほんとうに切ってしまってよかったのかどうか、遺骨を見つけて欲しいというメッセージではなかったのかと具志堅さんは言う。
 
Gushiken7
 
 現場で見つけた小銃の弾丸と薬莢。上の鉄片は砲弾の破片と見られる。
 持ち帰るとき、空港で止められた。想像はしていたのでダメなら廃棄しようと思っていたが、空港職員が親切で、資料にしたいと言ったら警察官の許可を得てくれた。中には本物の実弾を持ち帰ろうとする人がいるので、規制を厳しくしているそうだ。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


「アジア記者クラブ通信」238

2012年05月05日 | 本と雑誌
Kurabutsushin1
Kurabutsushin2
 
 スケジュールが重なって参加できなかった元NHKプロデューサーの永田浩三氏の後援記録「3・11までなぜ書けなかったのか メディアの責任とフクシマ原発事故」を読んだ。
 本号は5月5日号で、いみじくも日本にあるすべての原発が42年ぶりに停止する記念すべき日だ。
 
 NHKは原発事故が起きた直後から、大本営発表的な報道を繰り返し、すっかり国民の信頼を失ってしまったことは周知の通りで、この問題をNHK内部から見た目で解説する。
 
 事故直後の報道解説で、原子力村よりの科学者をゲスト出演させたのは、NHKの権威主義であって、肩書きを信頼して市民を信頼しないという背景がこうした事態を引き起こしたという。
 これは、権力に迎合するというような悪意があってのことではなく、基本的に市民セクターの人たちとの交流が浅く、人材が広く把握できていないせいだと語る。
 
 フクシマの事故があるまで、原子爆弾についての発言にタブーはなかったが、原子力の「平和利用」に異を唱えることは困難だった。昨年3月の原発事故より2カ月前に企画されていた大江健三郎さんと大石又七さんの対談では、原爆について語るのはいいが、原子力発電がいけないということを二人で堂々と言葉にすることには待ったがかかりそうな雰囲気だった。
 
 「NHKスペシャル」など非常に質の高い番組もNHカーは作っているが、NHKの報道にタブーはあるのかという会場からの質問に、明白な意味でのタブーはないという。しかし、情報ソースがまんべんなくあるのかというとそうではなく、偏りがある、ということが事実だそうだ。
 
 NHKといっても内部には力関係があって、「ETV」などの教養番組を作っているセクションは弱小集団で、主流にはなれない。反面主流にいる人は、ある一定のルールを犯してまで行動することは難しかっただろうという。
 つまり、国が指定した危険区域の内部まで入り込んで取材するということは、記者であっても困難なことで、禁を侵して取材することでの外部からの非難を恐れているらしい。
 
 永田氏はかつて問題になった慰安婦問題裁判のドキュメンタリーにかかわった人で、NHKはフジテレビとともに「慰安婦問題」という単語の前に「いわゆる」をつけて報道したことについて語った。
 「いわゆる」という言葉をつけることで「NHKはそんな問題があるかどうかを判断する立場にないが、世間には慰安婦問題があるといわれている」という、存在を認めないような表現になる。「いわゆる従軍慰安婦といわれる女性」とスーパーをかぶせた。これはフジテレビでもしなかったことで、彼女たちを貶める行為だと批判した。
 
 
 「アジア記者クラブ通信」は細かい字でびっしり書かれているので読むのになかなか骨が折れるが、後援記録を読んだ勢いでジェームス・ペトラス「『新買弁階級と軍、労働者階級との対立は激化する』現代中国への視座を転換せよ」も読んだ。
 結構な長文なので、要約しても相当量になるので、興味のある人は「アジア記者クラブ」(03-6423-2452)に問い合わせて入手していただきたい。1部300円、年会費5000円で定例会の割引がある。
 
 で、要約の要約になるが、要は次のような内容である。
 前半はジョン・ホブソンの「西洋文明の東方起源」(2004年 未邦訳)を参照しながら、革命前の中国の台頭と没落を描く。
 そして、共産革命を評価しながら毛沢東の生前と死後の違いに付いて述べ、それぞれの時代で築き上げたものと失われたものについて詳しく述べている。
 最後は現在と将来における中米関係について述べ、アメリカの軍事至上主義も中国の経済優先主義も、共に将来を約束するものではないとする。そして両国が、健全な未来を構築するためにどうすべきか、その青写真を描いて結んでいる。
 
 この論文は2006年3月6日付の、著者のホームページ上に掲載されていたもので、英語に堪能な方は以下で閲覧できる。
 http://petras.lahaine.org/?p=1890
 
 「アジア記者クラブ通信」
 年会費5000円 郵便振替口座 00180-4-709267  口座名 アジア記者クラブ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
■2011・6・7 中村哲医師講演会■
~ケシュマンド山系に記録的集中豪雨 緊急報告~

主 催/ペシャワール会現地報告会実行委員会
後 援/杉並区教育委員会

 2011年6月7日、アフガニスタンで活躍する中村哲医師の講演会を実施いたします。
 後援へのご参加と、ご賛同をお願いいたします。
 
 〔日時〕2012年 6月7日(木)18時20分 開場 18時40分 開演
〔会場〕セシオン杉並大ホール(地下鉄丸ノ内線東高円寺下車5分)
〔料金〕前売り 1,200円/当日 1,500円(高校生以下無料)
 
◆詳しくは以下にアクセス
 http://blog.goo.ne.jp/gallap6880/d/20120503


堤幸彦「SPEC 天」

2012年05月03日 | 映画
Specten
 
 家族がみんな観に行っていて取り残され、話が合わないので外出したついでに新宿ピカデリーで観てきた。
 平日だったのでガラガラだったが、そのあとの最終回は長蛇の列で、まだ人気は衰えていないようだ。
 「トリック」「20世紀少年」で一つの時代を築いた感のある堤幸彦監督の作品は、相変わらず思いつくギャグを片端から連発する独特の世界がある。ちょっとした台詞や登場人物などのネーミング、壁の張り紙や段ボール箱にまで何かしらギャグが隠されているので、一瞬も油断がならない。この映画でも、栗山千明が登場すると、戸田恵梨香演じる当麻紗綾が「キルビル!」と呼んだりするし、浅野ゆう子演じるマダム陽・陰という(たぶん)双子の超能力者が冷気や熱気を投げつけるときに、「中山律子!」「須田開代子!」と叫んだりする。どれだけの観客がこれらのギャグを理解したか、隣の席に座っていた中国人の留学生らしい女子二人にはまずわからなかったろう。堤監督にとってはたぶんわかる人にだけわかればいいのだ。要するにそういうのが多いのだが、それがまた家族で語り合うネタにもなるのだ。
 「岡田可愛、カワイイ!って言ったよね。あれ、『サインはV』だよね」
 カミさんだけが気づいていた。
 栗山千明演じる帰国子女という設定の青池里子は、横溝正史の「悪魔の手鞠唄」の登場人物の名だ。彼女は日本語がおかしくて、「五反田」を「ごそりだ」といい、「飛んで火にいる夏の〝牛〟」という。よく聞いていないと聞き逃す。いずれDVDであらためて観なおせば、ギャグはもっと出てくるだろう。
 連続テレビドラマからずっと観ていて、ストーリーはともかく、そういうギャグ探しがたのしい。
 
 「SPEC」とは超能力のことである。かつてよく言われていた「人間は能力の5パーセントしか使っていない」という説を肯定するところからヒントを得て、隠された残りの95パーセントを覚醒させた人間がいたとしたらどんなことになるか、というのがこのシリーズのテーマである。したがって、超能力者が続々と出てくる。時間の進行を極端に遅くする、他人の記憶を書き換える、未来を100パーセントの確率で予測する、死者を復活させるなどなど、まあ、フツーはありえない。
 しかし、火事場のばか力に象徴されるように、それが95パーセントもあるかどうかはともかく、人間には未使用の力があることはどうやら事実らしい。ただ、それは超能力ではない。

 科学で証明されないと、インチキだとか偽科学だと切り捨てるのが現代の風潮だけれど、実証されない、あるいは再現性のない出来事をすべてウソだ幻だと決めつけてしまうのは、科学の発展を妨げる。夢か幻かわからないことを「もし事実なら」と仮定して解明するのが科学だ。
 で、そんな理屈はともかく、もしなんらかのSPECを自分がもっていたら、と考えるとなんだかわくわくする。時代劇を観て剣豪になった気分と同じだ。
 ところでSPECとは普通、仕様書とか性能書きなどの意味で使われる。このドラマでの意味はよくわからないが、たぶん「人間の性能」みたいな意味なのだろう。
 
 堤幸彦監督は、荒唐無稽な作品で人気だが、「バカヤロー!」とか「明日の記憶」など社会性の高い作品でも優れている。しかし、なんと言っても代表作は「20世紀少年」三部作だ。
 
 「映画化なんかぜっていやんねえからな」「映画なんかぜってい出ねえ」「癸(き)、翔(しょう)、天(てん)と来たからって、ケツがあるなんて思うなよ」と、それぞれの最後で当麻に言わせるなど、商売もうまい。次の映画化、ないわけがない。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】

自費出版承ります

●自費出版、企画出版、書店流通。
*編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談は無料です。まずはメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。

★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。