1964年、日本中がオリンピックでわき上がりました。実はこれより24年前、第12回オリンピックが東京で開催されることになっていたのですが、日中戦争の影響による国際世論の反発を理由に開催を返上したいきさつがあります。
そんな理由もあって待ちに待ったオリンピック。しかも時代は高度経済成長の真っ盛り。まさにイケイケドンドンの雰囲気が日本中を席巻しました。
無名のランナー、エチオピアのアベベ・ビキラ選手が驚異的なタイムでマラソンに圧勝したり、日本のお家芸柔道がオランダのヘーシンク選手に金メダルをさらわれたり、話題も豊富な大会でした。
そして最終日の閉会式では、開会式の整然とした行進ではなく、世界中の選手が入り乱れての入場となり、国境をこえたスポーツの祭典を象徴する、感動にあふれたものでした。わが家でも、「次のメキシコにはお金をためてみんなで行こうね」なんて言っていて、本当にそんな気持ちにさせるオリンピックだったのです。実際には行きませんでしたが。
戦争の痛手から日本は復興した! そのことを世界に知らしめる東京オリンピックでもあったのです。
亀倉雄策の斬新なデザインのポスターが評判になりました。
しかし、このために失ったものも少なくありません。最も大きな例は、当時オリンピック道路と言われた首都高速道路の建設に伴う景観の破壊と深刻な環境問題です。このために都心の交通量は極端に増加し、排気ガスによる喘息や光化学スモッグなど、健康の悪化を訴える人が増えました。
そのころぼくは高校生で、今と同じ杉並に住んでいたのですが、お昼ごろ新宿に遊びに出かけて夕方家に帰ると、それだけでシャツの襟が真っ黒に汚れてしまったことを記憶しています。風呂に入らなかったからではありません。
高速道路のおかげで道路の向こうとこっちを遮断され、売り上げが落ちたという商店街が続出しました。
お江戸日本橋は高速道路でふたをされ、今になって莫大な予算をかけてとりはずそうとしています。
高速道路ができる前の日本橋。
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今の、空が見えない日本橋。
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銭湯の女風呂をガラガラにしたという『君の名は』の舞台になった数寄屋橋も、川が埋め立てられて高速道路の陸橋が「新数寄屋橋」。情緒もへったくれもありません。
菊田一夫の「数寄屋橋ここにありき」という碑が、当時の記憶をかろうじてとどめています。
環境よりも、健康よりも、経済成長が最優先の時代だったわけです。
で、またこんど東京でオリンピックをやろうなんて言い出しています。しかし、あのころほどの盛り上がりはありません。そりゃあ当然でしょう。だって何のためにやるのかわかりませんから。石原都知事の見栄でしょうかね。
「国威発揚」だなんて言ってますけど、これはまるでベルリンオリンピックの時のヒトラーと同じですね。オリンピックの目的を履き違えています。
10年後のオリンピックの準備には約7兆円かかるそうです。そのお金をためるために、今から教育や福祉の予算をけずるわけなのです。石原知事の考えは、体の不自由な人は東京にはいらない、お上の言うことを聞かない子どもなど育てる必要はない、とまあこういうことですから。
それに、都民の税金から集めた7兆円がどこに行くのかわかりますか。施設の建設費や宣伝費などで、大手ゼネコン、広告代理店、印刷会社、などにいきます。そこに集まったお金がそれぞれの会社の社員に還元されるのならまだいいですが(多少はあるでしょうけれど)、莫大な利益は海外の金融や不動産などの投資に使われたり、発展途上国に自分の会社の工場を建設したりするのに使われるわけです。
つまり、都民の税金が大企業を太らせるために使われるわけです。このルート、ものすごくわかりやすいでしょ。でも、マスコミはこんなこと一言も言わないから誰も気づかない。だって、マスコミだって大企業だから儲かるんだもの。
おまけに、さらなる環境破壊が待ってますよ。
これは福岡も同じ、落選してよかったよかった。
◆あなたの原稿を本にします。詳しくはこちらへ◆
そんな理由もあって待ちに待ったオリンピック。しかも時代は高度経済成長の真っ盛り。まさにイケイケドンドンの雰囲気が日本中を席巻しました。
無名のランナー、エチオピアのアベベ・ビキラ選手が驚異的なタイムでマラソンに圧勝したり、日本のお家芸柔道がオランダのヘーシンク選手に金メダルをさらわれたり、話題も豊富な大会でした。
そして最終日の閉会式では、開会式の整然とした行進ではなく、世界中の選手が入り乱れての入場となり、国境をこえたスポーツの祭典を象徴する、感動にあふれたものでした。わが家でも、「次のメキシコにはお金をためてみんなで行こうね」なんて言っていて、本当にそんな気持ちにさせるオリンピックだったのです。実際には行きませんでしたが。
戦争の痛手から日本は復興した! そのことを世界に知らしめる東京オリンピックでもあったのです。
亀倉雄策の斬新なデザインのポスターが評判になりました。
しかし、このために失ったものも少なくありません。最も大きな例は、当時オリンピック道路と言われた首都高速道路の建設に伴う景観の破壊と深刻な環境問題です。このために都心の交通量は極端に増加し、排気ガスによる喘息や光化学スモッグなど、健康の悪化を訴える人が増えました。
そのころぼくは高校生で、今と同じ杉並に住んでいたのですが、お昼ごろ新宿に遊びに出かけて夕方家に帰ると、それだけでシャツの襟が真っ黒に汚れてしまったことを記憶しています。風呂に入らなかったからではありません。
高速道路のおかげで道路の向こうとこっちを遮断され、売り上げが落ちたという商店街が続出しました。
お江戸日本橋は高速道路でふたをされ、今になって莫大な予算をかけてとりはずそうとしています。
高速道路ができる前の日本橋。
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今の、空が見えない日本橋。
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銭湯の女風呂をガラガラにしたという『君の名は』の舞台になった数寄屋橋も、川が埋め立てられて高速道路の陸橋が「新数寄屋橋」。情緒もへったくれもありません。
菊田一夫の「数寄屋橋ここにありき」という碑が、当時の記憶をかろうじてとどめています。
環境よりも、健康よりも、経済成長が最優先の時代だったわけです。
で、またこんど東京でオリンピックをやろうなんて言い出しています。しかし、あのころほどの盛り上がりはありません。そりゃあ当然でしょう。だって何のためにやるのかわかりませんから。石原都知事の見栄でしょうかね。
「国威発揚」だなんて言ってますけど、これはまるでベルリンオリンピックの時のヒトラーと同じですね。オリンピックの目的を履き違えています。
10年後のオリンピックの準備には約7兆円かかるそうです。そのお金をためるために、今から教育や福祉の予算をけずるわけなのです。石原知事の考えは、体の不自由な人は東京にはいらない、お上の言うことを聞かない子どもなど育てる必要はない、とまあこういうことですから。
それに、都民の税金から集めた7兆円がどこに行くのかわかりますか。施設の建設費や宣伝費などで、大手ゼネコン、広告代理店、印刷会社、などにいきます。そこに集まったお金がそれぞれの会社の社員に還元されるのならまだいいですが(多少はあるでしょうけれど)、莫大な利益は海外の金融や不動産などの投資に使われたり、発展途上国に自分の会社の工場を建設したりするのに使われるわけです。
つまり、都民の税金が大企業を太らせるために使われるわけです。このルート、ものすごくわかりやすいでしょ。でも、マスコミはこんなこと一言も言わないから誰も気づかない。だって、マスコミだって大企業だから儲かるんだもの。
おまけに、さらなる環境破壊が待ってますよ。
これは福岡も同じ、落選してよかったよかった。
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