大晦日、正月の準備はまだ終わっていないが、家族で「のだめカンタービレ」を観てきた。
原作はコミックだけれど、連続ドラマの頃からコミックでは味わえない良さがある。
それは、演奏だ。
演奏が実に素晴しい。このドラマを観てクラシックファンになった人がかなり大勢いたという。
連続ドラマの最終回を映画でというパターンは最近の流行で、僕自身はあまりいい傾向とは思っていないが、「のだめカンタービレ」に関しては許したい。
映画館なみの音響は、フツーの家庭ではなかなか味わえないからだ。
したがって、今回は映画館を選んだ。普段なら比較的空いているし近所でもある吉祥寺に行くのだが、新宿ピカデリーまで出かけた。
この映画、ドラマのときからそうだが、現実にはあり得ない表現が多いのは、原作がコミックだからだ。
自由奔放で気まぐれの天才ピアニスト、野田恵(のだめ)は恋人(?)の若手で有能な指揮者千秋真一とパリで一緒に暮らしている。
突然千秋に、19世紀から続いている伝統あるルー・マルレ・オーケストラから常任指揮者のオファーが入る。しかし、実はこのオーケストラ、複雑な人間関係の問題を抱えていて多数のメンバーが辞め、急場しのぎのまったく使い物にならないメンバーだ何人も含まれたいた。
当然演奏はひどいもので、客は減る一方だ。
かつて日本で経験したことの繰り返しが、パリでも待っていた。
のだめは、ピアノの腕を磨くため、コンセルヴァトワール音楽院に留学中だ。いずれは千秋と同じ舞台での共演をと夢見ているのだが、しかし、どんどん先へ行く千秋との距離が次第に離れていくことにあせりを感じ、ピアノのレッスンがなかなか思い通りに行かなくなる。
のだめと千秋、二人の場面をほとんどコミック仕立てだ。のだめの天然ぼけと妄想癖に千秋は度々振り回されるが、なぜか、しだいに千秋にとって、のだめはなくてはならない存在になっていく。
千秋はのだめを投げるひきずる突き飛ばす。目を剥く、のけぞる、奇声を上げる。コミックの雰囲気そのままである。シリアスなストーリーとのギャップが楽しい。
ドタバタコメディーの中で、ぼろぼろの管弦楽団が、素晴しい演奏をするまでに進化していく過程は感動ものだ。
劇中、たっぷり聞かせてくれるチャイコフスキーの「序曲1812年」は、涙が出るほど実に素晴しい。
どこが演奏しているのかと思えば、ロンドンフィルだった。
いいはずだ。
(「序曲1812年」はフランスがロシアに敗北する曲で、フランスでは上演されないと聞いていたが、本当はどうなのだろうか)
ぼろぼろの管弦楽団が、演奏とは関係ないところで喧嘩をはじめたとき、強面のコンマスが言う。
「なにやってんだ! 音楽はハルモニーだ、協調だ。それを表現するのがプロってもんだろう」
これは、今の世界にも、言えることだと感じ、たいへん印象に残った。
上野樹里ののだめは、ほとんど地のキャラそのままらしいが、見事に合っている。玉木宏のオレ様ぶりも板についている。
それにしても、最近の映画技術はたいしたものだ。指揮をする千秋のクローズアップは、別撮りだろうが、見事に編集されていて、曲の流れとの違和感がまったく感じられない。実写にこだわって、CGを抑えた使い方もなかなかいい。
後編は4月公開だそうだが、今から楽しみだ。
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