ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

辺野古基地ができても普天間は返ってこない

2019年04月22日 | 国際・政治
 統一地方選挙後半戦、沖縄の補選で新基地建設反対を公約に掲げた屋良朝博氏が当選した。
 知事選、県民投票に続いて基地建設反対の民意が示されたのである。
 屋良さんの当選が決まったとき、玉城デニー知事はインタビューに答えてこう言った。 
 
 「辺野古基地は普天間基地問題の解決にはならない」
 
 安倍政府は、「1日も早く普天間基地の危険を取り除くため」に辺野古基地建設を進めると言うが、肝心の沖縄県民の意思とは明確に矛盾している。
 なぜ、玉城デニー知事は「辺野古基地は普天間基地問題の解決にはならない」と言ったのか、その真意について、本土の人間はほとんど知らない。

 辺野古基地が完成しても、普天間基地は返還されない。
  これは真実。
 普天間基地の危険を取り除くために辺野古基地を造る、
  これは大嘘。

 
 その理由は、「辺野古の基地では普天間基地の機能を維持できない」と米軍が言っていることだ。
 辺野古の滑走路では大型機の対応ができないというのだ。
 辺野古基地の滑走路は、1800メートルだが普天間の滑走路は2700メートルある。だから、普天間を返還する条件として、普天間基地と同等以上の滑走路を持つ空港を、緊急時に米軍に貸与せよ、というのである。
 沖縄県内の空港で2700メートル級の滑走路があるのは、那覇空港と離島の下地島空港(宮古島市)のみである。離島では役に立たないので、当然米軍は那覇空港のことを言っていると考えられる。
 緊急時と言っても、緊急かどうかは米軍の判断だから、「緊急」を理由に滑走路を日常的に使われかねない。民間機がひっきりなしに離着陸をくり返す那覇空港に、緊急だからと大型の軍用機が度々着陸し、そのたびに民間旅客機は上空待機などさせられてはたまったものではない。そんなことを沖縄県が認めるわけがないのだ。
 
 沖縄には嘉手納基地というとんでもなくばかでかい基地がある。そこを使えばよさそうなものだが、実は嘉手納の空軍は普天間の海兵隊が入り込むことを極端に嫌っている。
 だから、辺野古基地ができたとしても、普天間返還の条件を満たすことはないのである。
 もちろんこのことを政府は承知している。なぜならこの事実を公表したのは、稲田元防衛大臣なのだから。
 しかし、こんな重大なことを、マスコミは真剣に取り上げようとしない。なぜなら、このことを国民が知ってしまったら、「普天間の危険除去のための辺野古基地建設」という大義名分が失われるからだ。
 
 もし、辺野古基地建設が政府が言うように「普天間基地返還」のためと思っているのなら、それは大嘘であり、普天間返還と辺野古基地建設はセットではなく、別の問題であることを知って欲しい。



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今日、沖縄県民投票

2019年02月24日 | 国際・政治

(写真提供:毛利孝雄さん)

 沖縄県県民投票

 沖縄県で辺野古埋立の是非を問う県民投票が始まった。
 「賛成」「どちらともいえない」「反対」の三択で実施される。
 有権者の4分の1以上が反対票を投じた場合、総理大臣とアメリカ大統領に通知することになっている。
 沖縄県の有権者数は約115万人だから、約29万票以上が必要。
 ただし、法的な拘束力はない。

 先日、さいたま市で行われた模擬シール投票では、圧倒的に「反対」が多く、「賛成」票が少数あり、「どちらともいえない」はほとんどなかったと記憶している。
 「賛成」に投じた人の残念なインタビューが放送された。
 「安全保障と環境問題は比較できないから」
 沖縄県民にとって、環境問題はもちろん重要だが、それ以上に巨大な新基地が新たに建設されることを恐れるのだ。


 基地ができても普天間は返ってこない

 日本政府の言い分は、「世界一危険な普天間飛行場の移転先として唯一の方法」だが、仮に辺野古に基地ができたとしても、普天間は返還されない可能性がある。
 アメリカは、緊急時に大型軍用機が着陸できる長い滑走路(2700メートル以上)を持つ空港の提供を求めている。
 本島には那覇空港しかない。
 頻繁に民間旅客機が離着陸する那覇空港に、アメリカ側の判断で緊急だからといって軍用機を日常的に着陸させられてはたまったものではない。
 那覇空港を米軍に使わせるなどあり得ない。そうなると、辺野古が完成しても普天間は返ってこないのだ。
 この事実を安倍政権はずっと隠していた。
 このことからも、辺野古基地建設の目的が、普天間の危険除去ではないとわかる。
 県民、強いては国民の安全よりも、日米関係なのだ。
 
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「アジア記者クラブ」11月定例会

2016年11月27日 | 国際・政治
アジア記者クラブ設立24周年記念シンポジウム
尖閣での日中衝突は起こりうるのか
中国脅威論と翼賛報道を検証する



 
 26日土曜日、岡田充さん(共同通信客員論説委員)、村田忠禧さん(横浜国立大学名誉教授)、趙宏偉さん(法政大学教授)(写真左から)の3氏をを招いて、ますます悪化する日中関係の元凶とも言える尖閣列島問題について話し合った。
 
 そもそも問題を大きくしたのは、当時の石原都知事が東京都で買い取ると言い出したのがきっかけだ。
 日中間の領土問題は、複雑すぎるので、1972年の日中国交正常化のとき、当時の田中角栄首相と周恩来首相の間で、どちらも権利を主張せず棚上げにすることを合意している。その後、1978年、中国の指導者としては戦後初めて正式訪日した鄧小平副総理が、日中間にはさまざまな問題があるが「小異を残して大同に従う」という故事を紹介し日中友好を最優先とすることを確認し、日本の首脳もそれに同意した。
 だから、尖閣列島周辺では日中双方の漁船が自由に操業していたのだ。それを領海侵犯だと騒ぎだしたのが、石原慎太郎をはじめとした、ナショナリストグループだ。
 
 じつは、尖閣列島については、1972年に歴者学者の井上清が、中国と琉球王国の歴史を元に綿密な検証を行なった論文『尖閣諸島』が出版されている。(1996年に第三書館から一部を割愛して復刊)。その論文は、歴史学的な資料を元に検証すると領有権が中国にあることを否定できないとしている。しかしこの論文は、日本政府のみならず、ほとんどの研究者の間でも現在に至るまでほとんど無視されている。
 ただ、領有権問題は、過去のヨーロッパの歴史にも見られるように、単純に歴史学だけで判断できるものではない。井上清の研究も、一部の見方に過ぎないことは事実だ。そこに、実効支配というめんどうな問題が絡んでくる。日本は、無人島であった魚釣島に人を住まわせ、既成事実を作った。これを実効支配と見なすかどうかは議論の余地があるが、日本政府としては、これを根拠に「日本固有の領土」だと主張しているのだ。
 
 岡田さんは、「日中脅威論は翼賛化報道によって造られたものだ」と主張し、日本の報道機関のメディア・リラシー(情報を批判的に読み取る能力)の欠如が世論を誤った方向に誘導していると語る。

 村田さんは昨年、『史料徹底検証 尖閣領有』(花伝社)を出版している。この本は、無視され続けてきた井上理論を再構築するもので、新たに豊富な資料を発掘して紹介している力作である。
 領有権問題が語られるとき、頻繁に登場する「無主地先占」という言葉がある。これは持ち主のいない領地は先に旗を立てた者に所有権があるという理論だ。
 米軍が沖縄を占領した1945年の時点では、尖閣列島は沖縄に含まれていた。従って米国は、それを含めて日本に返還した。問題は、尖閣列島がどのような経緯で沖縄に含まれたかだ。
 村田さんは、日清戦争での戦勝に乗じた「火事場泥棒的編入」であったと見る。
 (話は違うが、敗戦後、役所の資料が焼けて消失し、所有者不明になった土地に綱を張り巡らせて広大な土地を奪い取った者が多数いたと聞く)
 
 中国側から参加した趙さんには、司会から刺激的な意見を遠慮なくと要求されたが、そんなに驚くほどではなかった。面白かったのは、例の中国漁船が日本の巡視船に体当たりして来たとされる出来事について、
 「朝には日が昇り、夕方には日が沈むと表現していますが、太陽がのぼったり沈んだりするわけではありません。地球が自転しているからそう感じるだけです。広い海の上で、どちらの船が相手に近づいていったのか判断できますか? 漁船と巡視船では、スピードがぜんぜん違います。(巡視船に)追いかけられたら(漁船は)逃げられるわけがないでしょう」
 つまり、巡視船の方が漁船に衝突する状況を作ったのではないかと語る。なるほど、そういう見方もアリか、と思った。警察などの権力は、ちょっと手が当たっただけで公務執行妨害だと言って逮捕する。巡視船は、拿捕する言い訳を作ったのではないかと思えなくもない。
 
 三者の興味深い話の全容は、来年2月発行の『アジア記者クラブ通信』に掲載される。入手方法は、会員(年会費 税込5000円)になるか、2月の定例会場で購入(参加費 1500円+誌代700円)できる。
 
■12月定例会案内
 



アジア記者クラブ定例会「倉沢愛子さん講演」

2015年12月10日 | 国際・政治


 9日水曜日、倉沢愛子さんの講演会があった。
 倉沢さんは長年日本占領期のインドネシア史を研究してきた。
インドネシアは日本が占領するまでオランダ領(オランダ領インドシナ)であり、日本軍は「蘭印」と呼んでいた。
 日本は、アメリカからの石油が途絶えて後、原油を求めて南太平洋の島々を次々に占領していった。当然のように慰安所がつくられ、インドネシアの若い女性たちが強制的に慰安婦にさせられた。
 インドネシアでの慰安婦問題は、スマラン事件(白馬事件)が有名で、駐留していたオランダ人の女性たちが日本軍によって、慰安婦にするために拉致された事件である。これは後にバタビア臨時軍法会議で、首謀者たちが裁かれた。
 ご存知のように、以前国会で辻元清美議員が、日本軍が慰安婦問題に直接関わった証拠として、日本の法務省が所有するスマラン事件の記録を安倍総理に突きつけたが、総理は事件そのものの存在を知らなかったようだ。
 
 倉沢さんはスマラン事件には触れなかったが、ちょうど今年の夏から「女たちの戦争と平和資料館」(WAM)で資料展示が行われていることもあり、慰安婦問題を含めた日本軍の圧制について述べられた。
 日本軍がアジアに侵略していった名目は、ヨーロッパ各国の占領から解くためであったと言われるが、矛盾していることに、それらの国々が独立することは許さなかった。
 
 インドネシアが大きく変わったのは、ベトナム戦争期の1965年9月30日に起きた、いわゆる「9・30事件」である。この日深夜、革命評議会を名乗る軍人たちによって、軍の上層部6人が暗殺された。その結果、スカルノ政権は崩壊し、反共色の強いスハルト少将が政権巻き返しを図った。
 当時インドネシアでは共産党の力が強く、スカルノは共産主義者ではないが、共産党の力をうまく利用していた。しかしスハルトは共産党への弾圧を開始し、各地で虐殺事件が発生した。死者は50万人とも100万人ともいわれる。
 
 日本は最大の投資国・援助国になっていったが、日本企業がぞくぞくと進出したものの、インドネシアの文化や宗教を理解せず、インドネシア従業員たちの習慣を否定したために、徐々に反日感情が高まっていった。 そして1974年1月の田中角栄首相(当時)のインドネシア訪問時に大規模な反日暴動が起きた。「マラリ事件」である。
 
 この経験から、トヨタ自動車などの日本企業では「隣人を知ろう」プログラムを作成し、現地の従業員たちの文化や暮らしを尊重する動きへの発展して行く。
 
 まだ読んでいないが、この日の講演内容は、倉沢さんの著書『9・30世界を震撼させた日──インドネシア政変の真相と波紋』(岩波現代全書)や『戦後日本──インドネシア関係史』(草思社)に詳しいはずである。
 
 毎度のことだが、アジア記者クラブの事務局をやっていると、ゆっくり話を聞くことができない。この内容は、2月発行の「アジア記者クラブ通信」に委ねることになる。

日本政府は日本国民を守らなかった

2015年02月02日 | 国際・政治
 後藤健二さんが殺害されたニュースが列島を駆け巡った。
 しかし、本当に助けることはできなかったのか、それ以前に、このような事件が引きこされるのを未然に防ぐことはできなかったのか、多いに疑問が残る。
 
 まず、戦闘地帯への取材はフリージャーナリストに限られることだ。大手メディアは、直属記者やカメラマンによる危険地域での直接取材を禁じている。したがって、現地のニュースはフリージャーナリストに頼ることになる。彼らなしで苛酷な戦闘地帯の現状を、われわれが知ることはできない。
 したがって、またもささやかれはじめた「自己責任論」はまったくの見当違いである。まして後藤健二さんは、盟友である湯川遥菜さん救出の目的でシリアに入ったと聞く。過去に別の武装集団によって拘束されたジャーナリストを、後藤さんが交渉して解放に至った実績があるからだ。しかし、「イスラム国」にこの前例は通用しなかった。「イスラム国」とは理屈が通らない国なのである。
 
 日本政府は「イスラム国」に2人のジャーナリストが拘束されていることを知りながら、有志国連合に対する「人道的」支援を発表した。この瞬間、「イスラム国」側は日本を敵であることを確信したのだ。「イスラム国」側にとって、人道支援であろうが軍事支援であろうが、敵を支援することには変わりがない。
 安倍総理は最悪の時期に発表したことになる。事態が解決するまで、公表を控えるとか時期をずらすという考えはなかったのか。これは「テロに屈しない」のではなく、「殴り掛かる」ことに等しい。
 もしこうした事態になることを承知の上で支援を公表したのだとしたら、国民の安全よりもアメリカに対するポーズを優先したことになり、菅官房長官が言った「人命最優先」と矛盾する。
 さらには、懸命に救出のための努力をしているというが、それも国民に見せるためのポーズであって、できることをすべてやったとは思えない。
 つまり、安倍総理の頭の中にあるのは「日米関係最優先」であって、そのためには多少国民が血を流してもやむを得ない、と考えているのではないか。これはもう、戦前の大日本帝国と同じである。
 日本国内にも「イスラム国」を信奉する人間が多数いるとされる。つまり、国内でのテロが今後発生する可能性も否定できなくなった。すでに日本は「イスラム国」に対し、宣戦布告したのと同じなのだから。
 当然安倍首相は、自分にはテロの被害はおよばないと考えているかもしれないが、もしそうならとんでもない間抜けである。
 テロの対象に例外はない、いまこの瞬間も、あなたや私の頭の上に爆弾が落ちてくるかもしれないのだ。これは大げさでも妄想でもない。テロで犠牲になった多くの人々にとって、例外なく青天の霹靂であったろう。予測できないのがテロなのだ。
 
 国民は国家のために存在するのではない、国民のために国家が存在する。それが民主国家である。
 少なくともいまの日本は、あきらかに独裁主義・全体主義に近づいている。
 しかし日本は、決して武力行使に走ってはならない。それこそ挑発に乗ることになり、テロに屈したことと同じである。
 
 また絶対に、多くの一般のイスラム教徒をテロリスト扱いしてはいけない。
 コーランの教えの中には、「人を殺してはならない」とする、以下のような一節がある。

 人を殺した者、地上で悪 を働いたという理由もなく人を殺す者は、全人類を殺したのと同じである。人の生命を 救う者は、全人類の生命を救ったのと同じである。(『聖クルアーン』食卓章5-32 宗教法人日本ムスリム協会発行131ページ)
 
 すなわち、「イスラム国」はコーランの教えに背いており、イスラム教徒ではないと言えるのだ。
 
 
 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)による
 「後藤健二さんら人質殺害を受けての緊急声明」

 
 私たち日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は、日本人人質事件の発覚後、2通の声明文とビデオメッセージを通じて、後藤健二さんと湯川遙菜さんの解放を関係者に求めてきました。しかし湯川さんに続き、後藤さんを殺害したとする映像が公開され、私たちは深い悲しみでいっぱいです。
 後藤さんはこれまでに世界各地で苦しむ人びとの側に立ち、事実を伝えることでジャーナリズムの役割を果たしてきました。公開された映像が事実であるならば、後藤さんが否定してきた理不尽な暴力により、命を奪われてしまったことになります。
 なぜこのような事件が起き、そして繰り返されるのか、「報復」は憎しみと対立を煽るばかりです。暴力による負の連鎖を断ち切るために、原因を追求し、私たちは賢明な平和的手段で解決することを訴えます。
 今も世界各地では戦闘や空爆が続き、犠牲者は増え続けています。暴力から尊い命を守ること、それが後藤さんがジャーナリストとして命をかけて伝えたかったことではないでしょうか。後藤さんと湯川さんのご冥福を祈ると同時に、彼らの犠牲が最後となることを祈ります。

 2015年2月1日
 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)


『アジア記者クラブ通信』268号

2014年12月23日 | 国際・政治

 
 今年最後のアジア記者クラブ通信である。次号は2月発行になり合併号となる。
 
◆10月定例会レポート スラップ訴訟について
 「定例会レポート」は10月に行われた澤藤統一郎弁護士による、スラップ訴訟についてお話をうかがった記録である。
 スラップ(SLAPP=Strategic Lawsuit Against Public Participation)訴訟とは直訳すれば「公的な参加に対する戦略的な訴訟」ということになるが、ここでいうスラップ訴訟は、大企業が告発や情報伝達にないし、力ずくの恫喝的訴訟を起こし、告発元を黙らせることが目的の訴訟である。
 
 渡辺喜美衆院議員がみんなの党代表辞任に追い込まれた大手化粧品会社・DHCの吉田嘉明会長からの8億円借り入れ問題に関連して、一つの裁判が進行している。大手メディアの報道ではその実態があまり言及されない吉田氏の資金提供を自身のブログで批判した澤藤統一郎弁護士が、同社および吉田氏から6000万円の損害賠償を求められる名誉毀損訴訟を起こされ、12月24日に東京地裁で第5回口頭弁論が開かれる。澤藤氏はこれを大企業や公的機関が言論やデモ行為に対して巨額の賠償金を請求する「SLAPP(スラップ)訴訟」と受け止め、ブログ『澤藤統一郎の憲法日記』で提訴自体への糾弾も続けている。過去には旧グッドウィル・グループの傘下企業とそのグループが東洋経済新報社に賠償金10億円の訴訟を起こし、雑誌にコメントした個人ジャーナリストが音楽関連企業から5000万円の賠償請求、武富士がメディアヘの提訴を乱発するなど、スラップ訴訟は後を絶たない。スラップ訴訟を許さない環境整備をどう進めるのかについても含めて、澤藤さんにお話をうかがった。(本誌リードより)

◆「アベノミクス」でデフレ再来」は証明されていた
 2014年12月、安倍首相は「アベノミクスを国民に問う」として解散・総選挙に踏み切った。だが、この大義名分は、これまでの日米などでの量的緩和(QE)政策の実績や「QEは経済を回復させなかった」との多くのアカデミックな研究成果によってとっくに破綻していた。本稿は米欧を中心に一流の経済学者、エコノミストが理論的にこれを裏付けていることを紹介する。換言すれば、「アベノミクスの第一の矢」である異次元の量的緩和がいかに虚構であり、ウオール街をはじめとする世界の“とばく場”を活気づけ、バブル化した株、為替、不動産取引などで富裕層と投機筋をさらに太らせたにすぎないと批判する。要するに、「(QE政策が引き起こす)結果は短期的にはインフレだが、長期的にはデフレである」との結論は出ていたのだ。
「中央銀行の中央銀行」とされる国際決済銀行(BIS)さえ「世界は(QEという)経済刺激の中毒に苦しんでいる」と認めていたという。日本の有権者にこれを伝えなかった日本の既存メディアの“罪”は重かつ大である。(本文リードより)
 

 
『アジア記者クラブ通信』(月刊)は1部500円。定例会会場にて販売。
会員(年会費5000円)には毎月送付。
*郵便振替にて送金で自動入会。00180-4-709267
  
■アジア記者クラブ1月定例会【予告
原子力ムラの復活にどう立ち向かうのか
映画『日本と原発』の監督に聞く
2015年1月21日(水)18時45分~21時
明治大学研究棟2随・第9会議室
ゲスト 河合弘之さん(弁護士)

 保革を問わず、国民の70%を超える人たちが原発は危険で維持コストがかさむとして脱原発の意志を持っているにもかかわらず、3・11後、2度にわたって原発推進を掲げる政権が承認されてきた。川内原発を抱える鹿児島県では再稼働受け入れが表明された。原発利権を追ってきた朝日新聞特別報道チームの連載が1冊の本となったが、「あの内容では今は書けない」と記者の1人は明かす。社内外の圧力が強くなってきたからだという。熱しやすく冷めやすい日本人の性格だけでなく、明らかに逆風が吹いている。
 1月定例会は、社会思想史研究会との共催で、さくら共同法律事務所の河合弘之弁護士をゲストにお招きします。河合さんは、ビジネス弁護士として活躍の一方で、原発訴訟に20年以上手弁当で携わり、今回は、映画『日本と原発』の製作と監督を1人で手掛け、始まったばかりの上映運動でも先頭に立っておられます。

『アジア記者クラブ通信』267

2014年11月12日 | 国際・政治

 
 今月の『アジア記者クラブ通信』は去る9月25日に行われた定例会のレポートに注目したい。
 講師は元NHKのディレクターで、現在「アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館(wam)」館長を務める池田恵理子氏。
 朝日新聞が吉田清治氏の証言記事を撤回したことから、右派メディアによる猛烈な朝日新聞攻撃が行われている。度々このブログでも語っているが、「従軍『慰安婦』問題」と「南京大虐殺」そして沖縄の「集団自決」は右派が神経を尖らせる三大事件である。過去の日本軍による戦争を正当化し、日本を戦争のできる国に導くために、これらの出来事を歴史から抹殺しなければならないからだ。
 まるで朝日新聞が「従軍慰安婦」を捏造したかのように語られているが、記事が掲載される以前から、旧日本軍が侵攻する各地で女性たちを集め、慰安所を設置していたことは周知の事実だったことは、実証されている。
 当時の流行作家石川達三や火野葦平等が従軍作家として軍に帯同し、慰安所や「慰安婦」を取材した事実などを含め、仮に吉田証言の確認がとれていなくても、歴史的な事実は変わらないことを、わかりやすく述べている。
 
 ちなみに、産經新聞や週刊文春、週刊新潮などに掲載された右派論客の記事こそが歴史を歪曲した捏造であることの大量のの資料が、僕の手元にもある。国際的にも旧日本軍の戦争犯罪は事実として認知されており、日本政府の誠意ある対応が求められている。
 
 このほか、本号の内容は以下の通り。
 
 
 
【11月・12月定例会】
 合併号発行の関係で、2か月分同時告知である。
 
11月定例会
香港情勢を討議するシンポジウム
民主化運動と「一国二制度」の現状を検証する

パネラー/倉田徹さん(立教大学准教授)
     倉田明子さん(立教大学非常勤講師)
     和仁廉夫さん(ジャーナリスト)
11月21日(金) 18時30分~21時
明治大学リバティタワー11階(1116教室)

■12月定例会
被爆70年 日米同盟を見つめ直す
「核の傘」への執着とフクシマ

ゲスト/大田昌克さん(共同通信編集委員)
12月18日(木) 18時45分~21時
明治大学リバティタワー8階(1083教室)
 
◆参加費/ビジター1500円 
     会員・学生・年金生活者1000円
     予約不要
◆主催/明治大学軍縮平和研究所 アジア記者クラブ

詳細は http://apc.cup.com
問合せはE-mailで apc@cup.com

「アジア記者クラブ定例会」柳澤協二氏

2014年07月29日 | 国際・政治
Yanagisawa

 去る7月24日、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏をゲストに迎え,安倍政権が強引に押し進めようとしている集団的自衛権について、政府内、また政権与党である自民党内では、正直どう考えられているのかについて伺った。

 安倍晋三首相の論理は非現実的であり矛盾に満ちている。

「日本人を乗せたアメリカの艦船を、今の日本は守ることができない。これでいいのか」
国会答弁などでよく聞かれるこの例はまったく欺瞞である。
危険な場合に非戦闘員を艦船で移動させることはないし、そもそも日本人を非難させることは米軍の任務にないのだ。
 豊下楢彦・古関彰一共著の『集団的自衛権と安全保障』(岩波新書)によれば、
「こうした事例は、現実にはまったく起こり得ない。なぜなら、在韓米軍が毎年訓練を行っている「非戦闘員非難救出作戦」で非難させるべき対象となっているのは、在韓米国市民14万人、「友好国」の市民8万人の計22万人(2012年段階)であり、この「友好国」とは英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドというアングロサクソン系諸国なのである。さらに非難作戦は具体的には,航空機によって実施される」
ということである。

「機雷を除去しなければ,タンカーの運航ができず,経済が破綻する」
 これについて柳澤氏は「機雷のあるなしに関わらず、タンカーが戦場に行くことはないと語る。そして、これまでに何度も石油が止まったことがあるが、経済が破綻したことなどなかったと、これも安倍総理が国民をだます欺瞞であると言う。
 
 安倍総理が、この集団的自衛権にしろ秘密保護法にしろ、なぜこれほど強引にすすめるのか、その理由は本人の信念のみだそうだ。
「やりたいから、それだけです」
 いみじくも、前掲書には、安倍首相の「最大の眼目は、青年が誇りを持って「血を流す」ことができるような国家体制をつくりあげていくところにある」と結論付けられている。
 
 柳澤氏は、「ここには大手マスコミがいないから」と前置きして、(実際にはNHKのプロデューサーがいたのだが)こんなことをいった。
 「娘が心療医学をやっておりまして、彼女がプロファイリングしたところ、安倍総理は自己愛型精神障害だというのです。とにかく自分が可愛い。だから自分を持ち上げてくれる周囲の限られた人の話しか聞かないのですよ。ところで、娘は返す刀で『お父さんにもそういうところがある』と言っておりました」
 
 柳澤協二氏の応援の詳細は、『アジア記者クラブ通信』の9月号に掲載される。
 
■お薦めしたい2冊
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半田滋『日本は戦争をするのか』──集団的自衛権と自衛隊
 自衛隊員の中には、というよりは、たぶんほとんどは、「日本は憲法9条があって戦争をすることはないから自分が戦死などするはずはない」と思って入隊したと思う。自衛隊の主な仕事は震災復興だと考えている隊員が少なくない。そこにきて、前回のイラク後方支援以来雲行きが怪しくなった。
 自衛隊は毎年、一個中隊(36名)ほどが自殺しているそうだ(柳澤氏)。もし集団的自衛権によって海外派兵が頻繁に行われれば、その人数は倍増するという。
「集団的自衛権に反対する有力な味方は自衛隊に違いありません』(柳澤氏)
 集団的自衛権とは自衛隊にとって果たしてなんなのか、どう受け止められているのか、どう変わっていくのか、防衛を取材し続けてきた著者渾身の一冊。
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Img_2
豊下楢彦・古関彰一『集団的自衛権と安全保障』
 日本で自衛隊と呼ばれていても、国際法上は軍隊として戦争をすることになる。日本が集団的自衛権を行使するということは、敵国に対して宣戦布告するのと同じである。ところが、「戦争」になった場合、法的に深刻な問題が生じる。なぜなら、日本には憲法はもちろん、いかなる法令においても、それこそ「宣戦布告」を行う開戦規定も交戦規定も欠落している。さらに重要なのは、日本には軍法会議が存在しない。
 安倍首相の“架空のシナリオ”と国民を欺くトリックを暴く一冊。
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APC主催「沖縄シンポジウム」

2014年05月26日 | 国際・政治
Shinpo
 
 24日土曜日、アジア記者クラブ主催で「沖縄シンポジウム」が開催され「琉球新報」東京報道部長の島洋子さんと「沖縄タイムス」東京編集部長の宮城栄作さんに沖縄二紙と中央メディアの温度差と、権力の圧力について伺った。
 この日取材に来た大手メディアは東京新聞だけ、日曜日にベタ記事が掲載された。
 
Tokyoshimbun
 
Shima
 沖縄が基地からもたらされる経済効果は5パーセントと語る、島洋子さん。
 
 
Moyagi
 本土メディアの興味は沖縄の本質的問題ではない、と語る宮城栄作さん。
 
 島さんの、「本土のメディアは、社会部マターはニュースにするが、政治部マターはニュースにしない」という言葉が印象に残った。
 つまり、少女暴行事件のようなことは「かわいそう」とニュースにするが、米軍基地の経済効果は低くなっているというような事実は報道しないということである。だから、ヤマトンチュの多くには、いまだに沖縄経済は基地からの収益で成り立っていると思われている。しかし現在、米軍基地への経済依存度は5パーセント程度で、沖縄経済の主流は観光である。基地が返還され、その土地を活用することで、基地からの収益の最大6倍が得られるといわれている。
 
 このシンポジウムの記録は、『アジア記者クラブ通信』7月発行号に掲載される。


「沖縄からの報告」松元剛さん

2014年02月23日 | 国際・政治
Matsumoto
 
 22日(土)、文京区民センターで行われた「沖縄の空にオスプレイはいらない2・22集会」に参加した。
 目玉は「琉球新報」編集局次長、松元剛さんの報告である。彼の話を目当てに205名が参加した。ほぼ満員である。
 
 荻窪の自宅から、会場のある春日までは地下鉄を乗り継いで行く。丸ノ内線で新宿に出て、大江戸線に乗り換えるのにはいささか距離があり面倒だ。東京メトロと都営地下鉄なので、たいした距離でもないのに運賃も高くつく。
 
 春日からは地下道を通って文京区民センターのすぐそばの出口まで行ける。で、地上に出て驚いた。区民センターの前の歩道に公安がずらりと、20人ほどはいただろうか、並んでいた。何の必要があって20人も動員したのか、よほど暇なのだろう。
 会場の準備をしている知り合いに、ずいぶん公安が来てるねと尋ねる。
 「いつものことだよ。Sさんもいたでしょ」
 Sさんというのは、昨年入ったばかりの若い女性の公安で、ちょっと見たところ美形である。「こちら側」のあいだで評判になっているが、本人がそれに気付いているのかどうか。
 公安は原則的に身元を隠す。だから普通名前が知られることはない。ところが何かの拍子に別の公安が彼女を名前で呼んでしまったらしいのだ。それを聞きつけて、「こちら側」では「Sさん」として通るようになってしまったのだ。しかし、張り込み中に軽々しく本名で呼び合うなど、それがもし事実なら相当間抜けだ。だから、本名かどうかはわからない。
 「面が割れたらもうハニートラップはできないよな」と彼は笑う。引っかかるのも悪くないという表情だった。
 
 そんな余談はともかく、会場は熱心な聴衆の熱気が満ちていた。ところどころ固有名詞が危ういのだが(どうもクセらしい)、いくつか興味深い情報を得た。
 
・松元氏は前回の衆議院選挙の後、沖縄選出で自民党から当選した5人の候補に、「自民党本部の意向と異なるが、あなた方は本当に県外移設あるいは国外移設という考えであると思っていいのか」と、しつこいほどただしたそうだ。彼等が、選挙中述べた公約で、そう言っていたからである。ところがそれにもかかわらず、公約を破って辺野古への移設を承認してしまった。
 記者会見で、勝ち誇った石橋の横で、うつむいて歯を食いしばり、膝の上の拳が震えて悔しさがにじみ出ていたそうだ。党籍剥奪などと言った脅迫に負けてしまったからである。党員の中にも安倍総理のやり方に不満を持っている者が少なくないと聞いたが、その現れの一つだろう。
 
・沖縄が、反基地か経済優先かで二分されていることは周知の通りである。経済優先派、すわわち基地容認派は、自民党支持層を中心に約3割であるという。この3割は、かなり頑強だと松元さんは語る。
 ところが、県民全体では、普天間基地の県外移設、国外移設、そして即時閉鎖を足すと8割におよぶという。つまり、頑強な基地容認派の中でも、普天間に関しては撤退を求め、かつ、県内に新たな基地をつくることに反対の立場をとっている者が、三分の一いるということだ。(ただし、この後選挙の調査でも述べるように、基地容認派がアンケートに協力的ではないことを計算に入れると、8割は多少割り引いて考える必要がある。
 
・名護市長選挙では、辺野古への基地移転に反対する稲嶺進氏が、自民党推薦で推進派の末松文信氏を四千票余の差をつけて当選した。しかし、事前のアンケートや出口調査では、もっと差があり、ダブルスコア近かったと言われる。それがなぜ、このような微妙な差になったのか。そこにはからくりがあった。
 それは、ウソの回答をしたり、回答を拒否した有権者が非常に多かったことにある。
 辺野古移転に賛成という回答をすれば、少なくとも調査員には自分が賛成派だとわかってしまう。そうなると選挙後の立場が悪くなりかねない。だから、嘘をついたり回答を拒否したりするのである。回答拒否はカウントされないので、そのほとんどが末松氏に投票したと考えれば納得の行く数字ではあるという。
 だとすると、「頑強な基地容認派」はもっと多いのかもしれない。
 
 報告の中で、住民が撮影したという飛行中のオスプレイの映像が流れた。本当は音を聞かせたかったのであろうが、音響効果が悪くあまり伝わってこない。こういうのは大型のウーハーを持ち込んで、実際に近い音を聞かせなければならないだろう。ついでにボディソニックで振動も。
 
 
 この日は、いくつものイベントが重なっていて、この会場では夜間に秘密保護法案の集会がある。別な会場ではNHK問題の集会も開かれていた。それなのに205人も動員したというのはすごい。
 
 ところでNHK問題と言えば、籾井発言が大問題になっている。これを理由に受信料の支払い拒否をすればいい、NHKにとっては、つまりそこの最高責任者である籾井会長にとっては、それがもっとも痛いはずだ。公共の理解を得られない公共放送などあり得ないのだから。


市来とも子「新春懇談会」

2013年02月17日 | 国際・政治
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 16日土曜日、区会議員市来とも子氏が主催する新春懇談会に参加した。
 メインは福島県で反原発運動をしている武藤類子さんの講演である。
 
 先日、市来氏が我が家に来て、この会への参加を要請された。そのときには、区長の出席はないということだったが、突然現れた。毎度のことながら予定の時間を大幅にオーバーして、30分ほどスピーチして帰った。

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 急遽参加した田中良杉並区長。
 
 主な話は、姉妹関係にある南相馬市に、杉並区としてどんな支援を行ってきたかについての報告で、ことさら新しい情報はなかったが、いくつか興味深い話を聞いた。
 
 国が定めた退避圏についてである。
 原発から半径20キロ圏内は、自衛隊によって強制退避となった。そして、20~30キロ圏は屋内退避とされていたことは周知の通りである。問題はその20~30キロ圏内に済む住民の避難である。
 ライフラインは途絶し、家から出ることも出来ず、生活できない。自衛隊が住民を30キロ圏外に退避させることは任務外だという。バスで避難させようとしてものの、バス会社は、住民が30キロ圏外まで出てくれば避難場所まで送るという。
 要請があり命令がなければ動かない自衛隊の融通のなさが現れた例である。
 結局、杉並区が災害時相互援助協定を締結している群馬県東吾妻町、新潟県小千谷市などに物資の提供や避難民の受け入れを要請して、住民を避難させることが出来た。
 災害時に大切なのはスピードと支援だという。
 海で溺れそうな子どもがいたら、助けられる人がすぐに助けに行くだろう。親の要請を待ってレスキューが出動するなどということはない。
 かかった費用はどうするのか、それが決まらないと動けないというのもおかしい。それは助けた後の話だと。
 そういう考え方をしていた松下政経塾出身の首長を、「松下政経塾は何の価値もない」と、かつての区長を批判すると会場から拍手が沸いた。
 
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 武藤類子さんの話は大変わかりやすく勉強になった。現地に住んでいないとわからないことが多々ある。
 水素爆発を起こした4号機の写真を見せられた。事故後かけられたカバーが度重なる余震で破損し、天井がむき出しになっている。事故当時稼働していなかった4号機は、炉内に燃料棒はなく、燃料プールに格納されている。しかし、今後大きな地震があれば崩れる可能性があり、それに対して東電も国も対処はしていないらしい。 
 
 福島県内には、各所に測定器が設置されている。ところが、そこに示される放射線量は必ずしも正確ではないそうだ。設置前に周囲を除染し、さらに、センサー近くには測定器を稼働させるための太陽光パネルと蓄電池がおかれ、それらによって、放射線がセンサーに届くのを妨害している可能性が高いというのだ。
 
 国や自治体は、被害を出来るだけ小さく見せようとする。それが住民の健康被害を拡大させている。
 
 武藤さんは、除染作業も信じられないという。1軒の家を除染しても、他の家の屋根や森林に積もった放射性物質が飛散し、数日すると元に戻ってしまうのだ。集められた汚染土や廃棄物などの行き場がなく、住宅の脇に積み上げられたままだという。当然、そこからは放射線が出ているわけで、危険きわまりない。
 
 最後に、農産物や海産物の汚染についてうかがった。
 福島県産の農産物は、場所によって汚染度は異なるが、出荷されているものに関しては安全だという。しかし、福島県産の農産物に対し、「風評被害」があるという表現は当たっていないとも語った。あれは「実害」であると。
 風評とは根拠がないのに危険物呼ばわりさせることだが、福島県産の農作物の中には実際食べると健康を害するものがあるのだから、「実害」なのだと。風評被害という言葉は、原発推進派が被害を小さく見せるために流布した言葉で、それこそ風評被害だと。
 
 海産物は、水揚げされた所が産地になる。福島で水揚げされた魚介類は、現在でも出荷停止だ。しかし、回遊魚などは福島沖を通っているかもしれないし、そうでないかもしれない。だから、「福島産」の魚介類を何もかも禁止するのはどうかと思うとも。禁止するのなら、日本の近海で捕れた魚介類はすべて禁止すべきなのだ。
 
 そして、福島にはもう住めないと思われる場所が実際にある。そういう場所を明確に示してほしいとも語った。
 だが、住民の中には、いずれは戻りたいと考える人が少なくない。チェルノブイリにも危険地域に居座る人がいる。わかっていてそこに居座るか、わからないで被害を受けてしまうか、それは大きな違いなのだ。
 
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 帰りに武藤さんの著書を買って署名をいただいた。森住卓さんの写真があしらわれた、オールカラーの美しい本だ。
 遊べないように束ねて縛り付けられた保育園のブランコの写真が、いたいたしい。
 
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6・7中村哲医師講演会

2012年06月09日 | 国際・政治
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 6月7日、セシオン杉並大ホールで「中村哲医師講演会」が「無事」行われた。同医師の講演会は5月末から6月はじめにかけて、船橋や練馬などでも予定されていて、参加者動員が非常に厳しい。成り行きから実行委員会の代表を引き受けてしまったものの、こんな大ホールで客が来なかったらどうしようと、正直不安だった。
 
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 しかし、それは杞憂に終り、客席を7割以上うめることができ、カンパを含めた収益も中村医師の活動支援に十分応えられる金額を得ることができた。
 
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 杉並区の田中良区長、世田谷区の保坂展人区長が、講演に先立って挨拶。それぞれの区政の状況と、国政について述べた。
 
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 「アフガニスタンは戦争では滅びないけれど、旱魃で滅びる」
 人が生きるためになくてはならない水が、アフガニスタンにはない。灌漑が十分でないために、作物が育たず、常に食糧不足なのである。中村哲氏は医師でありながら、ここに水を引くことを思い立った。
 ふつう、人は自分の仕事と思っている以外のことに手を出すという発想はないものだ。「これは自分の仕事ではない」と灌漑用水の研究や水路を造ったりする発想にはならない。しかし、中村医師はそれをやった。命と水は切っても切れないからだ。
 アフガニスタンでは、一台の建設機械を入手するだけで何年もかかる。つまり、現代の建設技術は使えないということなのである。
 中村医師は、そこで江戸時代の日本の灌漑技術を応用することにした。ヒントは日本で古代から灌漑技術として使われてきた「蛇籠」である。蛇籠とは、竹で編んだ篭に石をつめたもので、いくつもの蛇籠を積みあげることで水流を変え、田畑に水を送る。つまり、土嚢のようなものだけれど、中味が石の蛇籠は耐久力がある。時代劇での大川のシーンに見かけるあれである。
 しかし、一昨年(2010年)の夏、アフガニスタンは100年に一度といわれる大洪水に見舞われ、多くの用水路が機能を果たせなくなった。昨年の11月には復旧工事中にまたも集中豪雨に見舞われた。今回はその緊急報告と、さらなる支援を呼びかけたものである。
 
 さて、実行委員会の代表というのは、残念なことに現場の進行に時間を取られて講演を聴くことができない。だから、講演の内容はあんまりよくわかっていない。これから録音をじっくりと聞くことにする。
 
 なお、今回は写真撮影を友人のSさんにお願いした。この写真も彼の撮影によるものである。
 厚く御礼申し上げる。
 
 
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9条フェスタ2010

2010年11月20日 | 国際・政治
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 蒲田にある大田区産業プラザで行われた「9条フェスタ201」に行ってきた。
 今年で6回目だが、さすがに初回ほどの大盛り上がりはない。それどころか、関心が薄れているとさえ感じられる。
 動員数も、ガラガラというほどではないにしろ、明らかに減っている。
 政権が変わり、まして今は憲法どころではない政局で、とりあえず緊急性が感じられなくなったせいか。
 しかし、こんな時期がもっとも危ない。為政者は人々の目がそれているときに、とんでもないことをやらかす。
 
 今年は沖縄知事選のさなかでもあり、伊波候補を支援するポスターが目立つ。
 文化座の佐々木愛さんが講演するということで、それも興味があったのだが、プログラムの最後の方で、帰宅時間の予定もあり、失礼した。
 
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 おいおい子どもたち、「9条君」をいじめちゃだめだぞ。かわいがってあげなきゃ。
 
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 例年なら、もう少し混雑しているはずなのだが……
 
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 なぜか会場の真ん中に鉄道模型が。子どもが少ないので独占できる。
 
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 歌声喫茶が開設されていて、1時間ほどのぞいてきた。常連(?)さんたちがリクエストを独占。一見さんは居心地が悪い。
 
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 ジュゴンや怠け者をかたどったパンが売られていた。しかしこれは、食べにくいパンだなあ。
 
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 「9」の形のパン。カミさんが試食しておいしかったというので買った。
 右がチーズで左がナッツ。しっかりした歯ごたえでなかなかのもの。
 
 中国の遺棄毒ガスのビデオや、広川隆一さんのパネル展を見てまわりる。
 『嗚呼 満蒙開拓団』というドキュメンタリー映画を見て帰ろうということになった。
 残留孤児の保障裁判から始まって、帰還者の証言を次々に紹介していく。内容はいいのだが、音響が悪く、話がよく聞き取れない。また構成も退屈で上映時間2時間は耐えられず、1時間ほどで退席した。機会があれば自宅のテレビで見たい。
 
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韓国併合100年

2010年08月23日 | 国際・政治
Nikkanheigo
 
 2010年8月23日は、「韓国併合」100年にあたる。
 今から100年前のこの日、大日本帝国は「韓国併合ニ関スル条約」(韓国併合条約)にもとづいて大韓帝国を併合した。
 この日から、朝鮮半島に対する日本の植民地政策が始まる。
 
 「半島人も日本人」として、朝鮮人を日本人と同様に扱うとしたものの、本来日本人にあるべき権利は無く、徴兵、労働などの「義務」ばかりが強要された。
 皇民(皇国臣民)化政策により、神社参拝、日本語教育、創氏改名などが朝鮮人民を日本に同化させるために行われた。
 麻生太郎元首相が、「創氏改名は朝鮮人が名前をくれと言ったから」などと発言して顰蹙を買ったが、これは間違いである。法律上は強制ではないと言っておきながら、実質行政が強制していた事実は、現在の日の丸・君が代と同じである。
 創氏改名はただ氏を作り日本風に名前を変えたことにとどまらない。「氏」は、日本でいう「家」に相当する。女性が結婚して男性の姓を名乗ることはその現れで、現在でもどちらか一方の姓に統一しなければならない。つまりこれは家父長制度の名残である。
 しかし朝鮮にはこのような習慣はない。結婚しても姓が代わることはなく、日本人にある「家」という感覚はない。
 つまり、創氏改名とはただ朝鮮人を日本人に同化させようとしただけでなく、タテ社会の基本である家父長制を朝鮮人にも強要し、その頂点である天皇崇拝によって支配しようとしたところにある。
 
 「韓国併合」以来、朝鮮の人々は常に日本人から差別され続けてきた。仕事を求めて日本に来た人々が、朝鮮人であることをカモフラージュするために日本名を名乗った例は少なくない。しかしそれは、法律上の改名ではなく、朝鮮名とは別の通称に過ぎない。
 
 また大日本帝国は、天皇に従わせるため朝鮮人に神道を強要した。
 大日本帝国は、日本古来の宗教である神道(古神道)と「古事記」「日本書紀」などの神話を基礎に、天皇を頂点とする「国家神道」をつくった。天皇は天照大神の子孫であるというのが国家神道であって、天皇を神格化し絶対的な権力に祭り上げる根拠とした。
 朝鮮人に国家神道の象徴である神社に参拝させ、他国の王である天皇に対する忠誠心を養おうとしたのである。
 朝鮮だけでなく、本来神道とは縁のない国々、台湾やフィリピンなどに見られる神社の鳥居の痕跡は、その地で皇民化政策が行われていたことを意味する。
 ちなみに国家神道は、日本の敗戦に伴い制度上は廃止されたが、靖国神社や全国に残る護国神社を始めとして形式上は残っており、そのため天皇を神格化する思想は右翼団体を中心に残存している。
 
 「韓国併合」と日本の朝鮮支配に関する書物は多い。
 入門編としては、岩波新書の『韓国併合』(海野福寿)と『創氏改名』(水野直樹)がわかりやすい。
 
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