ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

大晦日!(2)

2010年12月31日 | 日記・エッセイ・コラム
●アロエの花と寒椿
 
Aroe2
 
 隣の家の椿が満開である。
 その前で、アロエの花が咲き始めた。
 伊豆半島では今がアロエの花盛りだが、気温の低いこの辺りでアロエが花をつけるのは2月頃のはずである。
 このところの天候不順で、草花のサイクルも狂ったのか、春の野草もすでに小さな花をつけている。
 
Aroe1
 
 今年ついに鉢がもたなくなり、倒れたので庭の一角に植え直した。そのせいか、例年1輪しか咲かない花が、今年は現在咲いている他につぼみが3つもついている。一度に咲けば楽しいが、それぞれのつぼみの大きさからおそらく順番だろう。
 
●柚を収穫
Yuz
 
 柚が苦みを帯びてきたので、一気に収穫した。
 ずっと酢橘だと思っていたのだが、小柚であることを教わった。正月の雑煮に皮を落としたり、薄切りにしてジャムを作る。
 しぼって焼酎に入れるには熟しすぎて苦いので、もっと早くに収穫すべきだったと後悔。
 
 今年は大豊作だった。青いうちからサンマの付け合わせに使ったり、焼酎に絞り込んだり、近所に配ったりもしていたのだが、それでもこんなに穫れた。
 穫りきれないで残ったいくつかは、鳥たちにプレゼントだ。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


大晦日!

2010年12月31日 | インポート
P1000001
 
●まずはぼやき
 今年の年末は追いまくられているように忙しかった。したがって、ブログどころか読書も満足にできない日々が続いて、いささか欲求不満である。
 それにしても、年月が経つのが早い。年賀状など、つい先日書いたばかりのような気がする。
 
 ともかく、最低限の正月の準備をし、玄関先もそれとなく正月らしくした。
 
 この年末、世の中ではいろいろなことがあったが、そのほとんどが「馬鹿な話」だった。そしてその「馬鹿な話」をこれでもかと伝えてくるマスコミもやっぱり「馬鹿」である。
 
 その最たるものが、麻木、大桃、山路の三角関係(?)。
 「めんどくせえなあ、どうだっていいじゃねえか」というのが率直な感想。当事者を取り囲んで根掘り葉掘り。
 取材している記者だって、きっと「こんなばかばかしい取材はしたくない」と……思っていれば正常なのだが。
 
 次が海老蔵。「喧嘩して殴られました、正月公演は見合わせます」と、それだけ伝えればいい。カミさんの麻央がどうしたこうした、海老蔵は酒癖が悪いなど、どうだっていいことだ。一般人がそんなことを知って何になる。
 
 困ったことにそういったニュースが中心になるものだから、我々の暮らしに直接影響がある来年度予算の問題や、民主党政権の先行き、普天間基地問題などのニュースが薄くなってしまった。どっちが重要かと言えばこっちだろう。
 
●我が家の「ばかばかしい」ニュース
 今月の半ば、忙しくて火を噴きそうなときに、中学校から電話があった。
 「無量君が荒れちゃって喧嘩しまして。興奮して収まりませんので来ていただけませんか」
 無量は喧嘩っ早い。小学校のときにも、体は小さいくせにしょっちゅう殴り合いの喧嘩をして、クラスメイトから恐れられていた。
 
 小学校の先生は扱いがうまくて、適当にやらせておいて、頃合いを見計らって止めに入る。
 しかし、中学の先生は生徒同士の喧嘩の扱いに慣れていないらしくて、かなり慌てている様子だ。
 「大丈夫でしょう、しばらく一人にしておけば収まりますから」
 そう言って、いったんは電話を切った。
 
 ところがそれから小半時してまた電話があった。先生が4人掛かりで押さえつけているが収まらないという。
 あたりまえだ。
 そんなことをされたら、喧嘩相手ではなく先生に反発する。収まるわけがない。
 仕方なく、引き取りにいくことにした。
 我が家から中学校までは2、3分である。行ってみると体育館で大の大人4人がよってたかって小さい無量一人を押さえつけている。
 「こいつら馬鹿か!」と、言わなかったが思った。
 
 「離していいですよ」
 よほど悔しかったのか、無量は固まったままだ。
 
 落ち着かせ、教室に荷物を取りにいかせた。
 担任が着いていこうとするから、「そんなことはしなくていい」と止めた。
 帰り際に校長が、いかにも権威を保とうとするような口調でこんなことを言う。
 「帰ったらお父さんによく説明して、明日学校に来たら担任の先生にどんな話をしたか報告するように」
 「なんじゃこの校長、底抜けの馬鹿だな」と言わなかったが思った。
 「いや、今日のことは今日のことでおしまいにします。明日また蒸し返すようなことはしないほうがいいですよ。明日になればけろっとしていますから」
 校長は不満そうだったが、「お父さんにお任せしますが…」とぼそりと言った。
 
 そもそも喧嘩などというものは理屈でするものではない。感情が先に立つから喧嘩になるのだ。理屈で解決できるなら喧嘩にならない。感情的な喧嘩に反省も報告も無意味だ。それぞれが成長して大人になっていくしかないのだ。
 
 「今度喧嘩が始まったら、しばらくやらせておきなさい。武器を持ってきたり、どちらかが怪我でもしたらそのとき止めればいい」
 「中学校になると体が大きいですから、大怪我になることもあるんで」と校長。
 一瞬吹き出しそうになった。無量の体型は小学校の5年生程度である。どうやら、事件の当事者がとてつもない怪物に見えたらしい。
 
 もっと笑ったことがある。
 止めに入った先生を振り切って、「あいつを殺して俺も死んでやる!」と言ったらしい。これはアニメの台詞だ。
 「武器を取って戻ってくる」とフェンスをよじ上ろうとしたらしい。これもアニメだ。
 家に帰ってカミさんと大笑いした。
 こういったことを、先生たちはリアルに受け止めてびっくりしたらしいのだ。なんと世間知らずな先生たちか。今時の中学生を指導するなら、アニメぐらい見ておくべきだ。
 
 それから数日後、担任から電話があった。
 「学校では落ち着いていますが、ご自宅ではいかがですか?」
 「何の問題もありません」と言ってから、喧嘩相手よりも4人で押さえられたことの方が悔しかったということ、今度止めるなら一人でやりなさい、ということ、止めるにはタイミングがあること、などを伝えた。
 警官だって、町でやくざが喧嘩をしていたら、真っ盛りのときには手出ししない。いい加減収まってどちらかが怪我をしたら、相手を傷害罪で引っ張る。そういうふうにしないと、警察官自身が怪我をするからだ。
 「振り払われちゃったんです」。なぜ4人掛かりになったのか聞くとこうだ。まさに興奮している最高潮のときに止めに入ったら、簡単に振り払われた、そこで応援を呼んで止めにかかったが引きずられた。結局校長まで入って4人掛かりで取り押さえたわけだ。身長150センチ弱、体重25キロ程度の子供をである。
 「あんたら、ひ弱すぎないか」と言わなかったが思った。
 「今度から屈強な先生一人でお願いします」と言っておいた。
 「こちらも、至らない点があったと思いますが、なにぶんよろしく」って至らない点だらけだ。
 「まあ、喧嘩は仕方ありませんから、相手に怪我をさせないようなやり方を教えておきます」
 一瞬絶句した先生の顔が見えないのが残念だった。
 
 最近の子供は殴り合いの喧嘩をしない。一人っ子が多くて、親が過保護に育てるため、喧嘩の仕方がわからないのだ。だから、大人になって頭に血が上ると、すぐにナイフや金属バットを持ち出す。
 喧嘩のプロ(?)は相手に致命的な打撃を与えることはしない。まず足を払って相手を倒したら、尻から下の下半身を徹底的に痛めつける。頭はもちろんのこと、胸や腹なども殴りつけたりはしない。まあ、殺意があれば別だが。
 
 自分が殴られたことがないと、相手の痛みがわからないし、命にかかわるようなことの区別がつかない。子供にとっては喧嘩も社会勉強のうちであることを知るべきである。
 
 
●うちのカミさん、いくつだ?
 話変わって、久しぶりのカミさんドジ話である。
 BSでは昔懐かしい番組の再放送をよくやっている。
 先日、見たい番組が終わってチャンネルをそのままにしていたら、1970年代に放送された『夜のヒットスタジオ』がはじまった。
 昔アイドルに憧れていたカミさんは、歌番組が好きである。釘付けになって見ていた。
 
 当時、我々の年代に絶大な人気があった、岡田奈々が登場した。改めて見てもかわいいが、歌は下手だった。
 「今どうしてるんだろう」
 「たまに、ドラマに出てるよ、お母さん役で」
 「オレより十いくつ下だったかな」
 「そんなことないよ、私と同じくらいだよ」
 もっと若いはずだという意味に聞こえた。
 ちょっと待て、なんか変だ。
 「君はオレよりいくつ下だ?」
 カミさんとはちょうど一回り、12歳の違いである。それって、「十いくつ」の範疇に入らないのか。
 「あれ?」
 自分の言っていることのおかしさに気づいたのか、カミさんはしばし笑い転げていた。
 「君は自分の年をいくつだと思ってるんだ」
 年を取ってしわも増えたし白髪も目立つようになったが、小柄で童顔なものだから、ちょっと目には若く見られるらしく、「30代に見られた」と言っては喜んでいる。(どう見ても、それは無理があるのだが)
 きっと、自分は30代であると言い聞かせているのだろう。
 それはそれでいい。
 
 戦前に比べれば、人間年を取りにくくなっているように見える。その分、大人になるのも遅いようだが。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


荻窪駅前 鶏肉店全焼

2010年12月28日 | ニュース
Torikoshi
 
 去る12月24日、荻窪駅前で火事騒ぎがあった。
 その日の朝、荻窪に着いたアシのYが、駅前に消防自動車や救急車が何台も集結していると電話してきた。
 その時点では、何の情報もなくてわからなかったが、しばらくするとテレビのニュースで「荻窪駅前の焼き鳥店から出火。木造モルタル2階建ての店舗を全焼し、なお延焼中。ローストチキンを焼いているときの、油に引火」だという。
 荻窪で焼き鳥屋といえば「鳥もと」だ。「ゲッ! 鳥もとが火事か」。しかし、「鳥もと」でローストチキンはないはずだが、と思っていたら、映像が出て、ニュースそのものがまったく間違っていることがわかった。
 
 まず、焼き鳥屋ではなく鳥越という「鶏肉屋」である。建物も2階建てでなく3階建て。ニュースの時点で火はほとんど消えていた。よって、延焼中ではない。
 
Torikoshi2
 
 「鳥もと」の本店は、この路地を入って左側。近くではあるがちょっと離れている。江戸時代なら類焼は免れなかっただろうが、現代では防火建築技術だけでなく、消防も格段に進歩しているから、路地一本隔てていればまず延焼しない。
 
 びっくりしたかもしれないが、「鳥もと」は無事。
 ちなみに、並びにあるラーメン屋「十八番」も中古レコードの「月光社」も無事である。
 隣のスナックだかバーだかが類焼したらしい。
 
 「鳥もと」ファンの皆さん、全く影響はなかったようなのでご安心を。
 「取り越し(鳥越)苦労」なんて洒落にならないか。ゴメン。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


大江健三郎「定義集」12月

2010年12月22日 | インポート
Tegishu1012
 
大江健三郎『定義集』

暴力への沖縄の意思表示

 『定義集』は久しぶりに沖縄がテーマだ。
 30代の頃に行った石垣島での体験から、最近の普天間吉移設問題までを駆け足で辿る。
 
 『万延元年のフットボール』(1967年)は「私の地方にも、維新をはさんで二度の一揆があり、近代化に向かう国家の暴力への、いわば集団意識による記憶はあります。琉球処分、国家主義教育の徹底、沖縄戦と、聞いたばかりの話に呼応し」創作ノートが作られたという。
 
 その後書かれた『沖縄ノート』が、当時の守備隊長によって右派の組織を後ろ盾に訴訟が起きた。
 「公判の中で原告の旧守備隊長が、その時点では『沖縄ノート』を読んでいなかった、とみずから証言して、気勢をソガレルこともあった」と、記憶する限りはじめて本人の言葉で、このことについて語る。
 
 目取真俊氏が大江氏の本から「おりりがきたら」というキーワードを拾い上げ読み解いていることについて、「たしかに」と納得させられた。
 「その〈おりがきたら〉、強制された集団自殺の責任者も、批判を受けずそこを訪れることができるだろう。この〈おりがきたら〉思想は、沖縄戦の悲惨な体験が、これは決して無かったことにはできない、とした境界を踏み崩し続けています。すでにいかに多くの〈おりがきたら〉と待ち受けていた者らの再登場がなされていることか? そして何が企てられているか?」と危機感を投げかけた上で、「一方、〈おりがきたら〉の開き直りとは逆の、沖縄県民の自己表現」が1995年の少女暴行事件に抗議する8万5千人の県民集会であり、それに続く「十万を越えるに至った二度の県民集会に規範をなして」いると語る。
 
 橋本‐モンデール会談で「五年から十年以内に普天間吉を全面返還することに合意」(1996年)したにもかかわらず、それから14年経った現在も普天間基地は危険な状態で固定されたままであり、米軍は「あの県民集会の向こうに潜む〈爆発〉のリアリティを読み取った米軍を」見ることができる、と。
 
 大江氏は2000年の沖縄訪問でも、辺野古移設が不可能であることを現場ではっきりと認識し、そのなかでも多くの異なる立場の人たちから「爆発」を憂う声が発せられることを感じ取ってきている。
 「普天間が何も変わらぬ情況の長く続くなかで、〈爆発〉が決して起こらずに来たことこそ、沖縄県民の実力を示しているのではないか」と結論する。
 
 「もし菅首相が辺野古移設の最後の抜け道に、公有水面埋め立て許可の知事権限を取り上げるための立法化を行うならば、私らは4度目の大きい県民集会で、當の実力を再認識するでしょう」と語っているが、その4度目の集会は「爆発」かそれに近い状態になるであろうことは想像に難くないし、そうでなければならないと思うのである。

◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
 
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


とうとうオーバーフロー

2010年12月21日 | 本と雑誌
Lenin
 
 『けーし風』の読者の集いで知り合ったMさんが、沖縄に移転するにあたり蔵書の整理をすることになった。
 その中に『レーニン全集』(全45巻別巻2巻)があって、行き場所がないから処分したいということなので、引き取ると後先考えずに応えてしまった。
 実は、父親の蔵書に仮綴じの『レーニン全集』があって、それは35巻までと別巻2冊、なぜか飛んで40巻だけ。36巻から39巻までと41巻から45巻までを機会があったら揃えようと思っていたのだが、これまでその機会がなかった。
 そんな理由もあって、譲り受けておくのも悪くないと、瞬間思ったのだ。
 
 実は『レーニン全集』の当初の刊行予定は全35巻別巻2だったのだ。それが日本語版刊行中にロシア語版が追加されてしまったのである。父親は35巻で完結したと思い、購入するのをやめてしまったのだろう。その後必要を感じたのか40巻だけをポツンと購入している。
 マルクス・エンゲルス全集のときもそうだったが、巻数の多い個人全集は当初の予定が変更されることが珍しくない。以前紹介した『夏目漱石全集』も、ずいぶん経ってから1冊追加された。
 
 ちなみに『レーニン全集』は第一回配本(1953年)から全45巻(1969年)完結まで13年かかり、『マルクス・エンゲルス全集』は第一回配本(1959年)から最終巻の第52回配本(1981年)まで22年もかかっている。だもので、父親は完結を待たずに他界した。
 
 で、全巻揃いだというので引き受けたのは良いが、置き場所がない。結局階段に積み上げたままである。
 アシのYが朝来て、「階段がもう一つできてる!」とあきれていた。
 
 今日G出版に行ったときに、社長に預かってくれないかともちかけたが、置き場がないとあっさり断られた。
 仕方がないので、書庫を整理してなんとか場所を作ることにする。そうでないと、場末の古本屋状態になる。
 
 
Lenin0
 
 ウラジーミル・イリイチ・レーニン(1870-1924年)を一言で紹介すると、マルクス主義を体系づけ実践して、ロシア革命を成し遂げた人である。本名はウリヤノフ。
 
 ロシア革命の結果、ソビエト社会主義共和国連邦が誕生し、レーニンは社会主義建設を指導した。
 僅か54年の生涯で、あと10年生きていたならば、スターリンがソ連の首班につくことはなかったであろうといわれている。
 ということは、悪名高い「スターリン粛正」は起きることはなく、その後のフルシチョフ、ブレジネフと続く流れも違っていたということだ。
 レーニンを記念して名付けられたレニングラードは、ソ連解体後改称され、現在はサンクト・ペテルブルグ。革命前はペテルブルグ、ペテルグラードと称し、旧制ロシア帝国の首都であった。
 
 主著に『帝国主義』『国家と革命』『なにをなすべきか?』『カール・マルクス』。とくに『帝国主義』は、マルクスの『資本論』をもとに、二十世紀資本主義を解明した、不朽の名著とされている。原著のタイトルは名言「資本主義の最高の段階としての帝国主義」である。
 レーニンの主な著作はほとんど文庫化されているので、全集で読まれることはほとんどない。であるから、この全集の大半は「積ん読」になる。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
 
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
 


はっぱふみふみ

2010年12月20日 | 日記・エッセイ・コラム
 前から欲しかったロール式のペンケースを、Yahooオークションで落札した。
 
Fp1
 
 実はこのタイプ、意外に高価なのである。だもので、なんとか安く入手しようと思い、ヤフオクを漁っていたら、おあつらえ向きの商品が出品されていたので、上限を決めて入札。予定価格よりだいぶ安く購入することができた。
 
Fp2
 
 ロールタイプの良いところは、コンパクトにたくさん収納できることだ。数十本ある万年筆の大半は机の引き出しの奥深くしまい込んであるのだが、使いたい(「使う」ではなく「使いたい」ものなのだ)十本ばかりはペンケースに入れて、サッとバッグにおさめられるようにしておきたいのだ。
 とりあえず、お気に入りの5本を収納した。
 
Fp3
 
 今まで使っていて、これからも持ち歩き用に使う三本入りは、パーカーのスターリングシルバーの万年筆とボールペンのセット、そして、クラシックスタイルのシャープを入れて常時携帯する。
 一本入りのペンケースは、これまで12金の中国製万年筆を入れていたのだけれど、それはロール式5本入りの方に移して、クロスのボールペンとパイロット・エリートの極太を無理矢理入れた。
 この二本はサイン用である。
 
Fp4
 
 実はこのパイロット・エリートは30年以上前に買ったものだ。
 大橋巨泉が「はっぱふみふみ」のコマーシャルをやった、エリートSのレギュラータイプである。したがって、発売は「はっぱふみふみ」より先である。
 デザインからしていかにも古くさい。超極太で、原稿のタイトルを書くことを目的に買った。今原稿はコンピューターなので、これでタイトルを書くことはないが、この太さが自著にサインするときにちょうどいいことに気づいた。
 
Fp5
 
 こんなに太い。細かい文字を書くには不向きである。
 
Fp6
 
 中字のスターリングシルバーの筆跡と比べると、こんなにちがう。こちらはパーカークインクのウォッシャブルブルーという薄い色のインキを入れているので、なおさら細く見えるのだが。
 
 前にも書いたが、コンピューターを使うようになって、本当に手書きの文字を書かなくなった。これではいけないと「一念発起」、でもないが、手元においてちょっとしたメモを万年筆で書こうと思ったのだ。
 忘れないための「備忘録」にもなるし、万年筆君たちも使ってもらえて喜ぶだろう。
 ペリカン400の父親から譲られたほうの一本と、オノトがインク漏れするようになった。修理しなければいけないのだが、以前金ペン堂に持って行ったら、いつできるかわからないと言われたので、引き上げた。
 親父さんの年齢からいっても、もう無理かもしれない。
 かといって、丸善なんぞに持って行くと、全然違う部品に変えられたりする。そうでなければ外国に送られて半年も一年もかかる。
 日本にはもう優秀な職人は残っていないのだろうか。
 
 「みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ」
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
 
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


出版氷河時代の悪循環

2010年12月17日 | 本と雑誌
 出版不況といわれて久しい。「何十年も本屋やってるけどね、こんなに売れないのは初めてだよ」と岩波書店のお偉いさんから聞いて、もう10年近く経つ気がする。
 
 それにますます拍車をかけるような出来事が、連続して起きている。
 
◆東京都青少年健全育成条例改正
 
改正案第2条
 第7条(図書類等の販売及び興行の自主規制) 
 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催するもの及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当するものと認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させないように務めなければならない。

一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

 
 今回上記のように条例が改訂されて、「当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させないように務めなければなら」なくなった。
 
 たしかに、世の中には粗悪な出版物が多く出回っていて、それは漫画に限ったことではない。「あんなもの子どもに読ませられるか、当然のことだ」などとヒステリックに抜かしていた石原慎太郎の代表作『太陽の季節』など、悪書の代表のようなものだ。
 しかし、R18にならないのはなぜか。
 
 問題は、基準が曖昧なところにある。「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」であるかどうか、誰がどう線引きして判断するのか。
 条例で規制されれば、書店や出版社は実際は問題がない内容のものでも、自己規制してしまう恐れがあるのだ。これまでは、ぎりぎりオーケーだろうと出版していたものでも、引っかかったら大損害だからやめておこう、となる。
 
 条例に照らせば、『ゴルゴ13』など暗殺者が主役だから規制対象になってもおかしくない。
 どうするのか。
 拡大解釈すれば、つげ義春の『ねじ式』は性交シーンがあるし、や『キューティー・ハニー』も変身する時は裸だ。
 『ドラえもん』のしずかちゃんの入浴シーンも引っかかるのではないかとさえ、冗談めかしてだが、ささやかれている。
 
 悪質な出版物を子どもの目に触れさせないということ自体に反論するつもりはない。むしろ賛成である。
 しかし、こういうことは個人が判断すべきことであって、条例などで規制すべきことではない。
 
 条例にすることの問題は大きく三つある。
 一つは、作家の自由な発想の萎縮を招くこと。
 一つは、出版界の自己規制強化で、ますます出版不況に歯止めがかからなくなるという心配だ。
 そしてこれが最も重要だが、権力が自分たちに都合の悪い出版物に難癖をつけて、売れないようにしてしまうことだっておこりかねないのだ。
 条例や法律などというものは、それを執行する側に都合良く作られる。つまり、使う側の判断でどのようにもできるということだ。
 
 条例ではなく、映画の「映倫」のような、民間の倫理委員会を設けて、そこで検討するようにしてはどうなのか。
 そういう発想にはならなかったのか。
 もちろん、毎日200点からの新刊が出る出版物のすべてに目を通すことはできないから、問題になりそうなものだけでいい。
 審査委員は少人数ではいけない。50人ぐらいにして全員から意見を募ること。
 少人数では人員構成に偏りが出て、公正な判断ができなくなる。
 
◆「ポプラ社小説大賞」なる末期症状
 
 自分でそのお先棒を担いでいながらいうのもナンだが、自分で原稿を書けないような人間が本を出版してはいけない。
 どれだけの芸能人が、ゴーストライターの力を借りて嘘八百の本を出版してきたことか。
 
 その意味では、水島ヒロは自分で書いた(らしい)のだから、まだ救われるといえば救われる。
 しかし、「大賞」受賞はないだろう。水島ヒロという名前を隠して応募したなどといっているが、見え見えの嘘だ。
 読んでいない人間がとやかくいうべきではないだろうが、しかし、案の定惨憺たる評判だ。
 聞けば、内容が薄く、ボキャブラリーも貧弱で、しかも字数不足だという。
 
 そんなものに賞をやってはいけない。
 
 初版注文が43万部とかいうことで、出版社は相当潤っただろう。しかしおそらく、ファンが買い切ったらばったり止まる。
 したがって、ミリオンセラーにはならない。
 
 一時期潤っても、これでポプラ社の評判は地に落ちた。 
 水島ヒロにしても、次の作品は出しにくくなった。
 いってみれば、水島ヒロも被害者だ。賞などとれる筈もない作品を、出版社の欲で強引に出版されて、大変なマイナス評価を喰らってしまった。
 
 このことで、○○賞なるものの多くが出版社の都合で決められているということがバレてしまったわけだ。
 文藝春秋の芥川賞・直木賞も、最近はかなり出版社の都合が見え隠れする。
 これから、受賞作品が売れなくなる時代がくるかもしれない。
 
 
 
 それにしても、出版文化の発展を阻害している権力に立ち向かうべき出版社が、自爆するような行為はやめてほしいものだ。
 ポプラ社はこの出版不況で喉から手が出るほど金が欲しかったのだろう。しかし、出版社としてのポリシーが少しでもあるのなら、決してやるべきことではなかった。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
 
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


同窓会コンサート

2010年12月12日 | 音楽
Oldies
 
 クソ忙しい盛りだったが、こんなコンサートに行ってきた。
 いつだったか新聞広告を見つけて、カミさんに見せたら、速攻で予約してしまったのだ。
 
 ミーハーなのである。
 
 5時過ぎに家を出て、中野サンプラザには開演の20分前についたのだが、入場するのに長蛇の列が続いていた。
 入場券は発売間もなく完売になっただけあって、場内はおばさんたちの熱気でムンムンである。
 
 観客に若い人はまったくいない。当方も含めて、全員50歳以上と見た。
 そういうコンサートなのである。
 
 出演は、チェリッシュ、三原綱木(ブルーコメッツ)、加橋かつみ(タイガース)、あべ静江、麻丘めぐみ、辺見マリ、江木俊夫(フォーリーブス)、伊藤咲子、あいざき進也、AKIRA(フィンガーファイブ)、真木(野口)ひでと(オックス)、高道(狩人)、CONNY= 石川幸子(ヴィーナス)。
 
 このメンバーを見れば、どういうコンサートかわかると思う。60年代70年代のアイドルである。

 今年一年で40回以上の公演を行い、7万人以上の動員があったそうだ。
 中野サンプラザはキャパ2,222あって比較的大きな小屋だが、1,000とか1,500の小さい小屋でも公演するわけだからたいしたものである。
 「でも、SMAPは1回で5万人」と司会の江木俊夫がすねていたが、いやいや立派なものだ。
 
 それぞれの懐かしい持ち歌を次々に披露して、驚くことに、ほとんどのメンバーの声に衰えがない。チェリッシュや伊藤咲子など、往年よりも良くなっている気がした。
 最近のアイドルと比較しては申し訳ないが、大人気のSMAPや嵐などとは、歌唱力の点で月とスッポンの違いがある。
 
 それは別にしても、この当時の唄はわかりやすいのだ。歌詞は単純だし、リズムが8ビート主体で、せいぜい16ビートまでだから乗りやすい。
 「ズンチャチャズンチャチャ」か「ズンチャッチャッチャズンチャッチャッチャ」なのだ。
 
 最前席にはおかしな格好をした一群がいて、どうやら「親衛隊」らしい。もちろんおばさんたちなのだが、当時、今でいう追っかけを親衛隊といって、常に最前列の真ん中に陣取ってお気に入りの歌手を応援した。
 
 出演者はみんな50代60代で、マスコミへの露出がなくなって久しい人たちでも、みんなそれぞれ声の質を落とさないように訓練をしていたのだろう。がっかりさせられるような場面は全くなかった。江木俊夫も、まあ元々は役者だが、なかなか達者な司会をしていた。
 
 終演後はあべ静江やチリッシュ、高道、江木俊夫らがロビーでグッズを売ったり握手をしたりしていた。全盛期なら絶対にありえないことだ。
 
 カミさんはもちろん大満足だったが、僕自身も忙しい最中だったがいいストレスの解消になった。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


川手鷹彦『とらおおかみ』

2010年12月11日 | 本と雑誌
Toraohkami1
 
とらおおかみ
川手鷹彦 著
地湧社 発行
 
 勉強会から生まれた

 創作民話と唄

 
 この本は子どもたちとの懇談会の中で生まれたという、唄と創作民話の本である。
 
 変な本である。
 フツーの大人が忌み嫌うゴキブリやオニやオオカミが当たり前に登場して、当たり前のようにいたずらをしていく。
 しかし、「変」と思うのは大人だけで、子どもにとってはちっとも変じゃない。
 ゴキブリもオニもみんな友達なのだから。
 
Toraohkami2
 
 ごきぶり五郎兵衛 黒びかり
 ネズミの忠太郎 ねずみいろ
 五郎兵衛忠太郎に追いかけられる
 こら待てーこら待てーこら待てー

 
 この手書きの楽譜も著者の手による。
 
 未就学児童が好きなものの一つに、必ず入るのが「ウンコ」。
 ウンコの模型やウンコのぬいぐるみは必ず売れる、幼児玩具の鉄板アイテムなのである。
 
 この本にウンコは出てこなかったと思うが、ウンコは子どもの感覚が大人の物差しでは絶対に計ることができないことの、証拠だ。
 世の中に存在するもののすべてを、その名前や外見だけで善し悪しを決めつけたりしないのが子どもなのである。
 
 「良くないことはちゃんと教えなければ、社会に出てから問題ではないか」などと、大人ぶった頭で心配する必要は全くない。
 なぜなら、そんな時期を経て、誰もが大人になっているのだから。
 
 みんな子どもだった時期があるのに、小さい子どもを理解することができずに、虐待やらいじめやらが頻繁に起きている昨今、こんな「変な本」がすこしでも子どもの感覚に近づく助けになるのなら、これは価値ある出版物ではないだろうか。
 
 最後に、著者に無断で拝借して叱られるかもしれないが、短い創作民話を一編紹介しておく。
 小さい子どものいる親たちだけでなく、子どもの感覚を忘れていない、あるいは忘れたくない大人にも必読の書である。


 
  鬼たちの粥

 昔まだ鬼の身体に色のついていなかったころ。
 ある日鬼たちがお腹をすかせ、太郎のところにこぞって押しかけました。
「おーい太郎、おまえをペロリと食べにきたぞう」
「それなら鬼さん、まず裏山から刈り、枯れ木を拾ってきてください」
「よし、わかったー」
 鬼たちは一目散に駆けてゆき、お山と家を何度も行き来して運びました。身体は真っ赤っかに光り、汗がシューシュー飛び散りました。太郎の家の前は山のようなでいっぱいになりました。
「おーい太郎、おまえをガブリと食べるぞう」
「けれども鬼さん、その前に畑へ行っておを掘ってきてください」
「よっしゃー、わかったー」
 鬼たちはまた一目散に駆けてゆき、畑に跳び込むと、ものすごい勢いで土を掘り起こし、芋を取りました。身体は土まみれ泥まみれで真っ黒くろになりました。太郎の家の前にはもうひとつ、芋の山が積み上げられました。
「おーい太郎、今度こそおまえをガリガリ食べちゃうぞう」
「いいえ鬼さん、もうひとつだけお願いします。海へ行って塩を取ってきてください」
「よぉーし、わかったー」
 鬼たちはまたもや一目散に海辺まで駆けてゆき、ざぶーんと海に飛び込むと塩を取ろうとしました。けれどもどう泳いでももぐっても、さっぱり塩は取れません。鬼たちは困りました。
 すると浜辺で塩を乾かしている村人たちがおりましたので、少し分けてくれるように頼みました。
 すると村人たちの言うには、
「塩などは、少し分けるわけにもゆかぬ。どうせならそこに積まれた塩袋を、みんな担いで持ってゆけー」
ところがこの塩袋の大きいこと重いこと。鬼たちは一所懸命運びました。けれども柴は刈ったわ芋は掘ったわ、海にももぐりましたので、大そう疲れておりました。重たい塩の袋を担いで歩くのもへっとへとのふっらふらで、中まっしらしらけになりました。
 太郎の家に着くころ、鬼たちはぐったり。今にも絶え入りそうでした。
「おーい太郎~、わしらはもうへとへとじゃ~。おまえを食べる気にもならんし、おまえをみ込む力もねぇ~。けれども腹はペコペコだぁ~。何かつくって食わしてくれ~ぃ」
 そこで太郎は家の前にある山のような薪を燃やし、山のような芋を大鍋でぐつぐつぐつぐつぐつぐつ煮て、鬼たちの持ってきた塩でパッパッパッと味つけし、おいしいおいしい芋粥をたっぷりつくってやりました。
 腹をすかせた鬼たちは、ガツガツ・モリモリ・ペロペロと大喜びで食べました。
 太郎もいっしょに食べました。大きな鍋はたちまち空になりました。
〈えことば〉
 ああうまかったー うまかったー
 こりゃー 人の子よりうまい
 今度も腹がへったなら
 うまい芋粥炊いてくれ
 芋は掘ってきてやるぞー
 柴も刈ってきてやるぞー
 塩も運んできてやるぞー
 ああうまかったー うまかったー

 唄いながら踊りながら鬼たちは上機嫌で帰ってゆきました。
〈唱えことば〉
 ああうまかったー うまかったー
 こりゃー 人の子よりうまい
 今度も腹がへったなら
 うまい芋粥炊いてくれ
 芋は掘ってきてやるぞー
 柴も刈ってきてやるぞー
 塩も運んできてやるぞー
 ああうまかったー うまかったー ああうまかったー うまかったー……

 唄声が遠ざかるのを聞きながら、太郎も嬉しく、けれどほんの少しだけ鬼たちを気の毒に思いながら、家の中にはいりましたとさ。おしまい。


◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


忙中「閑」もなし

2010年12月09日 | 日記・エッセイ・コラム
 我々の仕事は暇になるとさっぱりだが、忙しくなるとトイレに行く時間もなくなるほどである。
 誇張でなく本当の話だ。
 しかし、仕事があるときにやっておかないと、あとで苦しむことになる。
 
 そんなわけで、せっかく話題豊富な昨今だが、ブログの更新ができないでいる。
 
 あとしばらくは、この状態が続くと思うので、あとでまとめて記事を書くつもりだ。

◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*坂井泉が主宰する編集プロダクション“GALLAP”が、編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


同期忘年会

2010年12月06日 | 日記・エッセイ・コラム
Dohkikai
 
 日曜日、中学時代の同期有志が集まって忘年会をやった。
 来年は卒業後50年になる。
 忘年会のこの時期、希望するような飲食店の予約は取りにくいし、サービスも悪い。
 集まっても10人かそこらだろうし、だったらウチでやろう、ということになったのだ。
 
 決定8人で、ドタキャンもあって、参加は7人。
 時間に余裕のある女性二人と荻窪駅で待ち合わせて買い物をする。
 
 しかし、このおばさん方は買い始めると止めどもない。こちらはしょっちゅう自宅飲み会を開いているから、だいたいどのくらい食べ物を用意すればいいか計算できるのだが、忠告しても絶対に聞かない。
 多すぎるからやめておけと言っても、「食べるわよ!」と言って耳を貸さない。
 あらかじめ、サラダと唐揚げはたっぷり用意してあるし、酒も十分あることを言ってあるが、それらは計算に入ってないようだ。
 参加人員7人なのに、寿司を8人前買う。
 他に食べ物や飲み物があるのだから、半分でいいはずなのだ。

 「だって、一人3000とみても、21000円あるのよ」
 「いや、金額のことじゃないんだよ、余らせたらもったいないでしょ」
 「余らないわよ」
 「お惣菜みたいなものほしいわね」
 「果物もいるんじゃない?」
 「おれはいらない」
 が、勝手に買った。
 
 みんな結構時間に正確で、後から来た連中も6時には集合。
 始まったとたんに盛り上がる。
 元気なおじさんおばさんたちである。
 1961年の卒業アルバムを見ながら、懐古したり後悔したり。
 
 病気と年金の話はよそうと言ったのに、やっぱりその話題になる。
 喪中はがきが増えた、結婚式が減った、などなど、どうしても年寄り臭い話になる。
 同期生とは言うものの、住んでいる社会がちがうわけだから、共通の話題がそんなことしかないのは仕方がない。
 
 一つ発見したことがある。
 駅前にオープンした「ドン・キホーテ」で「神の河(かんのこ」を安く売っていたのでそれを買った。「神の河」の水割りに我が家の庭でとれた柚をしぼって入れると、これがすこぶるうまい。柚の香りにほんのり甘みが加わる。
 
 食べ物は予想通りの量があまった。寿司はそっくり半分が余り、唐揚げやサラダまで手が回らなかった。
 寿司は子供たちが喜んだが、大量に余ったサラダはどうするか。持って帰らせれば良かった。
 
 今度は厳重に管理しよう。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*坂井泉が主宰する編集プロダクション“GALLAP”が、編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


ひさしぶりの「三ちゃん」

2010年12月04日 | 食・レシピ
Sanchanx
 
 ブログの友人Sさんと、彼が学生時代以来だという荻窪の名物店「三ちゃん」に行った。
 僕自身も1年ぶりくらいだ。自宅で仕事をするようになって、外食の機会がめっきり減った。
 
 やはり、調理人が代わっていた。
 なぜだか「三ちゃん」の調理人は頻繁に代わる。しかも今は一人しかいない。
 かつて、多いときにはこの狭い調理場に三人くらいいたものだが。
 一人だものだから、肝心の餃子が売り切れていて、別のお客さんから譲ってもらった。
 店の存続が心配である。
 
 しかし、調理人が代わっても味は変わらないのが不思議である。
 
 譲ってもらった餃子とレバニラ炒め(これがうまい)、それに焼きそばを注文して、ビールを飲みながらおしゃべりした。
 
 「三ちゃん」はいわゆる荻窪ラーメンの店ではない。餃子屋である。しかし、ラーメンもなかなかいけるのだ。
 
 家に帰るとテレビのバラエティー番組で、荻窪ラーメンのランク付をやっていた。フラッシュで一瞬、「三ちゃん」の写真も見られた。
 
 しかしこの番組のランクはどんな調査方法でおこなっているのか、およそ疑わしい。 
 荻窪ラーメンの代表的な店で登場したのは「二葉」だけで、ここが1位。
 春木屋も丸長も、漢珍亭も出てこない。これらはほとんどのランキングで、上位の常連だ。
 ちなみに二葉は普通4位か5位に位置する。僕個人としては二葉が1位ではあるが。
 
 春木屋や丸長は名前すら出てこなかったので、おそらく取材を断られたのだろう。
 この二店に取材を断られたら、番組としては成立しないはずなのに、むりやり制作し、オンエアした感がある。
 ちなみに、いつも順番待ちで人が並んでいるのは、春木屋と丸長、二葉ぐらいなのだ。そしてこれらの店がいわゆる「荻窪ラーメン」としての定番である。
 番組での2位以下は、野方ラーメン、太陽トマト(行ったことがない)、手もみラーメン 十八番、花月嵐。
 太陽トマトと花月嵐はチェーン店であって荻窪ラーメンではないし、野方ラーメンも言ってみればよそものだ。
 とくに荻窪の花月嵐の味は正直お薦めできるものではない。カップラーメンの方がましである。
 これは完全にタイアップ、宣伝番組に他ならない。こんな番組を見て客が殺到したら、荻窪ラーメンの評判を落とす。
 
 ところで、一瞬写真が出てきた「三ちゃん」は、番組中ではまったく登場していない。このラインナップなら間違いなくベストファイブに入るはずなのだが。
 
 僕のおすすめベストファイブは、二葉、丸長、漢珍亭、手もみラーメン 十八番、最後に春木屋だ。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)

●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*坂井泉が主宰する編集プロダクション“GALLAP”が、編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。


荻窪散策(12)餃子屋「三ちゃん」


ドラゴン・フルーツ

2010年12月03日 | 食・レシピ
Dragon_fruit1
 
 今日、ひょんなことから「ドラゴン・フルーツ」をいただいた。クソ忙しいときに余計なことで時間を取られていささか腹の立つ出来事が朝っぱらからあったが、これで機嫌が直った。
 単純である。
 
 ドラゴンフルーツ(dragon fruit)はピタヤ(pitaya)ともいう。サボテン科の果物である。
 大きめのリンゴくらいの大きさだ。
 元々熱帯の植物だが、近年は沖縄でも栽培されていて、いただいたものは沖縄産である。
 ドラゴン・フルーツという名は、中国語名の 火?果(火龍果)を英語に置き換えた商品名だそうである。
 
Dragon_fruit2
 
 赤肉種に含まれる色素は、染料や口紅などにも使われるほどなので、衣服などに付着すると落ちにくい。
 
 これまで高級果実店などで見たことはあったが、食べたことはなかった。
 味は薄い甘みがあって、あっさりとしている。外見の荒々しさや「ドラゴン」のイメージとは裏腹に、なかなか上品な味だ。
 酸味の強い果物が好きなアシのYには、ちょっと物足りなかったようだ。
 
 なぜだか子どもたちは食べたことがあるという。いつ? どこで?
 
 いいリンゴが二個買えるほどのばかばかしい値段の果物だし、わざわざ自分では買わないだろうなあ。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*坂井泉が主宰する編集プロダクション“GALLAP”が、編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。