若い人にはなじみの薄い新聞だが、われわれ全共闘世代にとっては重要な新聞で、とくにML派は必読だった。
発信地は山口県下関市。長周とはその名の通り、今の山口県、長門と周防を併わせた名称である。
もともとは共産党系であったが、日本共産党がソ連と中国が仲違いしたときに分裂し、中国派だった日本共産党左派の立場を支持した新聞である。
「マルクスレーニン主義毛沢東思想」を日本革命の指針としたところから、反中国の立場を取る日本共産党とは一線を画すことになった。
学生運動が挫折してからは、『長周新聞』に目を通すこともなくなり、何十年もご無沙汰していたところ、ひょんなことからまた読みはじめるはめになった。
写真の右は10月24日付で、22日に開かれたアジア記者クラブの定例会の記事が、1面トップに掲載されている。
すなわち、記者が山口からわざわざ取材に来ていたのだ。
定例会が終わって帰ろうとしていたところに、その記者に声をかけられた。かつての『長周新聞』のイメージとはだいぶ違う、いかにも洗練された女性記者だった。
「まだ健在だったんですね『長周新聞』」と言ったら、「当然です」と叱られた。
「基本的に、毛沢東思想ですよね」というと、「今は必ずしもそうではありません」ときっぱり否定された。そりゃそうだろう。
しかしこの新聞、言いにくいことをズバズバ言う反骨精神は健在だ。基本的に広告を掲載せず、購読料だけで経営を賄っている。
熱心に薦められたので、というよりも、記者が美人だったので、試しに購読することにした。
週3回の発行で、月極1500円で郵送してくれる。1日遅れで届くが、金曜発行のみが月曜着になる。
アメリカ大統領選に関する記事がユニークだった。「ヒラリー・クリントンとは誰か」という特集記事を2回連続で1面に掲載してヒラリーが負けることを予想していた。
ヒラリー・クリントンは1%の富裕層のために存在し、残り99%の貧困層の支持を得ているのはトランプの方だというのだ。
(だったらクリントンではなく、サンダースならトランプに勝ったかもしれない)
だからこの選挙は、民主党対共和党の選挙ではなく、1%対99%の選挙だとの選挙だと説く。
どこまで的を射ているかはともかく、ともかく刺激的な記事が多い。
最新16日付のコラム記事には駆け付警護(武器持参で駆け付る)を批判し、アフガニスタンで平和貢献事業を展開する中村哲の言葉を紹介する。
「この事業は16年続いているが、1回も襲われていない。何とタリバンが守ってくれる。政府も守ってくれる。非武装、丸腰だから嫌われない」
自衛隊はスーダンで、武器を持たなければ攻撃されないものを、武器を持っていればかえって危険であることを言っているのだ。
日本も、軍事基地が無ければ、どこからも攻撃されることはない。その通りだと思う。
尖閣問題についての記事も興味深いのだが、ここで紹介する余地はないので、興味のある人は購読してみるといい。
『長周新聞』で検索してネットで申込みできる。
そういえば、山口は地元でしたね。
言って欲しいこと、言いたいことをズバリと言ってのける。爽快です。