
沖縄県では米軍占領下の1963年から断続的に「沖縄県史」を刊行してきた。
今から5年前、「沖縄県史」資料編23として、日本軍の資料を集めたものが、研究者の間で高い評価を得た。
今回発行されたのは、『沖縄県史 各論篇6 沖縄戦』として、住民からの証言をもとに編まれている。つまり、先の資料編が日本軍サイドから見たものとするならば、本資料集は住民にとって「沖縄戦」とは何であったのかが、高齢化が進む戦争体験者の視線からの貴重な証言が記録されている。
旧日本軍による住民への加害行為のほか、現在も、沖縄戦生存者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされていることにも触れている。「集団自決(強制集団死)」や米軍の無差別爆撃で、肉親の死を目の当たりにした生存者は、雷や花火の音にもおびえると話す。
過去の体験集などでは発表されなかった多くの新証言をもとに構成されており、「日本軍資料」とあわせて沖縄戦資料の集大成と言えよう。

本書は学校図書館及び研究者向けのため、書店では販売していない。
B5判上製約800ページ、カラー印刷。
問合せ 沖縄県教育庁文化財課資料編集班(098-888-3939)。在庫があれば一部5000円(税込 送料別)で分けてもらえる。