砂上の同盟
屋良朝博 著
沖縄タイムス 刊
友人のブログで紹介していて読んでみようと思った。
amazonでは取り扱っていなかったが、セブンアンドワイで注文できた。
ところが、現在は品切れ扱いになっていて注文できない。
理由がわかった。
沖縄タイムスが取引している取次は、「トーハン」の「地方・小出版流通センター」だけだ。
つまり、トーハンと取引のない書店は取り扱うことが出来ない、というわけだ。
セブンアンドワイで注文できたのは、たまたまだろう。どこをどう回って来たのか、入手に時間がかかった。
ちなみに、amazonは太洋社だ。トーハンとは取引がないので、原則として「取り扱えない」ということだ。
かなり売れる本なら、太洋社が直接沖縄タイムスから「買い取り」仕入れをするのだが、伝票操作が煩雑になるので、大量に、かつ、確実に売れない本は面倒がって仕入れてくれない。
わざわざ「買い取り」と言ったのは、本は例外を除いて「委託」だ。つまり、売れなければ返品できることになっている。これを「再販制度」といって、薄利の書店を保護するのが目的の制度で、この制度のおかげで日本は出版大国になったのだが、今の出版不況は、この制度が出版社の経営を圧迫している。
つまり、『ハリー・ポッター』や『1Q84』などのようなベストセラーでもない限り、返品できない本を書店は仕入れたがらない。
大手の書店はたいてい、街の小さい書店でも多くはトーハンとの取引があるので、「地方・小出版流通センター」扱いでと一言言えば取り寄せてもらえるはずだ。
ただし、一週間から10日はかかるだろう。
すぐにほしい人は、紀伊国屋の新宿本店に行けば、在庫があるはずだ。
前置きが長すぎたが、すでに友人のブログ「Sightsong」に詳しく載っているので、重複は避け、感想のみを書いておく。
沖縄の基地と海兵隊について、これほどわかりやすく書かれた本は他にない。
日本にある米軍基地が、日米安保条約に基づく日本の防衛を目的にしたものでないことは、ある程度知識のある人ならわかっていることだろう。この本はその事実を米軍側にインタビューするなどで、彼らの本音から導き出し、説得力のある組み立てがなされ、われわれの頭の中を整理してくれる。
米軍基地は、必ずしも沖縄にある必要はなく、基地が沖縄に集中したのは、占領中に土地を確保しやすかったからだという。
さらに、米国のシンクタンク「パシフィック・フォーラム」のカール・ベーカー氏は「北朝鮮は脅威ではない」と口を滑らせて慌てている。
なかでも興味深かったのは、海兵隊そのものが、米国内では不必要であると判断され、何度も消滅の危機に瀕していることと、その海兵隊中心の沖縄米軍は、ほとんどが司令部と補給要員で、戦闘員はわずかしかおらず、兵力としては極めて貧弱で、はっきりいって役に立たないということである。
このことは、今月発売の『通販生活』の特集で、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏も同様のことを言っている。
米軍に基地を提供している他の国々は、土地の賃貸料を米軍に支払わせ、維持費はすべて米国が賄っている。
日本だけが、思いやり予算などと称して莫大な金を払っているのだ。
つまり、アメリカが日本に基地を置いておきたい最大の理由は、維持費がかからないばかりか、収入が得られるからに他ならない。
北朝鮮は脅威でなく、有事のさい海兵隊は、どこにいても必要な場所に出動できるそうだから、軍事的には日本に基地を置く必要がなく、カネ以外に理由が見当たらない。
ところで不思議なのは、amazonのレビューに「この本がわかり難い」と書き込んだ者がいる。「本書を理解できなくても読者が悪いのではない、著者が悪いのだ」などというコメントがあるが、頓珍漢も甚だしい。高校生以上の理解力があれば十分理解できるほど、平易でわかりやすい。
もっとも、この本が広く読まれることを好ましく思わない人間は、あたかも「基地反対派」を装って、否定的なレビューを書くかもしれない。
以下は、この本の入手可能なサイトである。安い本なので送料がかかってしまうかもしれないので、出来るだけ書店に取り寄せを依頼することをおすすめする。
沖縄タイムスBOOK
e-hon
八重洲ブックセンター
紀伊国屋
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・『全国お郷ことば・憲法9条』『原爆詩集 八月』
『ひまわりの種は誰が食べた?』
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