運命の人 全4巻
山崎豊子 著
文藝春秋社 発行
リンク→西山事件~『運命の人』読了
1巻を読み終えたところだ。
さすがと言うか、山崎豊子の作品はテンポがいい、読み始めるとついノンストップで読み切らずにおれなくなる。
この「運命の人」というタイトルは、どんないきさつから付けられたのか、今のところまだ分からない。
大新聞の政治部記者、弓成亮太は沖縄返還にともなう日米の返還協定を取材している中で、ある密約の証拠となる電文を入手する。
私利私欲が渦巻き、沖縄返還協定にまつわる国民不在の交渉の経過が、この電文に記されていた。
1級の機密書類だ。
返還時における基地の原状回復の費用は、米軍負担を装いながら、実は米側に渡される返還費用に含まれ、迂回する形で沖縄に還元される。
つまり、アメリカが負担したように見せかけているが、実際は日本国民の税金というわけだ。
「これでは国民をだますことになる」
ニュースソース保護のために、文書の内容を記事にすることをためらった弓成だが、しかし、この事実を国民に知らせたいという正義感から、入手元をふせたまま、入手した機密文書を野党議員の手にゆだねる。
「なにぶん慎重に取り扱って欲しい」
しかし功を焦った若い野党議員は、国会でそれを振りかざして与党を攻撃するという強硬手段に出た。
そのため、外務省職員共々、弓成りは取り返しようのない窮地に立たされる。
機密文書の漏洩は、世の総理大臣まで巻き込んだ大事件に発展してしまったのだ。
権力は警察まで動かし、公務員でない弓成りを「国家公務員法違反」で逮捕する。外務省職員の秘密漏洩に手を貸したと言うのである。
第1巻は、弓成に逮捕状が行使されたところで終わっている。
終盤には、先日明らかにされた密約文書についても解明していくことが予告されている。
「事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と断り書きがあるが、登場人物の多くは実在の人物と結びつく。
佐橋総理は佐藤栄作、田淵角造は田中角栄、福出武夫は福田赳夫、小平正良は大平正芳などなど、実際の人物と照合しながら読み進んでいくと、実に面白い。
国家機密とは、誰のための機密なのか。
全巻読み終えた時点であらためて感想を述べようと思うが、毎度のことながら、途中で別な本を挟み込む予定があるので、もう少し時間がかかりそうだ。
リンク→西山事件~『運命の人』読了
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