monologue
夜明けに向けて
 



わたしは幼い頃、花魁(おいらん)道中を見るのが好きだった。近所のおばさんが「島原太夫の花魁道中が始まるで」と宣伝に来ると普段は入らない大門の向こうに入って沿道で島原太夫の歩き方を見守った。歩きにくそうな高下駄(こっぽり、ぽっくり)を履いて八の字歩きをしていた。わたしはその変な歩き方に見とれて自分でも歩けるか試した。おばさんたちは「逃げられへんようにあんな下駄を履くのや」「今度の太夫さんはきれいや」とか評価していた。勤皇の志士や新選組がその大門の向こうで時代を動かしたのだ。
fumio

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