monologue
夜明けに向けて
 



 わたしの妻となることになったこの女性は日本で教習所に通って自動車運転免許証を取得していた。運転免許はこの国では身分証明書として頻繁に必要になるから、わたしごときが人に教えるのはおこがましいけれど米国の運転免許取得のためにと、日本とのルールの違いの認識や安全確認の重要性を力説してしばらく稽古につき合った。すると78点で合格した。運転もうまいといわれたという。良かったことは良かったけれどなんだか気が抜けた。当たり前だけどわたしの場合ほど心配することはなかったらしい。
 わたしたちは結婚式場を探した。どこがいいかさっぱりわからなかった。日本人の牧師さんがやっている教会に頼んでみようかと相談してセントメアリーという教会を訪ねた。しかし信徒さんでなければだめです、と期待は虚しくあっさり断られた。それでイエローページを調べて日本の芸能人がよく結婚しにやってくるという ガラスの教会を見つけた。そこは寄付金(ドーネーション)を納めれば良いということだった。電話すると土日の寄付金が一番高くて金曜日が割安だったので1978年2月17日(金)に決めた。結婚記念日はそんな経済的理由で決まった。
 そのランチョー・パロス・ヴァーデス地区にある太平洋に面した丘の上のスエーデンボルグ系の教会、Wayfarer’s(徒歩旅行者)Chapelは帝国ホテルの建築家、フランク・ロイド・ライト(1869-1959) がなんと日光東照宮大猷院(たいゆういん)を模して設計したものだった。
fumio

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