monologue
夜明けに向けて
 



 もうひとりの主人公アメノウズメ(アマノウズメ)の名前は天孫降臨神話でふたたび目にすることになる。古事記では天宇受賣命、日本書紀では天鈿女命と表記する。その場面を少しみると以下のようであった。
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天孫降臨の際、ニニギが天降りをしようとすると、天の八衢(やちまた)に、高天原から葦原中国までを照らす神がいた。そこでアマテラスと高木神は天宇受賣(アメノウズメ)に、その神の元へ行って誰であるか尋ねるよう命じた。その神は国津神の猿田毘古(サルタヒコ)で、天津神の御子が天降りすると聞いて先導をしようと迎えに来たというのであった。そして、天宇受売(アメノウズメ)命に、「この先導として仕えた猿田毘古大神は、適役として正体を明らかにしたおまえが送って差し上げなさい。またその神の御名をおまえが負って仕えて差し上げなさい」と仰せになった。このようなわけで、猿女君はその猿田毘古の男神の名を負って、女を猿女君と呼ぶことになった。
 さて、その猿田毘古神が阿邪訶(あざか)にいる時、漁をして比良夫貝(ひらぶがひ)にその手を挟まれて、海水に沈み溺れた。
 そこでその底に沈んでいた時の名を底度久御魂(ソコドクミタマ)と言う。
 その海水が粒立った時の名を都夫多都御魂(ツブタツミタマと言う。
 その泡が裂けた時の名を阿和佐久御魂(アワサクミタマ)と言う。
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猿女一族とは朝廷祭祀一族で猿女君とは宮廷祭祀において神楽を舞うことを担当した神祇官の役職名。
アメノウズメは猿女君・稗田氏の祖とされ、稗田氏の賣太神社では、
「賣太神社御由緒
社格 延喜式官幣社 旧県社
御祭神 主斎神 稗田阿礼命 ひえだのあれのみこと
副斎神 猿田彦命 さるたひこのみこと
副斎神 天鈿女命 あめのうずめのみこと
稗田阿礼命
 この稗田の地は太古の昔より朝廷に奉仕した猿女君稗田氏一族の居住地であって天武天皇の舎人(とねり)稗田阿礼はこの一族として出仕したのである。
 天皇は阿礼が記憶力理解力共に抜群で学芸諸術の才にも秀でていたのをお褒めになって御自ら御精撰になった歴代天皇の御事績と建国以来の歴史・神話・伝説・歌謠を直接お授けになった。
 この誦習った事柄を三十有余年後の元明天皇が太朝臣安萬侶に記録させられた書物が古事記である。之はわが国最古の文学書で古代人の生活・習慣・思想が書かれ祖先の考え方や生き方を偲ぶのに貴重な書物である。今日阿礼さまの宏大無辺のご霊徳を偲び学問の神・知恵の神として信仰が厚い。

猿田彦命
 天鈿女命の彦神であって土地・方位の神として全ての物事の初めすなわち新築・移転・旅立ち・結婚等に災難や悪魔を祓ってよい方に導き給うご霊験あらたかな神である。

天鈿女命
 猿女君稗田氏の太祖で「天岩戸隠れの神事」にたらいを伏せて舞を舞われた女神でオタフク又はオカメの愛稱あり福の神、芸能の始祖神として親しみ信仰されている。」

と境内案内に記され芸能の始祖神、福の神、おたふく、おかめ、と称する。長野県北細野の鈿女神社は地元で「おかめ様」と呼ばれている。いずれにしても「おかめ」「おたふく」などの愛嬌滑稽路線の女神のよう。ロミオの相手のジュリエットのような美少女タイプではないようだ。
fumio






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