monologue
夜明けに向けて
 

コロ  


コロが自分のことも書けとせがむので書いておく。ある日父がピレニアンマウンテンドッグの「ポス」と散歩していると野良犬がついてきた。それは目が毛で隠れる中型のテリア系の雑種だった。馴れ馴れしくついてくるので父は追い払えず庭に入れた。そして「コロ」と名付けて飼い始めた。ポスとコロは仲良く暮らした。ウサギたちとも。わたしは朝6時と午後5時頃に二頭をラニングや散歩させた。ポスは白熊のように体がでかいのではやく走るのをいやがったがコロはうれしがった。そしてやがて向かいの小学生の女の子たちがわたしたちの散歩を見つけるとついてくるようになった。大名行列のように連なって近所の原っぱを歩き散歩のあとは二頭が牛乳を飲むのが日課だった。夜になって父が帰宅してポスが前足でガラス戸を開けると当然のように上がってきて父の夕食の相伴に預かった。手乗りセキセイインコたちと犬二頭と人間たちとの夕餉は別に争いもなく穏やかだった。コロにとってそれは幸せな日々だった。

  しかし別れは突然やってきた。ある日、父が散歩している時、コロが突然人を噛んでしまったのだ。人を噛む犬は保健所に連れていって処分しなければいけないとせまられた父は困って遠くの町に車で行きだれか愛犬家に飼ってもらうようにコロの首ヒモを棒にくくりつけて帰ってきた。そして日頃涙を見せない父がその日は泣いていた。
コロがだれかに飼ってもらえて幸せな一生を終えたことを願う。
fumio



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