monologue
夜明けに向けて
 



カリフォルニアサンシャインその35
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海外にいる日本人たちは武器をもっていないかといえば、
わたしがベースとボーカルを頼まれてやっていたバンド「ケンちゃん」のリーダー谷岡ユキオは拳銃を3丁身に着けていた。脇に1丁、腰に1丁、脚に1丁。それぞれ用途の違うものをわたしに見せびらかして自慢していた。かれはラテンギター奏者でワンボックスカーに仕事用のボーカルアンプ、ラテンギター、譜面立て、などなどをいつも積んでいたのだがある時、アパートの地下駐車場でメキシカンたちが車のドアを開いて盗もうとするのを目撃した。それで車が揺れるとアパートの部屋で寝ていても警報が鳴る仕組みの防犯ブザー装置を装着しておいて待ったのだ。何日かして夜の仕事を終えて就寝中、枕もとのブザーが鳴った。きっと何者かがワンボックスカーをこじ開けようとしているのだ。ピストルをつかんで階段を駆け下りた。メキシカンのワルどもが車に集まって開けようとしていた。ユキオが走ってくるのに気づいて逃げようとした。ユキオは何発もぶっ放した。普段から射撃練習場で拳銃の扱い方は稽古していたのだが残念ながらというか幸いというか、当たらなかった。脅しにはなったらしく以来、メキシカンのワルたちは近寄らなくなったという。当たっていたらどうなったのだろう、と思う。
fumio

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